「ほとんどのチャレンジは失敗する。成功したいならリカバリー力を磨け!」 ~『FuuTube』代表・アキバマサトの仕事論#2~

2016年06月27日

by新海 亨新海 亨編集長

ほとんどの人は失敗するんです。その失敗したときに、それをどうリカバーするか。それが、重要なんですよね。

風俗業界で働く楽しさを知り、瞬く間に役職を駆け上がったアキバマサト氏。
そのアキバ氏が考える風俗業界で成功する条件とはどのようなものなのか。アキバ氏が語ったのは、風俗業界だけにとどまらない、普遍性を帯びた哲学だった。

成功者が語るから、説得力が違う

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―父親がひとつの目標。しかし、早くに亡くなってしまい、箱ヘルの会長にその姿を重ねる

父は社長で経営者だったんですけど、遊んだ記憶がないくらい忙しい人で、ほとんど家にいないんですよ。物心がついてからは、その影響で反発して仲が悪かったんです。

父は会社を切り盛りして、世界中飛び回っていましたが、ある時、倒産してどん底まで落ちたときがありました。けれど、なんか憧れというか、すごく尊敬しています。今でも父親がひとつの目標ではありますね。

でも、父は若くして亡くなってしまったんです。自分が19歳くらいの時に。だから、50、60歳の父親っていうのを知らなくて。

20代の後半くらいですかね、当時働いていた箱ヘル(店舗型ファッションヘルス)グループの会長が、父親と同世代ということで、親父を重ね合せていました。一時期ですけど、その人の下で働かせてもらっていたことがあるんです。

―「おれのもっているものが全部なくなっても、また同じものを作れる」

その箱ヘルグループの会長っていうのが、とてつもないお金持ちなんです。ちょっと世界が違うんです。自分の飛行機とか船をもってるレベルの人ですよ。

普段は、本当にしょうもないことしか言わないんです。でも、たまに刺さるポイントがあるんですよね。今でも覚えているのが、ある時「おれは金持ちだと思うか」って聞かれたんです。

「スーパー金持ちだと思います」って私は答えたんです。そしたら、「おれは金を財産だと思っていない。もし、おれのもっているものが全部なくなっても、また同じものを作れる」

「金は財産じゃない。頭の中に財産をもっているんだ。だからそれをもう一回構築すればいい」

すごい、ありがちなセリフじゃないですか。そんなばかな、みたいな。でもなんか刺さったんですよね。ものすごい成功している人が言うから説得力があるんですよ。

仕事で成功する人の条件

―成功する人はコロコロ言うことが変わる。すごくフレキシブル

私が見てきたなかで、その箱ヘル会長もそうなんですけど、言うことがコロコロ変わるんですよ。もちろん、根拠っていうか、根底がコロコロ変わっちゃダメですけど。微調整がうまい。時に大きくかじを取らなきゃいけないなら、ためらいなくかじを取るんですよね。

「こっちに宝があるぞ!」って気付いたときに、すぐに行動しないと誰かに取られてしまいますからね。細かくフレキシブルに動いているからこそ、逆に芯の部分は変わらないってことも言えると思います。

―人の意見を、自分の引き出しにしまえるか

結局、人の話を内包できる人が成功するんですよ。どんなものでも、自分の引き出しの中に1回に入れるんです。それを使うのか、しまったままにしておくのか、いつでも使えるように出したままにしておくのかは、その人の自由ですけど。

「自分は仕事ができる!」とか信じ込んでる人は、あまり人の話を聞けないんですよね。人の話を聞くっていうのは、承服するとか聞き入れるとか、そういうことではないんです。
あくまで、自分の引き出しの中にしまって、必要なときに使うかどうかなんですよ。

自分とは異なる意見は排除して、中にさえ入れない、引き出しにすら入れないで突き返しちゃう。たまにならいいんですけど、その突き返しが多い人は大体成功しないんですよね。

――アキバ氏が側近を務めた箱ヘルの会長というのは、日本でも5本の指に入るほどの大手風俗グループの会長だ。グループ内で長年働いている社員であっても、会ったことがないような人物だという。軽快に、時にコミカルに語ってくれるアキバ氏の言葉だが、そこには成功者の重みが感じられた

仕事で失敗した人が、成功する条件

―夢を見るのはいいけれど、残念ながらほとんど失敗する

仕事でもなんでもそうなんですけど、なにかに挑戦するってことは、そのほとんどが失敗するってことなんですよ。夢とか、目標をもつってことはいいことです。それは先のビジョンを見るってことなんで、大事なことですよ。

でも、ほとんどの人は失敗するんです。失敗したときに、それをどうリカバーするか。
それが、重要なんですよね。

―箱ヘルの会長は、すべてをなくしても、もう一度構築できると語った。それはすなわち、アキバ氏の言う、卓越したリカバリー力なのだろう

このリカバーってすごい大事ですよね。プロとアマチュアの違いって、リカバーできるかできないかの違いってくらい大事だと思っています。なにか起きるじゃないですか、仕事って絶対に。なにも起きないってことは仕事してないってことだと思いますよ。

成功するためには、なにかに挑戦しなくちゃいけないですよね。目の前に壁があったり、殻があったりするなかで、それをひとつずつ破って進んでいかなければいけないんです。

役所の人を悪く言うつもりはないんですけど、あの人たちは殻を破っちゃダメ。(役所の)なかでうまくやっていく。だから失敗って少ないと思うんです。

この業界って失敗がつきものだと思うんですよ。失敗したときに、どうリカバーするのかを想定しておく。できないかもしれないけど、考えておく。そのリカバー力が高い人間になると成功に近づくと思います。

Fenixzine読者へメッセージ

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―数々の成功者、そして多くの部下を見てきたアキバ氏が語る、Fenixzine読者に向けたメッセージとは

私が風俗業界に入った時は、それこそ刑務所から出てきたばかりとか、家がないっていう人が多くてですね。「自分もあそこのムショだったんですよ!」とか、「あの人まだ服役してるんですね!!」みたいな会話が普通にあって(笑)。

でも、今はそういう人って本当に少数で、どちらかというと、「成り上がりたい!」とか「一旗あげたい!」みたいな普通の若者が多い気がします。まあ、すごく期待外れで申し訳ないですけど、残念ながらほとんど失敗するんです。

ちょっとしたデリヘルグループの店長やエリアを統括する代表とか、1~2軒成功してさらに店舗展開を考えているようなオーナーくらいのレベルになれば、世間一般で言う小金持ちですよ。

高級外車に乗って高級腕時計して、タワーマンションとかに住んでいて、遊びに使えるお金も若い社員の月給くらいあって、さらには年数回くらい海外旅行へ行ける、みたいな。

でも、そこまでいける人は本当に一握りなんですよね。これは、どの世界、業界、職種でも一緒です。結局どうにもならない人が圧倒的に多いんですよ。

そのどうにもならなくなったとき、いかに“どう生き残るか”ってことを考えるのが大切だし、この業界に限らず成功する人って、みんなそこを考えてますよね。

―アキバ氏は去る2014年、度重なる不眠症で1ヶ月の休職をしている。仕事に対してストイックに取り組む姿勢と、物事を突き詰めて考える思考が自分自身を追い込んでいるのかもしれない。そんなアキバ氏は言う

「イヤなものですよ、仕事は。 ……たのしいですけどね」

FuuTubeという子どもを独り立ちさせ、新たなる歩みをはじめたアキバマサト氏。風俗業界出身者による上場企業創出という前例のないチャレンジは、業界で働く人間をいっそう勇気づけるものになるだろう。今後もアキバ氏の“Twitter更新”に注目したい。

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「制約のあるなかで、いかに可能性を見い出せるか」 ~『FuuTube』代表・アキバマサトの仕事論#1~

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アキバマサト

1973年、横浜市出身。高校卒業後、ミュージシャンを経て風俗業界入りし、20年以上のキャリアを持つ。体験男優としての顔は一部に過ぎず、実は大手グループの代表経験もある敏腕ビジネスパーソン。仕事観、人間観、人生観の有無を大事にする。尊敬する人は、やはり実業家だった父とX JAPANのYOSHIKI。非常に繊細なO型。 Fuutube:公式サイト

執筆者プロフィール

新海 亨

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元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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