「風俗の未来予想図」#3 従来の風俗サービスは、今後どう変化していくのか

2018年05月28日

byにしやまにしやま『かりんと池袋』代表

前回はAI(人工知能)、前々回はVR(仮想現実)のお話をしました。どちらの回もたくさんの反響をいただいて、ありがたい限りです。

今回はテクノロジーのお話を一旦小休止して、いわゆる従来の風俗サービスは、今後どう変化していくかということに触れてみたいと思います。

“それでも”確実に変化するもの

風俗業界の未来に対してテクノロジーと社会情勢は大きな影響を与えます。ですが前回、AI導入ハードルとしてコスト問題を挙げたように、規制や扱う人によって“変化のスピードに追い付けない可能性がある”のも風俗業界です。

実際、VRやAIなどは現状明らかに導入が難しい。誤解を恐れずにいえば、広い意味で“扱う人がついていけない”という根本的な問題をどう解決していくのかを、この先は考えていかなければなりません。

もし大きな変化が無かったとしても、それでも風俗業界において継続的に、確実に変化するものは何か。間違いなく“サービス”です。時代、規制、料金、競合によってお店が用意するサービスは確実に変わります。今でも変化し続けています。そんな“現在”の延長線上を考えてみたいと思います。

風俗業界で行われている“交換”

少し話がそれますが、そもそも風俗業界のサービスは未だに物々交換のイメージに近い価値の交換を行なっています。

お金の対価として交換しているものが“行為”なため、その場の雰囲気や個人(お店)の裁量でお金を受け取る“程度”が決まります。ですからお金を払ったら必ず一定の決まったものが出てくる訳ではありません。さらには相手も人間ですから、何でも可能な訳ではありません。“相性”や“感情”といった、非常に不安定な要素も関わってきます。

つまり価値が極端に変動しやすいものを“決めた料金”と交換する、すごく小さな交渉をまとめて扱っているのが風俗サービスなのです。

風俗店のひとつの役割にはこの料金やサービス内容による交渉をスムーズに行うための「取引所」のような側面があります。芸能事務所とも業務イメージが近く、「サービス価値」に対する交渉の手間を省いているのです。

前述のような説明をしていると、「風俗」と「売春」(正確に言うと「管理売春」)が同様に捉えられます。しかし僕の考えでは「風俗」と「売春」は違います。正しく言い直すと、「これからの風俗」は「売春」の性質とは大きく離れてくるだろうと思っています。

余談ですが、2018年の日本国内において「管理売春」はもちろん違法です。世界の中には合法化している国も複数あり、政府の方針によってその対応は分かれます。この世界の「売春」と日本の風俗との比較については、別な回で触れたいと思います。ここでは非本番系の「風俗」について、アイディアを示してみましょう。

性欲と“衣食住”の決定的な違い

僕は個人的に、非本番系風俗の方が発展可能性は高いと考えます。行為に“制限“がある分、人の想像力に依存する要素があるからです。

また、このことは単純なカラダへの刺激による快楽に止まらない性癖の開発にも繋がります。例えばアイドルのサポーターが応援し続ける要素に“疑似恋愛”があるように、風俗にも“擬似”だからこその中毒性が存在すると考えられます。

風俗サービスは“娯楽”です。よく“性欲は無くならないから、廃れない”と思われがちですが、衣食住と違い、本質的には現在の生存を脅かすものではありません。

様々な娯楽が無料化に近づいている今、風俗にお金を使うことはスマホゲームに課金することとあまり変わりません。“お金を払うことへの必然性”が本来低いのです。

その為、お金を払ってサービスをリピートし続けるための「理由」を作ることが必要です。でないとすぐに他の快楽に取って代わられ、一瞬にして多くのお店が淘汰されていくと思っています。

そうならないために、多くのお店も変化しています。低価格化、ハード化、サービスの本格化や非日常化など、様々な軸で改善を続けています。

「機能性」と「精神性」という観点

僕が考える風俗サービス評価の観点には大きく分けて価格、プレイ幅、利便性といった「機能性」と、癒しやリフレッシュ、恋愛や好奇心といった「精神性」の2種類があります。

ただ「機能性」と「精神性」は明確に分かれているわけではありません。双方の要素を持ちながらコンセプトやサービスバランスをどう取っていくかというのも、大切な観点です。

今後風俗店は、生き残るために現在のサービスを変化させて「機能性」と「精神性」を拡張させていくでしょう。「機能性=日常生活への効能」、「精神性=非日常体験への没入」という広がりが考えられます。

いちアイディアとして少し詳しく書くと、「機能性」では例えば家事代行と風俗を合わせて、ご飯を作ってくれたり、家を掃除してくれたりといったサービスが既に始まりつつあります。これは風俗が性サービスとして利用されるだけでなく、日常生活を快適にするサービスの一種として、利用シーンが広がっている例です。

他に近年は風俗エステ店なども高度化していて、有資格者による本格マッサージが受けられることも多いです。これらは生活の変化に合わせてより多様になっていくでしょう。

次に「精神性」をあげると、簡単に言えば“一度やってみたい”という気持ちを喚起するサービスです。

手前味噌で恐縮ですが、僕のお店『かりんと』で数年前にリリースした「手こきカラオケ」は、現在でも安定的な人気があります。真面目に高得点を目指してカラオケをするのですが、実は裸で股間を責められているのです。この非日常体験、“一度やってみたい”と遠方から足を運んでくださる方も多いのです。


▲「精神性」の高いサービスは、いかに“一度はやってみたい”と思わせるかがカギ。

凡庸なコンセプトでは黒字化しない時代に

これからは、いかに独自のプレイを持っているかも、人気店をつくれるかどうかの分かれ目になると思います。現に「極上の女性が〜」や「安くてコスパが最高〜」といった凡庸なコンセプトでは、よほどの予算をかけないとお店が黒字化しないといった例も近年多くみられます。

インターネットの普及により、いかに自分の細かい性癖や興味に合ったお店があるかを検索することが簡単になりました。お客様も、大切なお金をいかに有意義に使うのかを考える。お店選びがより嗜好に対してピンポイントになっているのです。

このような細かいニーズに対応する“ロングテール風俗”は、他店との住み分けや、高価格アプローチも可能になります。これからの風俗経営戦略としてスタンダードになっていくでしょう。

両極端な方向性ですが、今後の風俗サービス拡張は「日常に溶け込む」か「普通の人生では味わえない体験」かの、どちらかの追求、つまり機能性と精神性がカギになると考えています。

前回の記事>>
「風俗の未来予想図」#2 AI(人工知能)が風俗業界の運営を二極化していく

執筆者プロフィール

にしやま

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1985年、福島県出身。大学卒業後、大手一部上場企業に就職。1年でベンチャー企業に転職した後、自身で会社を起業した経験も持つ。2012年より風俗業界入りし、いくつかの店舗を経験する中で現オーナーの誘いから創業メンバーの3人として『かりんと』グループを立ち上げる。“その先”に寄り添う、ユニークで優しいフーゾクカンパニーを目指す。

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