【送迎ドライバー】佐藤和彦さんのインタビュー記事
2020年入社
佐藤和彦 (56歳)
送迎ドライバー
前職:輸入車販売 ⇒ 送迎ドライバー
2020.8.4
ドライバーは稼げる仕事。でもコロナ禍で巡り会ったこのお店には“さらに”があった
この記事のポイント!
- 送迎ドライバー、スタッフ、そして代表とでさえ“対等”なお店
- ドライビングと他の業務の給与は、“別”。“達成給”がやる気を育む
- 自分を決めつけちゃうのは、もったいない。何だってできる
フィリピンで飲食店経営も。サラリーマンだけが仕事じゃない
はじめまして。今日はよろしくお願いします。自分もこの歳ですから「皆さんのお役に立てるのかな」という思いもあるのですが。
振り返ると色んな仕事をしてきたんですよ。大学を卒業したのは、1980年代が後半に入る頃。まだ昭和と呼ばれていた時代です。
観光地でイベント関係の職に就いたのを皮切りに、政治家の秘書を4年、外資系の保険会社で査定を5年、輸入車販売を10年、個人事業主として、運送関係の仕事を5年……。
フィリピンで定食屋と居酒屋も2年やりました。再婚した妻がフィリピン人で、故郷が恋しくなっちゃったんですね。
ずっと外国にいるつもりはなくて、10年前にまた家族で帰国。「何をしようか」となった時に、40代後半に入った自分が、またイチからサラリーマンをやろうとは思えませんでした。
逆に言うと、“世の中には会社員以外の生き方もある”というのを、理解できてもいたんですね。その時には肝も据わっていたというか。
若いうちはどうしても、「みんなに合わせないといけないのかな」とか「型にはまれない自分が悪いのかな」とか思っちゃうじゃないですか。でも、そんなことないんですよ。誰にも何にも恥じることなんてない。色んな生き方があって良いと思うんです。
“スタッフが上。ドライバーが下”。あまりに露骨では嫌になる
それで10年前に始めたのが、デリヘルの送迎ドライバーです。お休みもわりと自由なので、家族との時間を大切にできると思ったんですね。僕にとってはやっと戻れた日本ですけど、妻にとっては逆ですから。寂しい思いをさせちゃいけないなって……。
そこは新宿と渋谷にエリア展開する大衆店でした。色んな女の子がいましたよ。借金や学費、夢という子もいれば、バイト感覚で欲しいものがあってという子もいました。もう息子より歳が下の子たちもいましたから、お父さんのように思われていたかもしれませんね(笑)。
勤務時間は待機も含めて11~12時間。月のお休みは6日~8日という感じでしたね。基本の日給1万円+女の子1人の往復送迎毎に1,000円という感じ。日に15,000円~2万円の収入でした。月収で言うと、32、3万円ぐらいですか。
5年で辞めた理由?(笑) そこはもう露骨に“スタッフが上。ドライバーが下”というお店だったんです。べつに心でそう思われる分には良いんですけど、毎日毎日あからさまに横柄な態度ばかり取られると、こっちも嫌になっちゃいますよね。
売上も落ちていたのかな。だんだんお店の空気も悪くなっていって。最後の方は、女の子にとっても決して良い環境ではなかった気がします。
月収は42、3万円。ドライバーの仕事だって、十分に稼げる
次に勤めたのは高級店だったんですが、驚きました。さすが高級店、さすがグループ店という感じで、色んなものがシステム化されていたんです。
例えば車にGPSが付いていて、待機場所からホテルまでのルートが追跡されていたんですね。
「佐藤さん、この時間帯はさっきの道より迂回した方が早いよ」って教えてもらったり、「あの道通ると10分も早いんですね。気づきませんでした」って感謝されたり……。
ドライバー・スタッフ間だけではなくて、お店同士で最短のルートが共有されていました。道に関してはもう、“免許さえあれば”という感じですよね。ムダがない。
時間的には前より楽でした。10時間勤務で、お休みも週1はもらっていたかな。最終的には時給1,700円。月収は42、3万円という感じです。
ドライバー、スタッフ、そして代表とでさえ“対等”なお店
そこをこの3月に辞めてしまったのは、コロナの影響です。明らかにグループの業績が悪くなっていきましたし、他のドライバーが肩を叩かれているのを見て、「次は自分かな」と。
2か月ほど仕事を休んで『ヴェルグ』でまたドライバーを始めたのは、牧野代表の影響が大きいですね。何と言うかな、彼はもともと別の業界にいて、いきなりお店を立ち上げたでしょう? だからスタッフが上でドライバーが下という意識が“ない”んですね。
「……? 同じ仕事ですよね? どの仕事が欠けても成り立たないでしょう」
何でそんなこと聞くの?という感じでしたよ(笑)。むしろ僕の10年のドライバー経験に、最大限の敬意を払ってくれたのが、牧野代表でした。
その上で、「他の仕事もやってみます?」と声を掛けていただいて。今僕は女の子のためにスタジオの予約をしたり、面接やマナーの指導までやらせていただいてるんです。
運転と他の業務の給与は“別”。“達成給”がやる気を育む
大衆店⇒高級店と来て、最高級店。ヴェルグで働いてみて今「働きやすいな」というのは、すごく感じますね。
1本当たりの単価が高いから、回転数にあくせくしなくて良いというのもありますし、女の子のプロ意識も高いんです。
「使える時間も多いな」と感じます。だからドライバー以外の仕事も「やってみよう」と思えたんですよね。今までの時間に追われる環境だったら、まずそんな風に思えなかったはずです。
さらにドライバー業務の給与と、他の業務の給与は“別で”頂けるんですね。代表の考え方は“達成給”なんです。
佐藤が女の子を面接した⇒入店を決めた⇒活躍している……
もしそうなら、ドライバーの給与とは別に報酬が発生して、当然だろうという感じ。そりゃ頑張りますよ(笑)。人をやる気にさせるのが、うまいお店だなと感じます。
自分を決めつけちゃうのは、もったいない。何だってできる
今コロナ禍で、会社が厳しくなったり、働き場所を失ったりという方も少なくないでしょう。それに最初にちょっと言いましたけど、サラリーマンという働き方が“できない”という方も、世の中には一定数いると思うんです。
10年業界にいる僕だから言えますけど、送迎ドライバーという仕事は、悪くないですよ。状況や自分に絶望しそうなこともあるでしょうけど、僕みたいな働き方だってある。ドライバーだけで、30万円40万円という月収も得られるのだということは、知っておいてほしいんです。
その上で、ヴェルグみたいなお店もあります。ドライバー経験を評価してくれるだけではなくて、この歳の僕に「他にもやってみませんか?」と声を掛けてくれるんですからね。ありがたいですよ。
これからもしばらくはドライバー中心の仕事をしていくと思いますけど、後々はわかりません。もしかしたら、自分が店長をしたり、オーナーをしたりという道だって、あるのかもしれない。
自分で自分の可能性を限定しちゃうのって、もったいないですよ。このお店に出会って今、特にそう思います。
取材後記
「その上でヴェルグ」というのも、佐藤さんの正直な思いなのでしょう。人生や仕事に対する柔軟な姿勢は、自分にも大いに参考になりました。
プロフィール
佐藤和彦
送迎ドライバー
(前職:輸入車販売 ⇒ 送迎ドライバー)