風俗店が取り組むべき“性病”対策 ~新海亨、今賀はるに会いに行く

2017年01月10日

by新海 亨新海 亨編集長

男性が、風俗を利用しないひとつの理由として、性感染症やいわゆる“性病”にかかるリスクがあります。家庭があったり、パートナーがいたりする場合、これらのリスクは深刻です。

今回は、性病対策の活動を積極的に行っている現役キャストの今賀はるさんに、風俗店が取り組むべき対策について語っていただきました。

現役キャストから見る風俗店の性病対策

今賀はる

本当なら、国が風俗店に対してしっかり性病に関する制度とか、法律を作って管理すべきだと思っています。

「定期的な性病検査を行っていない店舗は摘発します!」みたいな感じになれば、利用する側も働く側も、少なくとも今よりは安心できますから。

けれど、今の状況だと国が、なかなかそこまで手を出せないということは理解できます。だから、店舗と働く女性が性病に対して、もっと積極的に対策をとっていく必要がありますよね。

風俗店舗の性病対策

私が知っていたり、聞いたりしたことがある範囲でいうと『シンデレラFC』グループさんと『おかあさん』グループさんはすごく性病対策をしっかりされているなと感じています。

『シンデレラFC』グループでは、月1回の性病検査の徹底

『シンデレラFC』グループさんは、月1回の性病検査を働く女性すべてに義務付けていて、検査をしないと働かせてもらえないということを聞いたことがあります。

私の経験では、そこまで徹底しているお店がないので正直驚きましたね。

自分では定期的にしっかりと検査を受けていても、同じ店舗で検査をしない女性が一部で存在するとします。こうなると、同じお店のいろいろな女性をリピートするお客さんから感染してしまう可能性があります。

「正直者がばかを見る」ではないですけど、全員に月1回の検査を義務付けていれば、そういう不公平はなくなりますよね。

『おかあさん』グループでの革新的な性病対策の取り組み

以前のセックスワークサミットで登壇されていた齋藤明典さんが代表を務める『おかあさん』グループは、さらにすごいことをしていますよね。

キャストのプロフィールに検査実施の有無を公表しているんです。利用するお客さんからすると、検査を受けているかどうかを見れるというのはすばらしいと思います。

高い意識できちんと性病対策に取り組んでいる女性がわかりますから。

おかあさん_性病検査

きっとフリーのお客さんは、検査を受けている女性を選ぶと思うんですよ。これは、稼ぎやすくなるということにつながりますから、女性が検査を受ける動機付けになりますよね。

さらに、すごいのは利用するお客さんに対して検査キットを販売しているところです! これが、かなり手ごろなお値段なんです!
(詳しくは池袋おかあさんHPへ)

奥さんに内緒で風俗に通っている方には、すごく受けがいいかもしれませんね。しっかり検査をしておけば、大切なパートナーに病気を移してしまう前に対策がとれますし。

しかも、検査キットを購入したお客さんには、3か月間1000円割引、もしくは10分延長サービスというビジネスモデルはとても画期的だと思います。

風俗で働く女性の性病対策

お客さんだけでなく、働く女性も性病に対する意識を高くもってもらいたいです。

検査にかかる数万円をケチって、完治まで何か月もかかる性病にかかってしまったら、それこそ何十万円も稼げるチャンスを逃すわけです。

こうなると、収入面でダイレクトにダメージを受けてしまうんですよね。だから、最低でも月1回は検査を受けてほしいです。

ところで、私自身もそうだったんですが、風俗の仕事を始める前まで性病検査という存在自体を知らなかったんですよ。

今、厚生労働省がセーラームーンをキャラクターに使って、「検査しないとおしおきよ!!」という広告が話題になっています。でも、検査というものを理解できる人がどこまでいるんだろうと疑問ですよね(笑)。

厚生労働省性病検査_セーラームーン

店舗スタッフさんは、「定期的に検査をして早めの治療が何よりも大切!」ということを風俗の仕事を始めたばかりの女の子にしっかり伝えてほしいですね。

問題を知ろうとしないことが問題

性病を甘く見てはいけないですけど、定期的にしっかり検査をして早期の治療ができれば、それほどビビる必要はないんです。

問題なのは、性病という問題を知ろうとしないこと。風俗店も働く女性も“性”という分野を取り扱う以上、性病という問題を知り、それと向き合って対策をとっていくことが必要なんです。

今賀はる

今賀さんは、自身が代表を務める『手コキ研究会』というイベントで、定期的に性病やAIDSに関する啓発活動を行っている。

私が今できることと言えば、『手コキ研究会』で性病について知ってもらうということです。入り口はふざげた感じですが、ついでに性病対策などのまじめな話ができればいいなと。

問題の核心に触れるほど深い話はできないけど、参加者の皆さんのどこかに引っかかって、性について関心をもってもらえたらなと思っています。

とにかく問題提起をしていくことが大事なんですよ。先日、『手コキ研究会』に参加して、性病検査を受けてきたって人がいたんです。すごくうれしかったですね。

性病について知ることが、一番の性病対策であると今賀さんは言います。

働く女性やお客さんが問題意識をもつとともに、両者が安心できるようするにはどうしたらいいのかを風俗店側も真摯に考えなくてはならないと思います。


風俗店が性病対策をしっかりとっていけば、女性やお客さんからの信頼は向上しますし、ひとつのブランディングに成り得るはずです。

今後、「性病が恐いから風俗に行かない」という人が、ひとりでも少なくなることを願っています。

今賀はる_プロフィール

今賀はる

静岡県出身。大学院で管理栄養士の資格を取得するも、就職活動時に交通費を稼ぐため始めた風俗の仕事で“性”の魅力に気付き業界入り。現在はキャストとして働きつつ、AV女優としても活躍。性感染症予防の活動や働く女性のセカンドキャリア支援に取り組んでいる。趣味はサーフィン。『手コキ研究会』代表。
Twitter→@ho1no1ka

【手コキ研究会】の記事はコチラ → 風俗店スタッフさん必見! 『手コキ研究会』に行ってみた!!

執筆者プロフィール

新海 亨

新海 亨編集長記事一覧

元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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