風俗業界から新たなステージへ進む! 『かりんと』のこれからと風俗業界の働き方~『かりんと赤坂』店長にしやまさん#4~
2017年01月19日
上場会社に就職するも起業のため退職。しかし、起業した会社は畳むことになり、ネットカフェ難民に転落したにしやまさん。
それでも『かりんと赤坂』を見事立ち上げ、風俗業界で飛躍している。
最終回となる今回は、これからの『かりんと』グループと、にしやまさんが考えるこれからの風俗業界の働き方について伺う。
これからの『かりんと』の方向性という話
これからの『かりんと』はもっとライトで、エンターテインメントを提供できる存在になりたいです。もうちょっと“サブカル”的な要素を取り入れていきたいと思っています。
風俗は、どうしてもアンダーグラウンドなイメージがありますよね? 働く側にも、利用するお客様にも。それはそれでいい所でもあるんですけど、ただ、もう少しだけ抵抗がないものにしていきたいんです。
よくDMMさんを引き合いに出してお話したりするんですけど、『かりんと』で得た資本を基に、何か別の事業を展開していきたいんです。
例えば、アダルトグッズを作るかもしれないし、全然関係ないアート系とかIT系の他分野に投資していくかもしれない。
もちろん、『かりんと』が本体で大事な事業であることは変わりないんですけど、もっと外に広げていければ、今より開けたものになるんじゃないかと考えています。
それができるのは、風俗業界の中でもオナクラなどのソフトサービスの分野だからこそだと思っています。
だって、オナクラとかM性感は、プレイ自体がギャグじゃないですか(笑)。ソープやヘルスみたいに女の子とのまぐわいを追求しなくても、面白おかしい方向で十分成り立っていけるジャンルだと思うんですよ。
同じエロさでも詩的なエロさ、というか。
これからの『かりんと』は、今まで業界が見たことのないような世界観を提供していきたいんです。
『かりんと』では、人気テレビ番組の名物企画を現実のものにした「手コキカラオケ」や「非日常」を提供するなど、ユニークでエンターテインメント性の高いコースやメニューが数多く存在する。
そんな『かりんと』が次に手掛ける事業とは、一体どんなものなのだろうか? その動向に注目していきたい。
続いては、にしやまさんが考える風俗業界での革新的な働き方を伺った。
これからの風俗業界の働き方という話
よく風俗スタッフの求人コピーで、「年収1000万円余裕です!」みたいなものがありますよね? これはもうみんなわかってきていることだと思うんですけど、風俗の仕事をしたからといって、入社して半年でいきなり月収100万円とかはありえないんですよ。
確かに、一般の企業よりペース的には早く昇給する実感はありますけど、半年で超金持ちになるなんてことはありません。
仕事を始める前と実際に働いてみた後のそうしたギャップが、スタッフのやる気を削いでいったり、退職に追い込んでいったり、ということにつながっている気がします。
「見果てぬ夢だけを見せて、何とか頑張れ!」みたいな風潮は、何とかしなければいけないなと。
そのギャップを埋めるたに、仕事の中でやりがいを作っていくことはもちろんですが、この業界の働き方であったり、待遇だったりをどう変えていくのかが重要だと思うんです。
1日6時間勤務制度と完全週休2日制
『かりんと』で導入したいと思っているのが、1日6時間勤務と完全週休2日制という制度です。
1日6時間勤務については、大学時代に『誰もが幸せになる1日3時間しか働かない国』(シルヴァーノ・アゴスティ著)という本を読んだんです。今でもすごく好きな本ですけど、「キルギシアという空想の島国では、一日3時間しか働かない。それでもみんな幸せに暮らしている」という空想の社会システムを書いた本です。
僕は今まで稼ぎたいとか、起業したいという思いがあったから、12時間労働が当たり前の生活を送っていました。でも、それは稼ぎたいだけであって、収入と生活のバランスが納得できれば極端な話、3時間労働であってもみんなが幸せになることができるんじゃないかな。そういう世界観を作りたいと思っていました。
実際、自分が起業をしたとき、仮に会社自体が大きくなっていったとしても、5時間くらいの短時間労働の会社は作れるんじゃないかなと感じてました。
そういう思いがある中で、『ZOZOTWON』を運営するスタートトゥデイが6時間勤務という制度を始めました。「やっぱり本当にやる人はいるんだな」って、正直少し悔しかったです(笑)。
完全週休2日制については、いくつかの風俗店が導入していますが、24時間営業で早番と遅番を分けて“実質48時間休み”みたいなものが多いと思います。
そうではなくって、僕は、“週5日働いて絶対2日休む”という週休2日制を実現したいんです。
長時間労働の風俗店が多い中で、そういう取り組みを行っていけば、スタッフさんたちの自由な時間が増え、可能性が無限大に広がっていくと思うんですよ。
1日6時間勤務と合わせて、空いた時間に第2、第3の職をもちながら、風俗店で働くという形態ができるかもしれません。そうすれば、風俗の仕事だけでは得ることのできない、知識や経験がこの業界に還元されるでしょう。
さらに、短い時間で効率的に仕事をしようと、一人ひとりが試行錯誤するようになるので、優秀な人材が育っていくと思います。
店舗の運営は、お店そのものを回していくだけではなくて、必ず働いているスタッフだったり、女性だったりのジンセイを作っていくものだと思っています。
まだまだ構想を実現できていませんが、働く環境や待遇をどんどん改善していきたいですね。
「ジンセイって大丈夫だよ」というメッセージ
最後に、にしやまさんから読者に向けたメッセージを頂いた。
僕が言えることは、「ジンセイって大丈夫だよ」ってことですかね。
会社を畳んで、引き上げた地元から3万円だけ握り締めて再度上京したときなんて、どうやって生きていたのかよくわからないですし(笑)。
それでも何とかこうやって前を向いて生きている。
風俗業界に携わるようになって4年目なんですけど、今は目の前のことをこなしつつ、やっと落ち着いて先のことを考えられるようになってきました。
以前は先のことばかり考えて、目の前のことが全然できていない人間だったんです。
大きな自信になったのは、やはり『かりんと赤坂』を作り上げられたことです。まだまだ飛躍とまではいきませんけど、「ちょっと今乗っているな!」って感じることができています。
そして、これからについてですが、特にこの業界で革命を起こしたいとか、根本から変えたいとか、そういうことではありません。
少なくともスタッフさんや働くキャストの女性も含めて、この業界にかかわる人が、人生で何かしらの糧になるものを得てほしいんです。
人によっては違う業種にチャレンジする人もいるでしょう。そんな時、この業界での仕事が何らかの形で次に活かせる、または自信につながるように、日々の業務に取り組んでもらえたらうれしいですね。
「風俗業界でこんな経験をすることができた!」って大声で言えるようにならなくていいんです。ただ、ここでの経験をなかったことのようにされるのはすごく寂しいです。
僕は、これからもこの風俗業界を基盤に頑張っていこうと思っています。
31歳のにしやまさんから、矢継ぎ早に繰り出されるアイディアはどこまでも自由で、風俗業界の常識や慣習を壊していくような勢いが感じられる。
僕がやらなくても、だれかがやってくれると思いますよ。でも、だれかがやるんだったら、「僕がやりたい」ですね。
屈託のない笑顔でそう答えるにしやまさん。2017年には渋谷エリアに『かりんと』の新規出店が決まっており、その勢いは留まることをしらない。
彼のように若い力が、風俗業界を次のステージに導いていくのだろう。
<<最初の記事オナクラというニッチで狭い業界のなかで自分たちの市場を作る~『かりんと赤坂』店長にしやまさん~
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にしやま
1985年、福島県出身。大学卒業後、大手一部上場企業に就職。1年でベンチャー企業に転職した後、自身で会社を起業した経験も持つ。2012年より風俗業界入りし、いくつかの店舗を経験する中で現オーナーの誘いから創業メンバーの3人として『かりんと』グループを立ち上げる。“その先”に寄り添う、ユニークで優しいフーゾクカンパニーを目指す。
かりんと赤坂:公式サイト
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