“コロナ禍”での新店ラッシュ。なぜ『ちゃんこFC』なのか。“ぽっちゃり”なのか~ちゃんこFCグループ代表 渡辺高之 #01

2020年09月03日

by松坂 治良松坂 治良編集者・ライター

――2010年に誕生。2020年7月時点で、全国49店舗のフランチャイズ展開を行っていた『ちゃんこFC』。

取材で顔を合わせた渡辺代表は、しかし浮かない表情だった。

「やっぱりお店も、コロナの影響が大きいですか?」

そう聞くと、代表は首を振った。ぽっちゃり専門デリヘル『ちゃんこ』は今、むしろ好調なのだという。なんと6月から7月にかけて11店舗、8月に5店舗、9月にもさらに5店舗がオープンする。実に59店舗。“50”の大台を、一気に超えたのだ。

「そのわりに、暗くないですか?」

不躾を承知でさらに聞くと、代表は苦笑した。「そりゃウチは良いですけど、暗いニュースばかりじゃないですか」

・コロナ解雇3万9,059人(厚生労働省7月28日発表)。6月の休業者236万人(総務省『労働力調査』7月31日公表)。

「失職する方が、これから増えるんじゃないかなって。すでに給与を削られて困っている休業者だって、少なくないでしょう」

もちろん渡辺代表は「だからフランチャイズオーナーに」と短絡的に語るつもりはない。だがこのコロナ禍に限らず、食べていくには、いや、食べるだけではなく大きな収入を得るには“こういう道だってある”と、知っておいてほしいのだ。

「遊んでは儲かりませんよ。でも“きちんと”やれば、誰だって稼げますから。それもたくさん」

事実この状況で、『ちゃんこFC』は出店ラッシュ。その秘密の一端を語ってもらった。

“開業”のメリットは、実は他社と変わらない。その先

言うまでもないですが、『ちゃんこFC』だって、デリバリーヘルス(デリヘル)です。

だから他業種と比べた開業のメリットという意味では、他社とウチはさほど変わらないんですよ。対面受付の店舗がいらず、少ない資金で開業できるのは、どこも一緒なんです。

そこで「ちゃんこは何が違うのか?」と問われたら、1つは単純です(笑)。知名度が高かったり、自店ホームページのフォーマットができている分、“さらに”コストを抑えられるんですね。

FC料金は15万円で十分。ロイヤリティなんていらない

そして本題はここから。言ってしまえば、開業だけなら誰でもできるんです。大事なのはお店が“黒字化”すること。もっと大事なのは、黒字が“続く”ことですよね。

その意味で言えば、ウチはランニングコストが割安です。

FC料金は15万円としました。事業を始めた当時、30万円とか40万円取る業者さんもあって、単純に「高いな」と思ったんですよね。もし自分だったら、「FCになんて加盟しないで、1人で頑張るか」となっちゃう気がしたんです。

あとは売上に応じたロイヤリティなんかも、僕は正直「いらないな」って。月15万円のFC料金を頂く以上の、何が他にいるんだと(笑)。皆さんオーナーになって、カツカツの生活がしたいわけじゃないでしょう。始める以上、みんなに儲かってほしいじゃないですか。

だから上の図で言えば、1日に4本のお仕事があればお店は黒字化するわけで、事実オープンから1か月で25万円の純利益を挙げたお店もあります。でも僕はそんなところでご満足頂くために、フランチャイズ事業に乗り出したわけじゃありません。

だいたい3か月から、長くても半年ですかね。踏ん張って頂ければ、粗利60万円というところに持っていけます。

今までの最高売上?(笑)。ごめんなさい。そこは今回、秘密にさせてください。「お会いできたら必ず教えます」という流れにしたいんです。

ただ早い方であれば、3か月で月3ケタの利益も出せます。とりわけ難しいということもないですよ。それができるノウハウを、この10年で『ちゃんこ』は十分培っていますから。

実際オーナーの前職や経験は様々です。もちろん性別も関係ありません。現に成功を収めた女性オーナーだって、複数いますよ。

“ぽっちゃり店”ということが、最大の利点になる理由

もちろんコストを抑えられるということだけが、利益の要因ではないんです。月3ケタの利益を目指せるのには、それだけキャストさんの応募がなければいけないし、お店の人気だって必要ですよね。

ここで強みになるのが、まさに“ぽっちゃり店だから”ということなんですね。

そしてこの中でもいちばんのメリットは、④ の“性格の良いキャストさんが多い”ということだと思います。

なぜそれがメリットになるのか、そもそもどうして『ちゃんこ』のキャストさんが相対的に性格が良いのか、わかります?

全員が、とは言わないですけど、みんなどこかで傷ついているんですよ。

程度の差はあっても、体型で断られたり、心ないことを言われたり、中にはお店の写真加工があまりに強すぎて、そこで悲しい思いをしたという子もいました。

写真で嫌な思いをするのはお客様だけじゃないんです。想像すれば僕らだって同じじゃないですか。ドアがガチャって開いて、相手に露骨にがっかりした顔されたら、気分良くないでしょう。

ウチは体型で人を切らない。写真だって基本的には“あなたのままで良いです”という方針です。お客様に対しても、スタッフがキャストさんの容姿でウソをつくことはないですよ。

そのスタッフの様子を見ればね、「頑張ろう」ってキャストさんは思ってくれるものなんです。だから『ちゃんこ』のご利用者はぽちゃ好きという方だけじゃありません。「このサービス料金で、こんなに良い子が?」というファンも獲得できたんですね。

10年前に僕がぽっちゃり店をスタートさせたきっかけは、“偶然”と言っても良いぐらいのものでしたけど、ここは本当に嬉しい誤算で、だからこそFC展開もありえたんです。

“コロナ禍”で大躍進。キーワードは“地方”

どうしてコロナ禍でも私たちは負けなかったのかと言えば、ここもキャストさん達の力が大きかったように思います。3月~4月の『ちゃんこ』は1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)で約50%の売上ダウン、地方で約30%のダウンを経験したんですが、キャストさん達は残っていてくれたんですね。

卒業間近の子以外は「戻ろう」という心づもりでいてくれて、それが現状維持と、緊急事態宣言解除後の6、7、8月の好調、9月も含めた出店ラッシュに繋がったんだという気がします。

また戦略という面では、それまで地方出店を奨励していたことが、思わぬ効果となって現れました。もともとの地方出店のメリットは、こういうものだったんですね。

データとして私たちには、人口15,000人の都市でも利益を上げている実績があります。

その上で“コロナ禍”に直面していた5月、40店舗のうち10店舗が1都3県に、残りの30店舗が地方にありました。

一概には言い切れませんが、地方の方が人口密度や他産業の営業時間の面で、感染リスクが低かった。少なくとも気持ちの面で、首都圏よりデリヘルを利用しやすい環境にあったんだと思います。地方を約30%の売上減で済ませられたことが、その後の立ち直りの早さに寄与したのは間違いありません。

これは予想していたわけではないんです。費用対効果の面で地方での出店を勧めていたことが、今回たまたまリスクの分散と体力の温存、新たな展開に繋がったんです。

「やっぱり東京一極集中はダメなんだな」って、僕は今になって思ったぐらいなんですよ(笑)。

――よりコストを抑えて開業できること、“ぽっちゃり”と地方展開の強みはよくわかった。そこで気になるのは、渡辺代表が“なぜそんなことを思いつけたのか”ということだ。

「FC展開を考えて、ぽっちゃりブランドを立ち上げたんじゃないんですね?」
「違います(笑)。当時ブランドになるとさえ思っていない」

だが結果論でFC展開の仕組みはつくれないはずだ。次回渡辺代表の半生を紐解き、発想の“源泉”を探ってみよう。

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“開き直り”からの『ちゃんこFC』全国展開。“思いつけた”のはどうしてか~ちゃんこFCグループ代表 渡辺高之 #02

渡辺 高之(わたなべ たかゆき)

愛知県出身。業界歴は14年。兄の影響で水商売の世界へ。その後21歳で上京。様々な職を転々とし、23歳で業界に。2010年“ぽっちゃり”専門デリヘル『ちゃんこ』の1号店を渋谷に開業。わずか2年でフランチャイズ化に踏み切り、代表に就く。2020年8月現在54店舗を展開中。37歳。

執筆者プロフィール

松坂 治良

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小さな出版社などを経て、”誠実に求人広告をつくろう“という姿勢に惹かれ、現職に就く。数年来クラシック音楽と仏教に傾倒中で、最近打たれた言葉は「芸者商売 仏の位 花と線香で 日をおくる(猷禅玄達)」。……向き合った相手の“人となり”や思いを、きちんと言葉にしたいと願う、今日このごろです。

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