「制約のあるなかで、いかに可能性を見い出せるか」 ~『FuuTube』代表・アキバマサトの仕事論#1~

2016年06月20日

by新海 亨新海 亨編集部
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なにかを達成しようとするときに、手段を選びたくない。部下たちに任せて、教えながら成果を上げられたら最高なんですけど、それじゃ絶対にできない、達成できないってときがあるじゃないですか。

そう語るのは、風俗における体験動画のパイオニアと言える『FuuTube』代表のアキバマサト氏。前回までは、2014年当時の『FuuTube』とアキバマサト氏について、吉岡優一郎氏のインタビューを通してお伝えしてきた。
今回からは2回に渡り、2016年現在のアキバ氏とそのシゴト観について、自らのジンセイを振り返りつつ、大いに語ってもらった。

箱ヘル時代に培った“アキバイズム”

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―“食べていくための手段”だった仕事が、風俗の現場で初めて、“面白いもの”へ変わる

FuuTubeをやる前は、友人の紹介で大手箱ヘル(店舗型ファッションヘルス店)のグループで働いていたんです。それまでバンドをやっていて、ろくに仕事はしていなかったです。あくまで生きていくため、食べていくための手段として、仕事をしていたんですね。適当にやって手っ取り早く給料もらう、みたいな。

でも、箱ヘルで働くようになって初めて、「仕事が面白い」って感じたんです。受付の営業トークで、お客さんに女の子を薦めて入ってもらうんですけど、その人が喜んでリピーターになってくれたり、自分のトークとか対応で、数字が結果として上がっていく。初めて仕事に喜びを感じられたんです。

入店して1~2週間で「店長を目指せ」って言われて、「はいっ!」って即答でした。バリバリ体育会系だから、それしか言えないんです。

―アキバ氏は、瞬く間にステップアップし、横浜16店舗、土浦、北海道と3エリアを統括するまでになる。そこで、風俗で働く人に訴えたこととは

3エリアも見ていると、もう周りをビビらせないとイケない(笑)。今(FuuTube)と違って、もろ現場でしたし、エリアが広いので、ずっと私が見ていられるわけではない。現場には、なんだかよくわからない妖怪みたいなやつがいっぱいいるんです。そういう部下をまとめ上げるためには、やっぱり体育会系でいくしかないんですよ。“アキバイズム”なんて呼ばれてましたね(笑)。

どんな仕事でも事業でも「成り上がりたい」「一山当てたい」って人はたくさんいる。でも、本当に成功できる人って、ほんの一握りなんです。どうにもならない奴のほうが、圧倒的に多い。

私がずっとやっていた音楽だって、ミュージシャンになりたい奴は、日本全国何万人っている。でもそのなかで、デビューできる人間なんて百人もいない。さらにずっと売れる人、一生音楽で食べていける人っていうのは、本当に一握りだと思うんです。ただ、音楽の場合、つぶしが効くんですよ。ミュージシャンになれなかったとしても、録音のエンジニアになったり、作曲や編曲の仕事をするとか。

風俗の仕事って、なんにも残らないんですよね。お客さんから電話を受けて、すごく悪い言い方ですけど、「だましてなんぼ」みたいなところあるじゃないですか。私はそういう風潮が大嫌いですけど。女の子だって見方によっては売り上げのために、いいように使っているわけだし。

だから、私がしてあげられることって、もっと根底のところを形成するというか。大げさかもしれないけど、“仕事とは!?”とか、“人とは、こうあるべきだ!”とか。もっと言ったら“男とは!!?”みたいなところを教えることしかできないんですよ。

現場には、コイツ絶対ここでは店長になれない、主任にすらなれないって奴がいます。でも、彼らに、そういうことを叩き込んでおけば、違う店に行ったり、風俗業界を辞めて別のことをするとしても、仕事に対するモチベーションや、結果を出す、貢献するっていう姿勢は残ると思ってるんです。これは、今でも変わらない持論ですけど。

ダメな奴ばかりじゃなく、信頼できる部下もいましたし、仕事ができるスタッフにも同じようなことは言いますけど、彼らは勝手に出世していきますからね。当時は、どうにもならないって奴に、そういう精神論ばかりをよく話していましたね。

―風俗はつぶしの効かない仕事。それでも人としてのマインドが確立されていれば、なにかしらで生きていける。そう語るアキバ氏。そこには、現在のFuuTube代表、そして大手デリヘルグループの役員としても活躍する、経営者としての人材育成術が垣間見れた

FuuTube代表としての仕事観。作品に対するこだわり

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―手段を選んではいけない。それは自分のなかで教育を超える時

私はプレイヤーとして体験動画に出演してるんですけど、今は少しずつ表側から退いていってます。ただ、作り手として譲れない部分があるときは、プレイヤーに戻っちゃうんです。

難しいんですけど、なにかを達成しようとするときに、手段を選びたくない。部下たちに任せて、教えながら成果を上げられたら最高なんですけど、それじゃ絶対にできない、達成できないってときがあるじゃないですか。

私のなかで教育を超える時があって、「これは手段を選んじゃいけないな」ってなるんです。だから、全部自分がやる。本当はできないですよ、男優なんて。恥ずかしいじゃないですか。

でも、単純にそこを引き換えにしても獲得したいものがあるんです。

―自分と引き換えにしてもいい作品を作りたい。アキバ氏のモノづくりへのこだわり。制約のなかにある、可能性やチャンスをいかに見い出せるか

FuuTubeの動画は、決して芸術作品ではない、商業作品です。芸術だったら十年かけて作ろうが、予算度外視でも個人の自由でしょう。でも商業作品なので、いつまでに、どのくらいの予算でっていうのは決めないといけない。当たり前ですけど。

枠っていうか、制約があるなかで、最大限努力をして、いいモノをつくらないといけない。だから、自分で納得できる作品なんてほとんどないです。

ただ、その枠のなかから生まれてくる可能性ってあると、私は思ってるんです。たとえば、今はネットの回線ってめちゃくちゃ速い。高画質の動画を配信するにしても、インフラのことはあんまり考えなくてもいいんです。

でも、10年20年前はすごく回線が遅い。そういう制約のなかでリッチコンテンツを考えたら、制約されているからこそ出てくる可能性だったり、アイディアがあると思うんです。そういうのは、ひとつの体験動画の作品を作るときでも同じなんです。

―インフラが整わない制約が多いなかで始めたFuuTube。その可能性に賭け、いち早くメディアとしてスタートさせたことで、業界の一大コンテンツへと成長することとなる

FuuTube体制変更、そしてアキバマサトのこれから

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―FuutTubeは、2016年から社内体制を一新。映像制作部門とサイト運営部門に分かれ、アキバ氏は現在、映像制作部門のトップとして組織を率いている

一時期は全体を見ていた時があったんですけど、今は映像制作部門のトップとして席を置いています。FuuTubeって自分自身みたいなところがあって、極端な話ですけど、僕が死んだらFuuTubeも死んじゃうんです。でも、そうなるとみんなが路頭に迷ってしまうので、サイト運営は切り離して、自分以外の人間が意思決定してやっていけるシステムを作っていかないといけない、と思ってたんです。

それで、今はサイト運営側から動画制作を受ける部門のトップってかたちです。これまた、極端な話ですけど、運営側から「FuuTube止めます!」って言われたら、私は、「どうぞ」って感じですね。そのスタッフの決定なので文句は言いません。

―FuuTubeは、自分にとって“子ども”みたいなもの

私自身は、FuuTubeってサイトというよりか、“ブランド”だと思ってるんです。実は、全然関係性ないんですけど、『FuuTube』っていうアダルトビデオメーカーもやってるんです。ロゴも同じで。

まあ、そのブランドを作ったのは自分なので、結局のところ、表向きにはやっぱり“代表”ってことになるんだと思いますね。

だから、やっぱりFuuTubeは、私にとって “子ども”みたいなものなんです。自分の“分身”だと、誰かにコントロールされるのは嫌ですけど、子どもであれば、いつかは巣立っていくもの。今は別の人間に任せてますけど、自分の思想とはまったく別の方向に行ったとしても、それは任せた人間の選択ですから。それに、正解はないし、成功してくれればそれが正解になるので。

―体制を一新し、新たなスタートを切ったことで、自分から巣立っていったFuuTube。今後のアキバ氏が描く未来はどのように広がっていくのだろうか。取材後、Twitterのプロフィール欄がこのように更新されていた

“3年後の株式上場を目標に新規事業開発中ですW”

連載最終回となる次回は、アキバマサト氏のシゴト観をさらに掘り下げ、Fenixzineを読むすべての人へ向けたメッセージを語ってもらう

【続きの記事】
「ほとんどのチャレンジは失敗する。成功したいならリカバリー力を磨け!」 ~『FuuTube』代表・アキバマサトの仕事論#2~

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アキバマサト

1973年、横浜市出身。高校卒業後、ミュージシャンを経て風俗業界入りし、20年以上のキャリアを持つ。体験男優としての顔は一部に過ぎず、実は大手グループの代表経験もある敏腕ビジネスパーソン。仕事観、人間観、人生観の有無を大事にする。尊敬する人は、やはり実業家だった父とX JAPANのYOSHIKI。非常に繊細なO型。 Fuutube:公式サイト

執筆者プロフィール

新海 亨

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元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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