“ゼッタイはない”から妥協しない。やれることはすべて~『ハピネスグループ』代表 小山健二の決意 #2
2023年05月09日
――創業は2009(平成21)年。関東・九州・北海道に店舗展開し、今年新たに中国地方への進出をも決めた『ハピネスグループ』。コロナ禍を耐え抜けた理由として、前回小山代表(53)から、3つの要因を聞くことができた。
“スタッフが逃げなかった” “国内各地への出店それ自体がリスクヘッジとして機能した” “会員の支えがあった”……。
筆者の一番の疑問は、会員の支え。なぜだろう? 全国津々浦々に、風俗店は数多ある。なのになぜ『ハピネス』は、代わりのきかない店として望まれたのだろうか。
「ありえない」 現状の人気を信じたことは一度もない
会員様がなぜ残ってくれたのか?(笑) その点は明確です。やはりサービスが良かったんですよ。お客様第一で営業してきた結果が、事業の継続に結びついた。現に我々はいつも「どこよりも一番のサービスを」と思ってきましたから。
裏を返すと、私は心配性なのかもしれません。2013(平成25)年にグループの代表に就任して以来、いやそれ以前から、“現状の人気”を信じたことは一度もないんです。
わかりやすく言うと、店舗には1日に100人〜200人のご来店があるんですが、私はこれを「おお。すごい」とは思いません。「ありえない。こんな奇跡が続くはずがない」と感じるんです。それは今でも同じです。
人間が生きるためには衣・食・住がいるでしょう。その事実と比べて、娯楽である風俗店は、なくても死ぬことはありません。
また東京で言えば吉原に、五反田に、池袋にいったい何店のお店がありますか。業態だって我々ソープランド以外にも店舗型ヘルス・ピンサロ・デリヘルと山ほど選択肢がある。料金だって安くはない……。
なのに『ハピネス』の1店舗に、1日200人ものご来店があるんです。絶対ヤバいですよ(笑)。
立地の良さではなく、“でも潰れた”にこそ目を向ける
実際新人で入ったスタッフなんて驚くわけです。「こんなに人が来るんですか?!」って。
特にこういうご時世ですから、前職で苦労した子なんかは安心もしちゃうでしょう。「これだけ忙しいお店なんだから、将来も大丈夫だ」って。で、「立地が良いからですかね?」なんて質問してくる(笑)。
私は「違うよ」と。……違うというか、「違うと思っていないと危うい」という感覚ですね。
まず自分達だけの力じゃないということ。例えば『ハピネス東京五反田店』は、かつて『ヘルス東京』という別事業者のお店でした。池袋の『バイオレンス』も、もう10年にはなるかな? 我々が買い取ったお店なんです。
開拓してくれた先人のおかげで場所がある。『ハピネスグループ』が受け継いでソープランドを営業できる“箱”があり、引き継いだお客様だっていなくはないわけですよね。私はそこへの感謝を、みんなに忘れてほしくない。
同時に立地は確かに良いですよ。でもそれだけで商売が成り立つのなら、同じ条件の彼らだって、お店を手放す必要はなかったはずなんです。きっとサービスの徹底やブラッシュアップをどこかの時点で怠ってしまい、会員様が離れた。私はそう考えるんです。
おもてなしを徹底 = “がっかりを可能な限りなくす”
なのでとにかく“おもてなし”。グループ14年のポリシーみたいなものですね。常にそこだけを考えてきたと言っても過言ではありません。具体的には“お客様のがっかりを可能な限りなくす”というのが大事かなと。
キャストさんで言えば、元キャストの講習員さんを社員として雇用して、新人に言葉遣い・マナー・プレイ内容等、サービスのイロハをきちんと教えてもらう。
もちろん我々とよく話し合いもして、アピールポイントも吟味したうえで、初めて彼女達はソープ嬢としてデビューするんです。
スタッフで言えば、ウチは実は、スタッフをフロントとホールに分けているんですね。
お客様のご来店時、出勤の子の写真を見せたりして、ご要望を伺うのはホール担当。そのご要望を“お客様の代わりに”フロント担当に伝え、話し合うのもホール担当です。
「この方初めてだから、ほら、〇〇さんが良いかなって」
「そんな釣れないこと言わずに。もう少しこの方のために考えてみましょうよ」
「2時間待ち?! いやいや店長、あと1時間何とかなりませんか」
要はホールの人間は誰よりのガイドで味方で、お客様のために、親身にフロントと交渉するというスタイルです。
緊張やコワさがあったり照れがあったり、またお仕事終わりの方なんかはお疲れで、うまく頭が回らなかったりもしますからね。我々がベストを尽くしてお客様をサポート。キャストさんとのマッチングを図るわけです。
“ゼッタイはない”。だから“必ずできること”は漏れなく
そしてね、ここまでやったとしても“がっかりがないか”と言ったら、ゼロとは言えないんです。
いざお部屋に通されたら、写真の印象と見た目が少し違った、相性が良くなかったというのは起きうるでしょう。キャストさんだって人間ですから、機嫌や体調が思うようにいかなかったということもありえます。
これらの“不確定要素”はいかんともしがたい。でもだからこそなんですよ。先ほど触れたように、キャストさんも我々も精いっぱいベストを尽くせば、お客様は満足できない時でも、“納得”はしてくださるんです。
「みんなが一生懸命やってくれたのはわかる」と感じていただける。事実「今回は残念だったけど」と言い残して、再びお店にいらした方が何人もいらっしゃいます。
当たり前と言えば当たり前ですが、人が人に行うサービスなので“ゼッタイ満足”はない。ただ一方で“必ずやれること”というのはあって、それを我々は“漏れなく”やってきたということなんです。
更にお客様アンケートや反省会を通して、「もっとできることはないか?」と考え続け、日々ホスピタリティのブラッシュアップを続けてもいます。こうしていれば、よく言うじゃないですか。
「見てくれている人はいる」
まさにグループの2009年からの歴史がそれです。我々の日々の取り組みを、会員の皆様は眺めてくれていた。前回お話したように、彼らこそがそコロナ禍にあって『ハピネス』を心配し、支え、今現在成長を後押ししてくださっているんです。
――会員に望まれている理由は“サービスの徹底”。そして徹底の意味とは、“必ずやれることは、漏らさずやる”。
なるほど。やるべきことをやるばかりか、「更にやれることは?」と努力を怠らないお店が愛されないはずはない。“口コミ”が人気を左右すると言われる時代。『ハピネス』が全国展開に踏み切れるのも、当然と言えば当然だろう。
そして次回、最終回は“働くスタッフ”にもスポットライトを当ててみよう。小山代表によれば、2020(令和2)年4月の緊急事態宣言下、休業となった時にも彼らは辞めなかった、「逃げなかった」という。誰にも先が見えなかった中で、なぜだろう……?
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本気で掴む日本一。巻き起こせ、うれしいのループを~『ハピネスグループ』代表 小山健二の決意 #3
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小山 健二(こやま けんじ)
東京都出身。風俗業界歴は21年。レンタルビデオチェーン店の店長10年を経て、ヘルス店で9年間店長を務め、『ハピネスグループ』へ。2013年よりグループ代表に就任。好きな言葉は『率先垂範』。尊敬する人物はジャッキー・チェン。一時期は映画館で年間230本程を見るほどの映画通。好きな映画は『パルプフィクション』。
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