「チャンスは平等に流れている! モノにしたいなら我を捨てろ」~吉原『シャルマン』店長・霜村栄治さん#2~
2016年07月14日
30歳で風俗業界入りして、わずか1年で頭角を現し店長に抜擢。現在、吉原ソープランド『シャルマン』で店長を務める霜村栄治さん。一見、誰もがうらやむ華々しい経歴だが、スピード出世の背景には、派手さとは真逆の泥臭い努力の積み重ねがあった。
今回は、風俗業界で働くうえでの心構えや成功するための秘訣、同僚との接し方など、敏腕店長の仕事へのこだわりについて迫ります。
出世したい、稼ぎたいと思うなら、まず「我を捨てる」こと
――お店のボーイさんとは、どのようにコミュニケーションを取っていますか?
「俺は店長だぞ」という空気を全面に出すのは、あまり好きではないんです。
だから、みんな同じ仲間として冗談も言いますし、和気あいあいと、いろいろなことを話します。オープンでないと、お店の雰囲気が悪くなるので、それは特に心がけていることのひとつですね。「いつでも話を聞けるんだよ」という状態を見せておけば、スタッフになにかあったとき、彼らが相談しやすいと思うから。
――どのような相談があるのですか?
金銭的なことやお休みに関すること、あとは出世したいとか、さまざまです。
女の子もそうですけど、男性スタッフも自分の時間と身を削って頑張っているわけなので、たくさんお金を稼いで、たくさん貯めないとやっている意味がない。男女共に長くできる仕事ではないし、働いている間にどれだけ形として残せるかが大事だと思うので、社長も僕も男性スタッフには常々言っています。
――現在、お店のボーイさんは霜村さんより年上の方が多いそうですが、接し方で悩むことは?
年配の方は、ちゃんと会話ができるんですよね。こっちの言っていること、指示していることを理解してくれるので、対応に困るということはあまりないですね。逆に若い子は、現代病じゃないですけど、指示待ち族だったり、「だりー」とか「やってらんねー」とか、その場の感情に流されてしまう子が多いような気がします。
――若い方でも社会人経験がある程度あって、いわゆる常識的な人の方がいいのでしょうか
そうですね。ただ、風俗業界には一般常識が通用しない部分があるので、僕がいつもスタッフに言っているのは「我を捨ててください」ということ。
――「自分はこうしたい」という欲を捨てる
そう。「まずは我を捨ててください。まっさらのスポンジになってください」ということを伝えます。
仕事を覚える時間の長い短いは個人差があるんです。ただ、我があるのとないのでは成長の度合いが全然違うので、そこだけは常に言っています。自分の性格を変えろとまでは言わないですが、自分の我を押し殺せるかどうかで伸び幅が全然違います。
――深いですね。でも「我を捨てる」って、なかなか難しいことですよね
難しい。すごく難しいです。僕も言っているだけで、できていない部分が大いにあります。だから、それをスタッフに言うことで自分を戒めているところがある。社長や部長に常々ご指導いただいています。
僕には、自分に足りないところを補ってくれる先輩方がいるので、その教えを少しでもスタッフに伝えたい。スタッフの誰もが社長と話をしたり、情報交換をしたりできるわけではないので、店長である僕が、先輩からいただいたお話を少しでもスタッフに言い広められればいいなと。
――業界の先輩の言葉をしっかり受け止めることが大事なのですね
一番大事だと思いますよ。
実は、僕が店長になってすぐくらいに、親父が亡くなってしまったんです。もっと人生の先輩として、この業界の成功者として、アドバイスをしてもらいたかったなという気持ちが大いにある。だから、社長を含め先輩方にいろいろとご指導いただいて、自分なりにアレンジしていければいいのかなと思っています。
――お父様が経営をされていたということで、ほかの方よりは吉原になじみがあったと思うのですが、実際に働く前と後では見方は変わりましたか?
かなり変わりましたね。
入る前は、言い方は悪いですけど、「チャラいな」「楽だな」って思っていました。成功していた親父しか見てなかったので、「夕方に出勤して、休みはゴルフばっかり行って、仕事してるのか」って。でも自分が『大奥』に下足番から入って、びっちり仕事を教えてもらった時に「親父はこんなにすごいことをしてきたのか」と。
――成功して、悠々自適の生活ができるのも厳しい下積みがあってのことだった、と
そうですね。今は、入社後すぐに店長になれると思って来る人がかなり多いんですよ。そういう人には、理想と現実の温度差を説明します。
僕は新人のころ、上に上がりたいとかどうこうよりも、まずは自分に任された仕事を全うしなければいけないと思って懸命にやっていた。結果、その働きぶりを社長を始めとする周りの方が評価してくれたんです。真面目にやって、周りから評価してもらうというのが、やっぱり一番ストレートなやり方だと思います。そこに邪念が入ると、あまりよくない。
よく社長が話してくれるのですが、「なんで僕にだけチャンスが来ないんだという子がいるけど、それは違う」と。チャンスはみんな平等に流れている。そのときにその人が、どれだけ神経を尖らせて、来たチャンスをつかめるかどうかなんですよね。
僕はずっと現場主義。考えるより、その場に集中して結果を出す
――このお仕事のやりがいを挙げるとしたら?
やりがい……。やりがいってなんだろう、考えたことないですね。
あ、昔の上司に言われたんですけど、僕は、ばかで考えてもわからないんで、「3分考えて、わからなかったら考えるな」と(笑)。だから、僕はずっと現場主義なのかもしれないです。考えてもわからなかったら、そのことは考えないで「次、次!」って行動していくんですよ。
あえてやりがいを挙げるなら、やっぱり女の子あってのお仕事なので、女の子が満足して、目標金額を達成して帰ってくれることですかね。それが一番です。
店長の目標というと、とにかく売り上げを上げることだと思われるかもしれないけど、僕の場合、あまり売り上げって追いかけないんですよね。結局それって、僕のかじ取りひとつの問題じゃないですか。売り上げを追いかけすぎると、僕はそこまで人間ができてないので、思うようにいかないとイライラしてスタッフや女の子に当たって、という悪循環になってしまうと思うんですよ。
だから、目標金額にとらわれず、そのときその場で、目で見ているものだけに集中します。たとえば予約の札数とか、空いている女の子の数とか、その場の数字だけを頭に入れて、パズルみたいに足りないピースを埋めていく。それが結果に結び付くんです。
――なるほど。たしかに女の子も頭ごなしに言われたら、テンションが下がってしまいますよね
それも社長に教えてもらったことです。「お前のかじ取りがテンパってるのはお前の責任で、周りの子たちには関係ないんだよ」と。
店長は、どんなに頭がフル回転でパンクしそうになっても、常に誰よりも冷静でなければいけない。自分からしたら一対何十人かもしれないけど、女の子からしてみれば、たったひとりの店長で、最後の砦なんです。
最後の砦に相談に行ったのに、店長である僕がテンパってて、「忙しいから後でね!」って跳ね返したら、その子の気持ちは、もう僕のところへは戻ってこないんですよ。それを痛感してからは、売り上げに執着するという重たい足かせは、なるべく外すことを心がけています。
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「親父を抜いて、吉原の“一軒持ち”になりたい!」~吉原『シャルマン』店長・霜村栄治さん#3~
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霜村 栄治
1980年生まれ。吉原ソープランド『Charmant(シャルマン)』店長。花街として有名な墨田区の向島出身で、父親は吉原ソープの社長であり、幼いころから風俗業界を身近に感じて育つ。アパレルや水商売など、さまざまな仕事を経験した後、30歳で風俗業界に転職。吉原シャルマン:公式サイト
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