教えてエラい人 ホストクラブは価格に見合う価値を提供する場 トリプルエイトグループ 孔明

2019年10月16日

by新海 亨新海 亨編集長

普段はなかなか会えないエラい人に、仕事の内容や、どうやってエラくなれたのかを、『Fenixzine』編集部が凸撃取材する「教えてエラい人」シリーズ第3弾!

今回登場いただくのは大阪、心斎橋にあるホストクラブ『トリプルエイトグループ』副社長の孔明(こうめい)さん。

ホストに憧れて地元福岡から上京、プレイヤーとして一線で活躍するもお酒で体調を崩してしまい、現在はホストクラブのマネージメントや、運営を行う裏方のスタッフとして活躍されています。

利用したことがない人にとっては、「ホストってなんだか怪しくない?」「チャラチャラした人がやっている業界でしょ?」くらいのイメージしかないのではないでしょうか?

実際に取材して見えてみたのは、ホストクラブという舞台で妥協を許さず、シゴトに向き合うプロフェッショナルな姿でした。

今回のエラい人は関西大手のホストクラブ『トリプルエイトグループ』の孔明さん

今日はよろしくお願います! ていうか、めちゃくちゃすごい内装ですね!! まさに豪華絢爛!! 夢の国のようですね(笑)。


<写真:映画やドラマの撮影にも使われるという『メリーゴーランド』店内>

ありがとうございます(笑)。内装にはこだわっていて、〇億円くらいはかかっていますね。
ええ!
このお店(メリーゴーランド)が高級店っていうこともあるので、非日常というか、夢を見てもらうシチュエーションつくりっていうのはすごく意識しています。
確かに別世界ですよね……。浮世離れしているというか。実際どういう方が利用されるんですか。
初回は2時間3,000円ほどで楽しめるので、一般のOLさんなんかが多くいらっしゃいます。リピーターとしてお越しいただける方は、やはり富裕層の方や、夜のお仕事されている女性が多いですね。
リピータ―の方はどれくらい一晩で使われるんですか?
イベントの時などは一晩で100万円とか。先日は中国の富裕層の方がいらっしゃって初回で300万円くらい遊んでいってくれたお客様もいらっしゃいました。
(目を丸くする新海)

ホストクラブは金額に見合った価値を提供する場所

そもそも、ホストクラブで遊ぶのってお高いですよね?? なんでこんなに高いんですか?
たしかに飲み代で100万円払えって言われたら、誰も納得しないし、そんなのぼったくりですよね(笑)。でも、しっかりと価値を提供して、利用していただけるお客様がその金額で納得できたなら、サービスとしては成立するんですよ。
でも、3ケタ万円ですよ!? 多少はダマしたり、しぼりとったりっていうのがあるんじゃなんですか!?
例えば、飛行機のビジネスクラスとか、ホテルのスイートルームっていうのは内装とかサービスとか、いろいろな面で価値を提供しているから、普通のものより料金が高いわけですよね。その価値を作り出すこと。つまりは”高い”と思わないくらい、楽しませることや喜ばせることが僕らの本質なんですよね。
確かに、価値を感じてもらえればどんな値段でも成立しますよね……。でも、その価値ってどんなものなんですか?

最初に言った通り、普段味わえないような経験を提供することだと思います。イケメンの男子にお姫様のように接してもらったり、めちゃくちゃ盛り上げて楽しい時間を過ごしたり。

ニーズは人それぞれですけど、ホストクラブっていう場所が必要とされて、非日常の経験を味わっていただく。その対価に見合うサービスを提供する。それがホストクラブの価値だと思っています。

トップの稼ぎは5,000万円以上! その秘訣は“心構え”にあり

それだけ大きなお金が動く業界で実際、トップのホストってどれくらいの売上があるものなんですか?
うちのトップのホストで年間5~6,000万円くらいは稼いでいます。賞金とか含めるともっといくかもしれないですね。
しゅごい……。日本の中でも5,000万円以上稼いでいる人って1%いないっていわれてますよね。同じホストの中でそこそこの売上の人と、トップクラスの人の差っていうのはどんなところなんですかね?
心構えですかね。


<写真:シュっとする孔明さん>

心構え?
例えば、たまにあるんですけど、富裕層のお客様が突然フリーで来店されて、「今日この100万円使うんだけど、誰にしようかしら」みたいなことが。
絵に描いたような富豪ですね……。
そうですね(笑)。心構えが不十分なホストは、髪をちゃんとセットしていなかったり、服をクリーニングに出してなかったり……。100万円使うつもりのお客様に対して、100万円分を楽しんでもらえる接客をしようと思ってお店に来ていないんですよね。
トップのホストたちは、いついかなるときも自分がどう見られているかを意識しているんです。
プロフェッショナルなわけですね。
そうですね。やはり努力って言う意味では半端じゃないものがありますよ。一般的な女性の何倍も美容にお金を掛けていたり、服装などの身なりも一瞬たりとも気を抜かない。トップのホストっていうのは、そんな人物じゃないとたどり着けないところではありますね。
華やかなイメージがありますけど、泥臭くというか、すごく努力をされているんですね……。

実際、500万円とか、600万円の稼ぎで満足してしまうホストもたくさんいます。ある程度の稼ぎがあれば満足してしまう若い子は正直多いですね。

でも、貪欲に野心をもってホストやってる子は、「もっと僕を売り出してください!」とかめっちゃ言ってきますからね。

ホストのマネージメントの仕事はタレントやアイドルのそれと似ている

話はかわりますが、孔明さんはホストクラブの裏側を支えるポジションなんですよね? 実際どんなお仕事をされてるんですか?
裏側全般ですね(笑)。簡単に言うとホストの子たちのマネージメントが主ですかね。どうやったら、お客様に求められている接客ができるのか、とか。もっと極端にいえばどうすればもっと稼げるようになるのかとか。
ナルシスト養成講座みたいな感じですか!?
全然違いますね。


<写真:すごく冷静に否定する孔明さん>

わかりやすくいうと、タレントとかアイドルみたいな芸能人のマネージメントと似ていると思います。そのホストの特徴を生かして、どうしたらもっと売れるのかを考えるみたいな感じですかね。
ナルシストみたいな感じがお客様に刺さりそうだなって思えば、そこを磨いて接客しようって言いますし、逆に面白系がハマるって子には盛り上げる方法を考えたりしますし。
“ホスト=キザ”っていう勝手な先入観がありますけど、そこはいろんな方法があるんですね。
そうですね(笑)。だからおもしろいし、ハマって人気がでたりすると、一緒に頑張ってきてよかったなって思いますよ。
裏側の内勤スタッフに求められる素質みたいなものはあるんですか?
ホストクラブの主役はあくまでお客様とホストなので、そこを徹底的にサポートするっていう精神ですかね。
地味だなって誤解してほしくないのは、主役だけじゃ舞台は完成しないんですよ。僕らみたいなサポートする人間がいて、初めてホストクラブって成立するんです。だから、自分たちが売り上げの一部を担っているっていうことは絶対忘れてほしくないですね。
価格に対する価値をつくる部分にバックヤードのスタッフも含まれているってことですね。
そうそう。一流のレストランは料理も最高だと思うんですけど、接客してくれるホールスタッフとか、ソムリエも一流じゃないですか。それと一緒です。

ホスト業界をビジネスとして捉えることで視界が広がった

孔明さんご自身はホスト業界って好きですか?
そうですね……。最初は興味本位で初めて、お酒も飲めた方なので、ワイワイやって稼げるし、楽しいなくらいにしか考えてなかったんですよ。
ただ年齢を重ねていく毎に、「あれ?このままでいいのかな?」っていろいろ考えるようになったんですよ。ちょうどそれくらいに体調を壊して、ホストを続けることが難しくなったんですよね。
それで内勤スタッフの道に?
そうです。当時、歌舞伎町のお店に勤めていたんですけど、当時の社長がめちゃくちゃ仕事ができる人で、その人の下で働いているうちにホストっていうものをビジネスとして捉えられるようになったんですよね。
サービスの質を追求することで、売上があがったり、マネージメントの結果が見えたりとかですか?
そうです、そうです。どんな仕事も同じだと思いますが、ホストっていうシゴトも実はすごく奥深いなって感じたんですよ。
そこからですかね。本当の意味でホスト業界が好きになったのは。実力社会だし、個人の成績がものをいう世界ではあるんですけど、僕らみたいな裏方の頑張りによってもお店をもっと成長させていくことができる。すごくやりがいを感じますよね。


<写真:新海、ちょっと惚れそうになってしまった孔明さん>

華やかな世界の中で、価格に見合う価値を生み出し、納得してもらうサービスを提供する。

大金が動く分、利用する女性からの搾取をイメージされがちなホスト業界ですが、ビジネスの本質としては、サービス業の究極系とも言えるシゴトなのかもしれません。

ホストという表舞台から退きはしたものの、裏側で店舗を支えるシゴトにやりがいを見出した孔明さん。

その目は現役時代の鋭さを失わず、常に前をしっかり見据えていました。

やっぱりエラい人の考え方はすごかった!

孔明(33)

TVで見たホスト業界に憧れて地元福岡から上京。激戦区の歌舞伎町でトップクラスの実績を誇るも、体調を壊し引退。内勤スタッフを経験した後、現在は関西の『トリプルエイトグループ』に在籍。店舗マネージメントを担う副社長としてグループの発展に邁進している。

執筆者プロフィール

新海 亨

新海 亨編集長記事一覧

元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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