セラピストの面接は月100人、自惚れ系が多い!? 関係者しか知らない女性用風俗の最新事情! セックスワークサミット2019夏イベントレポート ~後編~

2019年08月09日

by徳山 央樹徳山 央樹編集者

こんにちは、Fenixzine編集部の徳山です。

前回に引き続き、2019年7月15日に行われた、『セックスワークサミット』のレポートをお送りいたします。

前編はコチラ

前編では女性用風俗の需要と供給について、また「女性用風俗はホスト型と癒し型の2極化傾向にある」というお話をお届けしました。

後編では“男性セラピストの実態”と“女性用風俗の未来”について。そして「ビジネス的に女性用風俗ってどうなの?」ってことを、経営者に踏み込んで聞いてみました!

登壇者紹介

ハラ・ショー

ルポライター。盗撮や風俗をテーマにした著書多数。2018年12月には、女性用風俗の実態について利用者、経営者、施術師らへ徹底取材をした『女性専用: 快感と癒しを「風俗」で買う女たち』を出版した。

久慈あす香

女性用風俗SPA White代表。東京・大阪を拠点に3店舗を経営。セラピストへの教育・お客様への相談役として女性用風俗に携わる。美容エステ歴10年・風俗エステ(男性向け)の経験もあり、風俗講師としても活躍中。

三松真由美

女性会員1万3千名のニッポンの夫婦仲・結婚を真剣に考える恋人・夫婦仲相談所主催。『夫とは、したくない。~セックスレスな妻の本音~』など著書多数。

速水真幸

副業で女性用の性感マッサージを行う、業界歴4年のセラピスト。20代~60代まで、400人以上の女性に施術を行う。現在は性交痛、感じにくい身体の感覚改善施術に特化して活動中。

▲主催兼司会を務めるホワイトハンズ代表の坂爪さん

求人に応募してくる男性はほとんどが自惚れ系

坂爪:では、次のテーマ。施術を行う男性セラピストについて。彼らはどういった目的で働きに来るんでしょうか?

ハラ:人気店ですと月に100人くらい面接に来るんですよ。ほとんどが「俺はモテる」だとか「自分のテクニックを試したい」っていう自信のある人ばっかり。簡単にいうと自惚れた人ですね(笑)。

倍率が高いので相当レベルの高い人じゃないと採用されないですし、採用されても客からクレームが来てクビになる方も多いみたいですよ。結局残るのはマッサージの技術があったり、元ホテルマンだったり。対個人の接客を熟知している人

あす香:私のところにも、そういう自惚れ系の方から毎日メールが来ます(笑)。採用のハードルはかなり厳しくしていて、採っているのは人が好きであったり、女性に対して恩返しをしたいと考えてる人。面接に合格しても、その後の研修でも男性としての欲が強いと感じたらお断りしていますね。気持ちの仕事だと思うんですけど、正直メンタル面は教育でどうこうなるものではないんですよ。
坂爪:ちゃんと他人目線を持った人でないと、このお仕事は務まらないということですね。

ここで三松さんから「ちゃんとしたお店の見分け方は?」という質問がありました。速水さんの回答は「店舗の求人欄を見て、ちゃんと人選に注力しているお店や、研修制度がしっかりしているお店は信用できるのではないでしょうか?」とのこと。賢い選び方ですね(笑)。

三松:女性用風俗経営者の方には、セラピスト採用のハードルを高くしてもらいたいですね。本当に悩んだ末に行かれる方が多いので、その思いをムダにしてほしくないんです。

▲イベント中盤は参加者同士によるグループディスカッションの時間も設けられた

女性用風俗の未来はどうなる?

その後も、セックスレス夫婦の実情、男女の性差、お店であったトラブル、質疑応答を経て、女性用風俗の未来について登壇者の方に語っていただきました。

ハラある程度の規模まで大きくなると思います。女性が風俗をそれなりに活用する社会になるんじゃないかな。

ただ、業界が大きくなるにつれ悪い人も出てくるでしょうね。盗撮であったり、美人局であったり……。経営側は業界にダークなイメージを持たれないよう、健全な営業をしていく必要があると思います。

速水:私はある程度メジャーになってほしいですね。というのも男性に危機意識を持ってもらいたいんですよ。

「彼氏は大好きだけど、セックスに関しては全く満たされないから来たんです……」っていうお客様、非常に多いんです。女性の体や心理について、パートナーともっと話し合うべきだと思います。

三松今より市場は増えると思います。速水さんと同じく、もっと性に関して知る機会のある社会になってほしいですね。

あす香:未来……。まずは、キチンと業として成り立ってほしいですね。セラピストに対して施術等の指導をしっかりできる店舗って、ほぼないと思うんですよ。

それって掘り下げていくと、皆さんが話されているように、社会が女性の性に対して理解が少ないからだと思ってます。女性用風俗というツールを通して「女性は性に対してこう思っているんだよ」っていうのが伝えられたらなって思います。

▲セミナー終了後は参加者と登壇者の交流会が行われた

ビジネス的な視点から見た女性用風俗

Fenixzineは風俗業界で働くスタッフさんに向けたメディアです。

なので、もう少しビジネス的な面を掘り下げたく、登壇者の一人である久滋あす香さんにインタビューを致しました。

▲セミナー終了後のあす香さんに直撃!

--セミナーお疲れ様でした。そもそも、あす香さんが女性用風俗を始めようと思ったキッカケはなんだったんでしょうか?

あす香:お恥ずかしい話なんですけど、私、性に奔放だった時期があるんですよ。だから、その分失敗も多くて……。そういった経験から「女性の色々な悩みを聞ける大人になりたい」って思うようになりました。最初に美容系のエステティシャンの仕事に就いたのも、女性と1対1で話ができそうだったからなんです。

--確かにエステは長い時間お客さんと接するので、深い話ができそうですね。

あす香:その後は、副業で男性向けの回春マッサージ店や、フリーで風俗講師の仕事をしていました。

で、2017年かな? Twitterで知り合った男性セラピストの施術を受けた時に「これだ!」って思ったんです。「私が看板役となって女性用風俗のお店を始めれば、同じ女性ということでお客様は性の悩みを打ち明けやすいし、エステの経験を男子セラピストに教えられるぞ!」って。

1週間後には人を集めてSPA Whiteを始めていました(笑)。

--早い(笑)。“女性の悩みを聞きたい”と“エステティシャンの経験”と“風俗の経験”という3つの要素が上手くマッチした仕事が、女性用風俗店の経営だったということですね。

あす香:そうですね。広報活動もTwitterくらいです。もともと風俗講師アカウントとして、業界内・外の女性に向けて情報発信をしていたんで、SPA Whiteは割とすぐ業界で認知されたんですよ。そこからは口コミで一般のお客様にも知っていただくようになって……。だから、あまり広告費にお金をかけずに済みました(笑)。

--色々繋がって今に至るんですね。では、踏み込んだ質問もさせていただきたいんですけど……、女性用風俗の経営っていうのはビジネスとして成り立つのでしょうか?

あす香:ウチでいうと、一応生活が出来るくらいには利益が出ているって感じです。でも、風俗のキャストに戻った方が断然稼げますよ(笑)。

稼ぐのであればホスト型のお店じゃないですかね。もしくは男性セラピストを大量に雇って、登録料なり研修費なりを納めてもらうシステムのお店。SPA Whiteはどちらもやっていないので、詳しくは分かりませんが……。

--そうなんですね! あす香さんがその稼げるシステムを取り入れない理由は何故なんですか?

あす香“女性の人生をより良くしたい”って気持ちが先にあるからです。施術を受けて、涙ながらに「生きていて良かったです」って感想をいただくこともあるんですよ。それでいうと、ホスト型のシステムは、私の理想と相性が良くないかなって。ビジネスとして捉えるならそっちが正解だとは思うんですけどね。

--素晴らしい! 男性向け風俗店のスタッフ経験は、女性用風俗を開業したとして活かせますかね?

あす香:正直……、活かせないと思います(笑)。

男性用風俗店のノウハウって、当たり前ですけど男性が求めてるものを提供するために特化してるんですよ。さっきのお話の通り、男性と女性で風俗店に求めているものって全く違うんで。どちらかというとエステサロンのノウハウの方が近いと思ってます。

--そうなんですね……、いや、自身の知識のなさを恥じました……。

あす香:あと、やるのであれば女性をブレーンに置くべきとも思ってます。それぐらい女性の“性”については男女で認識の誤差があるんですよ。

--知らないことばかりでした……。ありがとうございました!!

▲際どい質問にも答えていただいたあす香さん。ありがとうございました!!

取材後記

ということで、女性用風俗の実態についてご理解頂けましたでしょうか?

これまで“風俗”といえば男性向けを表す言葉でしたが、女性用風俗が認知されていくと、“風俗”という言葉の持つ意味が変わっていく気がしました。

“風俗”業界は更に発展していきそうですね。業界関係者の方はこういった動きに対し、どのように対応してくのでしょうか? 動向が気になります!

Fenixzineでは、今後もこのような業界最新情報を取り上げて参りたいと思います!

お読みいただきありがとうございました!

前編はコチラ

執筆者プロフィール

徳山 央樹

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FENIX ZINEではライターと編集を担当。インターネット好きが高じて、WEBメディアへの転職を決意。平日も休日もインターネットをしています。

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