「絶対にあきらめなければ大丈夫」そう信じた赤坂店~『かりんと赤坂』店長にしやまさん#2~
2016年12月22日
創業メンバーのひとりとして、『かりんと神田』の立ち上げに大きく貢献したにしやまさん。その功績から新たの開業した赤坂店の経営を任されることとなる。
しかし、自信をもって望んだはずの新天地で、にしやまさんは思わぬ苦戦を強いられることになる。
自分の甘さを痛感した赤坂での新規出店
2014年の8月に『かりんと赤坂店』をオープンしました。けれど、ふたを開けてみたら、お客様が全然来ないんです。
当時の神田店では毎日50人近くお客様が入っているのに、赤坂は3人とか……。
でも、なんと言っても当時、神田店がうまく立ち上がって調子に乗っている僕ですから、神田店と同じようにやろうとしたんです。
ほかにうまく立ち上げる術を知らないので、同じようなことしかできなかったっていうのもありますけど。
赤坂という土地柄、風俗店が少ないですし、お客様の数が少ないのはある程度予想していました。
けれど、神田であれだけ人気店になったので、『かりんと』という認知度はあるだろうと、お客様や働く女性も来てくれるだろうと思っていたんです。
でも、そんなこと全然なくって。今考えると甘かったなって思います。本当に……。
それでもスタッフを励ましながら、時には励まされながら、少しずつ、少しずつなんですけど売上を伸ばしていきました。
「今月もなんとか、先月を越えたね」みたいな。もう本当に超牛歩でしたね(笑)。
ブレずに地道にやっていこう。少しずつでも積み上げていこうという気持ちでやっていました。けれど、オープンから1年経ったときに、予想以上に伸びが小さすぎて、これはヤバいなと思ったんです。
とんでもないですよね(笑)。「3か月で立ち上げる」って豪語していたくせに。
予想以上の苦戦を強いられた『かりんと赤坂店』の立ち上げ。オープンから一年が経った2015年夏、にしやまさんの心に変化が訪れる。
オープンから1年経った2015年8月の段階で一日の接客数が20件程度にしかならなかったんです。
なんとか黒字に転換はできていたんですけど、利益はほとんど上げられない状態でした。
2015年の7月に秋葉原店も新規オープンしていて、同時立ち上げをしている分、オーナー自身はかなりきつい思いをしていたと思うんですよ。
本来であれば先にオープンしている赤坂店が利益を上げて、後発の店舗を援護射撃しないといけないはずなのに、全然役に立ててなくって……。
オープンから一年経ったとき、なんか火が着いたんです。自分たちができることを一度すべて見直そうと思いました。単純にお金をかける以外のところです。
女性求人をイチからすべて見直した
まずは女性求人の施策を思いっきり変えました。求人サイトはもちろんのこと、オフィシャルサイトの文言など、何から何まで見直したんです。
単純に情報量を増やしただけではなく、誤解を招いたり、誇張しすぎている部分を削除しました。
興味をもって見てくれた方に、「安心して長く働けそうなお店だな」って思われるようにしたかったんです。
あとは、やはり稼げないお店なので女性が辞めていくんですよ。ですから、当時26歳だった男性スタッフと、とにかく積極的に女性へのコミュニケーションを心がけました。
もちろん以前から女性を大事にしていましたが、より細かい心的ケアなどを心がけるようにしたんです。
本来なら女の子がもっと働きやすくなるように事務所の環境や、待遇を整えたかったですし、いろいろサポートしたかったんですけど、なんせお金がないので……。
一年間を振り返って、どうやったら女性が『かりんと』に興味をもってくれるか、辞めないで続けてくれるのか、働きやすい環境になるのかをすごく見直したんです。
そうしたら、その時の女性が残りつつ、2015年10月から12月くらいにかけて女性が10人ずつくらい増えていったんですよ。そこで一気に売上が伸びましたね。
現場の店舗スタッフに経営者としての当事者意識を
もうひとつは、一緒にやっていたスタッフがすごく信頼のおける人間だったので、店舗の経営状態について正直にすべて話したんです。当事者になってほしかったんですよね。
これは今でもそうなんですが、僕と一緒に働くスタッフには、全員が経営者になってほしいと思っているんです。
この業界って結局、人しか動かないんですよ。お客様だったり、女性だったり。
人に動いてもらってお金を稼ぐ方法を知って、それが経営としてどうなっていくのかを自分でコントロールできるとしたら、多分どの業界に行っても通用するはずです。
スタッフには一緒にステージを上がるつもりで、風俗の仕事を通してお互い経営者としてやっていく実力を養っていきたいと思っています。
細かい売上の話はもちろんのこと、「ここの数字が上がれば、ここもこうなるよ」みたいなお店の経営については、包み隠さずに共有するようにしていました。
自分が上の立場でスタッフにいろいろ教えるんですけど、逆に彼らから教わることも多かったです。食事によくいっていたし、本当に戦友みたいな感じで仕事ができていました。
一人じゃなかったから、つらい時に踏ん張れたっていうのはありますね。
「絶対にあきらめなければ大丈夫」そう信じることができた赤坂店
なかなか結果がでなかったので、いろいろ試したりしたんですけど、自分の方針だけは絶対にブレないようにしていました。
「うちは着実に歩んでいこう」とか、「積み上げ式のお店を作るんだ」っていうことを常に言ってたんです。
一人ひとりの女性がいいサービスをして信頼を得ることで、今接客したお客様が満足してくれて、また来てくれる。そうやって、絶対積み上がっていくはずなんですよ。
実は、赤坂店オープンの早い段階に、風俗口コミサイトの『kaku-butsu(カクブツ)』さんで、いきなりある女性が90点台をたたき出しまして、東京オナクラ1位の好評価を頂いているんですよ。
赤坂店の女性のサービスについて、絶対的に間違ったことをしているつもりはなかったんです。スタッフや女性を含めて、本当にみんなが頑張ってくれていたのはわかっていましたので。
間違っていないってことは、どんなに歩みが遅くともいつか爆発するだろうっていう確信がありました。
そこはすごく簡単でした。本当に。
オープンから2年が経過した2016年8月、『かりんと赤坂店』は目標としていた売上金額をついに上回る。現在は安定し、着々と数字を積み上げているという。
意外なのは、思うように結果が出ず、苦悩と葛藤を繰り返した赤坂店の立ち上げをにしやまさんは「すごく簡単でした」と語ったことだ。
それは自分の信じた道から逸れず、そして逃げずに突き進んで得た結果からくる言葉なのだろう。
次回は、ネットカフェ難民を経験したというにしやまさんの半生と、風俗業界に転じた理由を語っていただく。
次の記事>> 成功の原体験と人生の底を味わったネットカフェ難民時代~『かりんと赤坂店』店長にしやまさん~
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にしやま
1985年、福島県出身。大学卒業後、大手一部上場企業に就職。1年でベンチャー企業に転職した後、自身で会社を起業した経験も持つ。2012年より風俗業界入りし、いくつかの店舗を経験する中で現オーナーの誘いから創業メンバーの3人として『かりんと』グループを立ち上げる。“その先”に寄り添う、ユニークで優しいフーゾクカンパニーを目指す。
かりんと赤坂:公式サイト
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