『俺の旅』編集長 生駒明の『平成風俗史』~#13:これからの風俗業界を担う人たちへのメッセージ

2020年02月19日

by生駒 明生駒 明編集者・ライター

前回までの連載で平成時代における風俗業界の歴史を振り返り、業界の未来予想についても考察を行った。

今回は、この連載のまとめとして、風俗情報誌『俺の旅』の編集長を務める私から、読者の皆さまへのメッセージを綴っていきたい。

風俗業界で働く意義ややりがいについて、詳しく述べていこう。

風俗は社会になくてはならないもの。ないと困るもの


“フーゾク”という言葉のイメージはまだまだマイナスな面が大きい。

お金と欲にまみれた世界。怪しくて暗い。そのイメージを完全に覆すことはおそらく不可能だろう。

しかし、どうだろう市場規模は7兆円と言われ、性風俗関連特殊営業の届出数は3万2084件(平成29年度 警視庁生活安全局保管課)を数える。(コンビニ総店舗数が日本全国で約5万8千店舗)

これだけ需要があり、たくさんの人々が働き、たくさんの人々が利用しているのである。働く女性キャストや店舗スタッフの雇用を生み出し、利用するユーザーに癒しを与えている。

望んで働くことは少ない業界かもしれない。ただ、私は長くこの業界に携わってきたが、断言できる。「風俗は社会になくてはならないもの。ないと困るもの」であると。

今目の前にある仕事に全力で打ち込んでほしい

今、風俗店で働いている若いスタッフの方々は、今の職場で、今やっている仕事に全力で打ち込んでほしい。

風俗で働いていることに負い目があるかもしれない、劣等感を感じているかもしれない。だけど、頑張れば、そんなものは克服できる。すべては自分次第、努力次第だ。

関東で31店舗ものソープランドを展開する角海老グループの創業者•鈴木正雄さんは、最初は浅草の人力車引きだった。そこから努力して、一代で大手ソープチェーンを作り上げた。

ソープだけでなく、宝石やボクシング、不動産など、他業種の会社も経営する立派な経済人として功を上げ、名を成したのである。見本となる先人がいるのだ。

では、具体的にはどうすればいいのか。それは“信用を作ること”である。約束を守る、時間に遅れない、相手の気持ちを考える、質の高い仕事をする、などである。

日々の小さな約束を守り、信用を積み重ねていく。言い換えれば、“信用の預金残高“を増やしていくことである。“信用の億万長者”を目指すことだ。

そうすれば、必ず成功できる。自分に自信がついてきて、風俗で働いているという負い目を、克服することができるだろう。

風俗の仕事は素晴らしいこと。誇りを持っていい

風俗店で働く若いスタッフの方々に伝えたい。「大丈夫。必ず出世できる。偉くなれる」と。

君たちにビッグになってほしい。歴史上の偉人にまで成長してほしい。立派な人物として大成してほしい。

2019年3月23日、私は池袋で講演した。そして夢を語った。「これから会社を作る。その会社を大企業にまで育てたい。千年続く超老舗にしたい」と。

この言葉の裏にはメッセージを込めていた。「若者たちよ、夢を持っていい、夢を語っていい、決して絶望することはない、将来を悲観することはない」というものだ。

今の時代は、若者たちから夢や希望を奪う。「何もするな」「無理だろ」「やめとけ」「おとなしくしてろ」「足るを知って、今の自分で満足しろ」「現実を見ろ」「やめろ」というメッセージが溢れている。

これは自分に自信のない打ちひしがれた大人たちによる、若者たちを押さえ込むためのプロパガンダである。こんなものは無視していい。

努力してほしい。精進してほしい。そして毎日、自分の壁を破ってほしい。成長してほしい。風俗の仕事は社会に必要なもの、社会的な価値のある素晴らしいことである。誇りを持って、毎日働いてほしい。

これからの風俗業界を作る若者へのメッセージ


“自分を救えるのは自分だけ”である。自分だけが自分を救うことができる。

だから、諦めないでほしい。自分を卑下しないで、大きな夢を持ってほしい。そして大きな声でその夢を語ってほしい。厳しい時代だが、やりようによっては昇っていける。必ず成功することができる。

私は今、チャレンジしている。これからどうやって千年続く大企業を作ろうか、ということを24時間本気で考えている。そして行動している。

私は自分の身をもって君たちに示したい。人間としての生き方を。あり方を。どう生きたらいいのかが分からない、生き方に悩み迷っている人々に、体で語り尽くしたい。人の道を教えたい。将来不安に怯え、自分に絶望している人々を救いたいのである。

未来はやってくるものではない。自分で作っていくものである。望ましい将来を自らの手で開拓していってほしい。これからの時代を担っていくのは、若い君たちなのだから。挫けずに、腐らずに、頑張ってほしい。

【参考文献】
『俺の旅 vol.1~vol.125』ミリオン出版(vol.123から大洋図書)、2003~2019年
『警察庁生活安全局保安課』平成29年における風俗環境の現状と 風俗関係事犯の取締り状況等について、2019年
『公衆トイレと人生は後ろを向いたらやり直し ソープの帝王 鈴木正雄伝』木谷恭介、光文社、2012年

このほか名前は挙げませんが、多数のネット媒体を参照しました。

執筆者プロフィール

生駒 明

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1973年生まれ。新潟大学人文学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、2004年にミリオン出版に入社。編集長として“風俗総合誌”『俺の旅』を、15年の長きに渡り世に問い続けた。2019年4月、同誌は惜しまれつつも紙媒体としての役割を終え、現在Webでの再起を図っている。

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