【総合職(店長・幹部候補)】関口宏さんのインタビュー記事
2015年入社
関口宏 (33歳)
総合職(店長・幹部候補)
前職:工場勤務(ライン作業)
2018.11.22
風俗とは無縁。日払いも大入手当も“知らない”世界。異邦人の僕が、ここでつくる道
この記事のポイント!
- 早い昇給のうえに、大入で手当? 景気の良さが新鮮だった
- 源氏名で戦う女の子たち。僕らは何をすべきなのか
- ここで長く働くために。みんなの道をつくるのが、僕の仕事
高収入の求人を探していて、“たまたま”風俗店を見つけた
ここに来る直前は、工場でライン作業をしていたんです。硫酸なんかも使うところだったんで、給与が良かったんですよ。40万円ぐらいもらってたんじゃないかな? 僕はパソコンが使えたんで、最後の方は中の事務作業も任されていました。
ところが4年ぐらい勤めた時に、契約更新で「条件が悪くなる」って聞かされたんですよ。「冗談じゃない」となって、高収入の求人を探すことにしたんです。
探しているうちに僕の友だちが、どこで見つけたんでしょうね? なんか求人のフリーペーパーみたいなものを持ってきてくれたんですよ。「これだったら給料悪くないんじゃない?」って。
開いてみたら風俗の求人が載っていて、確かに良い給与でした。実は僕、行ったことがないのはもちろんですけど、風俗に丸っきり縁さえなかったんで、業態も知らないんですね。というか、ほんとのほんとに何も知らなかったんで、良いイメージも悪いイメージもない感じでした。
そのフリーペーパーに載っていた高収入の求人が、たまたま風俗店だった。だから応募してみたというのが、風俗との正直な“出会い”です。
「日払い? いきなりお金くれるんですか?」
最初に面接に行ったお店は、まず求人広告と実際の給与が違っていたんですね。それに昇給・昇格の説明を受けた時に、変な“年功序列”みたいなものを感じたんですよ。見せていただいた表も、なんだかグニャグニャしていて(笑)。「あ、これは上がりにくいんだな」というのが分かりました。
何しろ知識がなかったんで、「風俗店て、どこもこんなものなのかな?」と思いましたよね。それで「次面接に行って同じノリだったら、もうこの業界は辞めよう。どこかで事務職でも見つけて、のんびり働こう」って決めました。
次に来たのがここです。そう、運命の出会いですね(笑)。まあでもパーシストは、玄関でかわいいお姉さんが丁寧に迎えてくれるし、見上げるとオフィスもキレイじゃないですか。前のこともあるから、それだけで印象が良かったですよね。
応接室に通されて、面接してくれた方はスキンヘッドでした(笑)。そうですね、一見コワくはあったんですけど、何というかな……、率直でしたよね。
「何でまた、ウチを受けられたんですか?」
「稼ぎたくて」
「あ、僕と一緒ですね」
その後、「1年で店長になる方もいる。逆に立場も給料も、あまり変わらない方もいる」という話をしてくださったんで、僕も率直に聞いたんですね。
「それって結局、本人のやる気とかがんばり次第で、給料上がる人は上がるし、上がらない人は上がらないってことですよね?」
「そういうことです」とおっしゃったんで、僕、「じゃあぜひ」って答えたんです。1年がんばって、結果が出なければ辞めりゃいいやって。
面接後、お昼ぐらいでしたかね? 「ちょっと仕事してく?」って誘われたんで、そのまま働きはじめました(笑)。
驚いたのは、その日夕方まで4、5時間仕事をしたんですけど、帰り際に「ハイ」って5千円渡されたんですよ。
「何ですか? これ」
「……何ですかって、今日の給料。最初のうちは日払いだから」
「日払い?」
僕この時、日払いって知らなくて(笑)。「いきなりくれんの?」って、カルチャーショックですよね。そんな感じで次の日からも、毎日が新しいことだらけで、おもしろいんですよ。
最初はできることも少ないんで、部屋をキレイにしてトイレを掃除して、女の子のためのお仕事バッグをつくってって感じですね。
お仕事バッグにモノを詰めるのさえおもしろいんですよ。風俗を知らないから。詰めながら、「何に使うんだろう?」とかですね(笑)。教えてくれる方々も、たぶんここまで僕が何も知らないとは思ってなかったんじゃないかな。
電話、受付と覚えていって、女の子のサポートもするようになって、あとはWebサイトの更新とかですね。3、4か月目には、シフトの管理も含めたマネジメントまで行うようになりました。
早い昇給のうえに、大入で手当? 景気の良さも新鮮だった
“がんばったらがんばった分だけ”っていうのは、本当にその通りでしたね。2015年当時、はじめは25万円でスタートして、1か月したら30万円になってました。3、4か月してマネジメントまでするようになったら、40万円になりましたからね。1年後には、正式に店長になりましたし……。
未経験で、何も知らないではじめたわけですから、驚きですよね。今なんて確か、50万円でスタートできるはずですよ。
でももっと驚いたのは、まあよくお金が落ちるわけですよ。日払いはもうめんどくさいんで、途中で「止めてください」って言いました(笑)。月給にしていただいて。
ところが大入手当だなんだで、やっぱり月給以外に「ハイこれ」って手渡されるんですよ。最初は「大入? 大入で手当?」って感じですよね。そういうのもはじめてですから。
しかもたまに社長が来たら「お前がんばってるな」って、また「ハイ」ってお金を置いていってくれるわけですよ。「景気良いなあ」って、慣れるまでは、何もかもが不思議でしたよ。
源氏名で戦う女の子たち。僕らは何をすべきなのか
働く女の子たちに対しても、驚きがありました。「普通の子たちなんだな」って。
中にいると自然で当たり前のことですけど、風俗に行ったことさえない自分には、それも発見だったんです。
1年で店長になって、僕も3年目でしょう? 今は女の子たちに、いつもと言ったら大袈裟ですけど、感謝だったり、がんばれっていう気持ちですよね。
働く理由は色々で、色んな子がいて、やっぱりすごく暗い顔をしている時だってある。それはお客様に関する悩みかもしれないし、プライベートが原因かもしれない。そこだって色々で、いつもご機嫌で万全で、働けるわけじゃないですよね。
だから女の子たちだって、僕らに相談する。でも、「そうだねえ」って、泣いてあげるわけにはいかないんですよ。
たいがいの子が理由があってこの仕事をはじめて、“卒業”までの目標額があるわけです。「もうつらいんだから辞めちゃおう」ってなったら、目標達成できないじゃないですか。それにお店だって僕らだって、困ってしまう……。
仕事だから、ビジネスライクに仕事をしなきゃいけない時がある。女の子に源氏名があるように、僕らもぐっとこらえて“仕事の顔”を見せなきゃいけないんです。僕がこの“仕事の顔”をハズすのは、1度だけですね。
その1度は、女の子が卒業する時。
卒業まで僕らのお店を愛してくれて、「目標を達成できたのはみんなのおかげです」って言ってくれる子がいる。学業や資格の話を夢中で語って、頭を下げてくれる子がいる。
それを聞く時だけ僕は、唯一“素の顔”です。その子その子によって「もう来ちゃダメだよ」って言うこともあります。シンプルに「がんばれ」って言うこともあります。だけどその時かける言葉は、やっとやっと、ビジネスライクを取っ払った素直な言葉なんです。
「ありがとう」
そして最後はね、ほんとうの最後の言葉は、これしかないですよ。ありがとう。ここで卒業してくれて、ありがとうって。
ここで長く働くために。みんなの道をつくるのが、僕の仕事
早くに店長になれたのは、この会社のおかげです。いちばんはそこなんですけど、あえてもう1つ理由を挙げるとしたら、僕が何も知らなかったのが、やはり大きかったと思います。
だから新しく入る方だって何も知らなくて良いし、むしろその“普通の”感覚こそ、大事にしてほしいですよね。
僕はここを長く働ける会社にしたいんですよ。福利厚生をきちんとしてっていうのもそうだし、休みもちゃんと取ってっていうのもそうですけど、もっと考えなきゃいけないのは、10年20年働いた後に“自分がまだ受付に立っていられるのか?”とかですよね。お爺ちゃんにはつらいかもしれないじゃないですか(笑)。
そうなった時に、“いや内勤でこんな仕事もある”“こんな事務作業がある”“数字やWebに強いなら、こんな役割がある”ってなったら、辞めなくて済むでしょう? だから僕は今、道をつくっているんです。“こういう道筋があるんだ”って示すのが僕の目標であり、役割なんだと思っています。
業種だって、風俗にこだわる必要ないんですよ。美容室やったって良いし、飲食店やったって良いし、できそうなら他のサービス業でも何でもやってみても良いなって。利益さえ立てば、そこがまた道になるんだから。
この会社のスタッフにもね、色んな人がいます。色んな人がいるけど、みんな仲間。僕ね、みんなでここで、お爺ちゃんになりたいんです(笑)。
取材後記
プロフィール
関口宏
総合職(店長・幹部候補)
(前職:工場勤務(ライン作業))