『俺の旅』編集長 生駒明の『平成風俗史』~#11:オナクラ・エステのソフトサービス新時代

2020年01月22日

by生駒 明生駒 明編集者・ライター

前回は2011年3月の東日本大震災が風俗業界に与えた影響について、様々な角度から検証していった。

多くの風俗店が休業を余儀なくされた中、全国的な支援で在籍嬢たちは他の地域で働くことができた。被災した男性たちは、癒しを求めて風俗を活用した。人肌に触れることによって、正気を取り戻そうとしたのだ。

未曽有の災害の中で、風俗業界全体の絆が深まり、復興需要とともに日本経済に大きな影響を与えたのだった。

今回は、その後の平成後半期に訪れた、エステ、オナクラなどのソフトサービス風俗の流行について見ていこう。

エステ店が全国規模で大流行。疲れている男性たちが癒されに殺到

平成24(2012)年頃から大流行しはじめたのがエステサービスのお店だ。首都圏はもちろん、関西や札幌などでも人気を得て、一時はデフレに苦しむ風俗業界の“救世主”のような見方もあったほどだ。

エステは、ヘルスやホテヘルとは違って、客に攻められることが少ないので、業界未経験の女性の比率が高い。実際に本物の女子大生が学費と生活費を稼ぐために働いている、といったケースは多い。

現代社会において、精神に疲労を溜めていた男性たちが、癒しを求めてエステに流れていった。「エステは寝ているだけでいいから楽」というのが、客の本音だった。

一口にエステ店といっても、その分野は多岐に渡る。オーソドックスなアロマエステからはじまり、耳かき、洗体、アカスリ。性感マッサージ(俗に言うヌキあり)を含む回春マッサージもエステの一種だ。

大きく分けるとすると、性的サービスの有り無しが境目になってくるだろう。今記事では性的サービスのないエステ店を“一般エステ(ヌキなし)”。あるお店を“風俗エステ(ヌキあり)”と定義して紹介していく。

“一般エステと風俗エステ” 線引きのあいまいさから大規模な摘発は時間の問題


癒しを求める男性に人気を博したエステ店は爆発的な勢いで日本全国に広がった。特にマンションの一室に施術ルームをつくりサービスを行う、マンションエステが流行している。

今日の風営法では、店舗型の新規出店は認められていない。しかし、性的サービスのない一般エステであれば、風営法の届出を出さずに出店ができてしまうのである。

もちろん、一般的なマッサージのみのサービスであれば問題はないのだが、競争の激化から、性的なサービスを強要、または黙認している店舗が多いことは周知の事実である。

平成初期に流行したマンヘル(マンションへルス)のように、違法な状態が続くのであれば、大規模な摘発は時間の問題ではないだろうか。

安くて可愛いコと遊べる手コキ専門店が人気に。オナクラ大流行へ

エステとともに広がりを見せているのがオナクラだ。オナニークラブの略称で、元々は自慰行為を女のコに見てもらう、という業種だったが、最近の店は女のコが手コキでヌイてくれるスタイルが一般的となっている。

比較的安価であること、そしてソフトサービスゆえにエステ同様に可愛い素人娘が多く在籍していること、こうした点が人気を得た理由である。

現代の若者の中には、女性の局部に対して“グロい”としか感じられず、むしろ下着や水着姿ぐらいまでが最も興奮するという傾向も多くなっていた。手コキ店の“女性は下着まで”という基本システムは、こうした点にもマッチしている。

オナクラは安い基本料金で受けられるソフトサービスだけでなく、オプションを付ければ自分の好みのサービスにカスタマイズできるのも好評だ。自分オリジナルのサービスを作れるのが時代に合っていたのである。

それはまるで、牛丼やラーメンに具材をトッピングするような感覚であり、“ファストフード”ならぬ、“ファスト風俗”といえるだろう。

制約の多いソフトサービスだからこその楽しみ方。業界に新しい風を吹き込む。


細分化したエステ同様、オナクラも店ごとに様々な趣向を打ち出していた。

例えば、学園系の制服やメイド姿、私服など豊富なコスチュームを売りにした店がある一方で、女のコからの“ささやき”や“フェザータッチ”を売りにした店もあった。

そして、忘れてはならないのが添い寝専門店だ。“ソフレ(添い寝フレンドの略称)”という言葉が一時期流行ったように、添い寝専門風俗店もデリバリー型を中心に流行した。

私も遊んだことがあるが、予想以上に楽しかったことを覚えている。脱がしちゃダメ、フェラや69もダメ、などとプレイの制約がある分、楽しむためにより頭を使うからだ。遊んだ後、「これは流行る訳だ」、と納得していた自分がいた。

これまでプレイ内容を過激にしたり、オプションを豊富に揃えたりすることで、ユーザーのニーズに応えてきた風俗業界。平成後期からは制約が多いソフトサービスで顧客の想像を膨らませるという逆転の発想が流行したのである。

風俗業界に新しい風を吹き込んだと言えるだろう。

平成後期から末期にかけて、エステとオナクラというジャンルが大きく躍進した。ソフトサービス故に、働く女性の供給が他業種に比べ比較的安易なことと、単価とプレイ内容が時代にマッチしたことが大きい。

“失われた30年”と呼ばれた平成不況下で、客の費用負担の小さいソフトサービス店は大きな需要を得たのである。

一方で違法なマンションエステ店や、ソフトサービスと謳って求人を募集し、応募してきた女性をヘルス店などへ流す、俗に言う“ダミー店”と呼ばれる悪質な運営を行うお店も多い。

今後もソフトサービスのお店は、働く女性と利用する男性ともに他ジャンルにくらべて増えていくだろう。

ソフトサービスならではの楽しみ方があり、時代のニーズにマッチしたジャンルなだけにより健全で安心して働ける、そして遊べるお店であってほしいと思っている。

次回は平成から令和に移った風俗業界の未来について、業種ごとに見ていこう。ソープや店舗型ヘルス、デリヘルやピンサロなどは今後どうなるのか、などについて考察していきたい。

執筆者プロフィール

生駒 明

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1973年生まれ。新潟大学人文学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、2004年にミリオン出版に入社。編集長として“風俗総合誌”『俺の旅』を、15年の長きに渡り世に問い続けた。2019年4月、同誌は惜しまれつつも紙媒体としての役割を終え、現在Webでの再起を図っている。

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