「『おかあさん』に来る女性を助けるのは原体験からの本能」 ~おかあさんグループ代表・齋藤明典の倫理#4~

2016年07月25日

by赤星 アキラ赤星 アキラ編集長
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ジンセイを再生してくれた熟女の恩人

僕に風俗店を紹介してくれたその人は、本当に心からの恩人だと思っています。職を紹介してくれたのはもちろんなんですけど、当時、僕は借金が結構あったんです。200~300万円くらいでしょうか。起業した時のもありましたし、風俗とか遊びのために借りたものもありました。

毎月6~7万円くらい返済していたんです。苦しくなれば、キャッシングで返したり……、完全に自転車操業ですね。そのうちその熟女に、「ごめん、ごめん」って言って1万円とか2万円とか借りたりして。そんな生活が当たり前になってしまっている状態でした。

そんなまひした人間を見かねて、「このままじゃジリ貧だから! 絶対、将来役に立つから!!」って、彼女は債務整理を手伝ってくれたんです。男としてのメンツがあるから、そんなこと知ったことじゃないって思ったんですけどね。

でも、やっぱり嬉しかったです。そういうふうに言ってくれることが。駄目な僕を真人間に戻してくたんです。そして、今の仕事を紹介してくれた。本当に彼女には感謝してもしきれないですね。

――齋藤さんを再生させた熟女の存在はとてもシンボリックだ。

それは、齋藤さんが、この後、熟女専門店の経営者として大きく飛躍し、いろんな問題を抱えた熟女の再生支援を自ら率先して行うようになるからだ。

しかし、実は齋藤さんにはもうひとつ、ジンセイを通じて動機となる“熟女”への恩義があるという。

実母の愛情を知らなかった―だから“熟女”に救われてきた

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親父は公務員で、母親は農協職員でした。高校を出てから退職までずっと勤め上げた田舎のまじめな両親でしたよ。父親も母親も帰ってくるのは、いつも夜遅かった。だから、僕はおばあちゃん子だったんです。昼も夜もご飯を作ってくれるのは祖母でした。

実は、今の母は僕を生んだ母ではないんです。

中学1年生の時、母子手帳を見てしまって、兄弟3人のうち、自分だけ母親の名前が違ったんです。うすうす気付いていたんですけど、弟ふたりと僕に対する母親の態度が違ってて、なんかちょっと冷たいというか、厳しかったんですよね。

祖母に聞いたら、教えてくれました。生んだ母親は、僕が3か月のころに逃げているんです。原因は父親が酒乱だったから。それで、父親は今の母親の家(齋藤家)に婿養子として、僕を連れてきているんです。だから、祖母は母方の親です。

これはもう自分でわかっているんですけど、僕は本当のお母さんを知らないし、本当に甘えられなかったという感覚がある。だから、年上が好き、熟女が好き、おばちゃんが好きなんですよね。

いま熟女の女性を助けるのは原体験からの本能

事実を知った後も、母親とは普通にやってましたよ。

今でも大好きだし、これからも一生、大切にしたいと思っています。父親が酒乱でひどかったですからね。僕が小さいころから、父親は酒を飲んでは家でめちゃくちゃに暴れて。ずっと殴られてる母親を見ると、本当にかわいそうだった。

どんなに殴られても、うちの母親は耐えて、僕を大学まで行かせてくれたし、僕ら3人の兄弟を育て上げてくれました。そういう環境を実際に見て育ってるから、『おかあさん』に面接に来る女性の話でDVを受けた話とか聞くと、想像がつくんですよ。

もう同情とかじゃないですよね。原体験で入っているので、無意識、本能的に女性がどういう精神状況なのかっていうのがわかるんです。

『おかあさん』には、いろいろな事情で面接に来る女性がいます。離婚資金を貯めるつもりで働くって人は多いですよ。でも、よくよく話を聞いてみると、ただ単に浮気をしたとか、口も聞かない家庭内別居状態だからとか。旦那はしっかり働いて、家庭に給料を入れているわけですよ。それなのに、自分の“女”としてのエゴで別れたいとか言っているんです。

母なのに、いち女の感情で家庭を崩壊させるっているのは違うんじゃないかなって。子どものために別れようっていうならわかるんです。このままでは絶対子どもが駄目になるっていう状況ならね。旦那が働かない、お金を入れないっていうのであれば、理解できますけど。

家庭がある程度、機能しているのであれば、多少は我慢するべきだと面接に来た女性たちに話をします。やっぱり子どもがかわいそうだと思います。


――齋藤さんにとって“熟女”という存在は、宿命ともいえるジンセイのモチーフだ。熟女に救われてきたからこそ、真剣に恩返しがしたいという気持ちが強い。経営者としての齋藤さんと、一人間としての齋藤さんは、熟女という存在を通して、分かち難く結びついている。『おかあさん』というのれんにかける想いは、どこまでも深く果てしない。

次回最終回 8月1日UP予定
「僕は熟女にジンセイを救われたから、死ぬまで熟女に恩返しがしたい」 ~おかあさんグループ代表・齋藤明典の倫理#5~

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齋藤 明典

1968年、岡山県出身。広島大学理学部数学科中退。街の電気店、古本店経営会社勤務を経て、2009年よりおあかさんグループ代表。自身を“古いタイプの経営者”と呼び、松下幸之助や本田宗一郎を尊敬する。酒と麻雀と熟女をこよなく愛す一方、本や音楽、映画などに造詣が深い。座右の銘は「勝負の最中は悩まない」。おかあさんグループ:公式サイト

執筆者プロフィール

赤星 アキラ

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元証券マン。リーマンショックを経て、ハタラクとジンセイをひたすら考え続ける。昨春、縁あって風俗業界に転じ、FENIXプロジェクトを企画。Fenixzineを風俗でハタラク男性のプラットフォームにしていきたい。好きな音楽はV2。福岡市出身。

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