「かかわる人すべてが幸せになるための『業界健全化』」 ~風俗コンサルタント・大崎柳也さん#3~

2016年11月24日

by新海 亨新海 亨編集長

――一度は風俗の世界から身を引いた大崎さん。しかし、経営者仲間の死をキッカケに、風俗というシゴトの魅力に吸い寄せられるような形で業界に復帰する。

最終回となる今回は、『風俗プレナー』として活躍する大崎さんの今と、業界健全化にかける想い、そして、読者に向けたメッセージを伺った。

風俗プレナー、大崎柳也

ohsakiryuya
今は「風俗プレナー」として、主に風俗店経営者に向けたコンサルティング事業を展開しています。得意分野としては、これまでのノウハウを活かした新規開業サポートや人材育成、集客や売上の作り方などですね。

コンサルタントというと、すごく偉そうだったり、固くとらえられたりしがちですが、私自身のスタンスとしては「先生ではなく、あくまでパートナー」です。

ですので、基本的に私自身の理念と共感できる方としか仕事をしません。つまり、業界の「健全化」にご理解いただける方ということです。

今の風俗業界は低価格で過激なサービスのお店が増加傾向にあります。しかし、それでは働く女性にとっても、業界にとっても、決していい方向に進んでいるとは言えません。

これからの風俗店に求められていることは、「女性の質」を高めていくことと、「働きやすく、利用しやすい」といった業界イメージの向上が必要だと思っています。

私は、経営者一人ひとりの考えを変えていくことが業界の「健全化」につながると思い、コンサルタントという立場を選びました。

適正価格・適正サービスで女性の価値を上げる

再び上京してからコンサルタントとして独立するまで、東京の大手デリヘルグループに在籍していた時期がありました。

かつて2000年代に在籍していた店舗型ヘルスグループでは、受付業務やタオルの補充、部屋の清掃など、肉体労働ばかりでした。けれど、その大手デリヘルグループでは一日中パソコンの前で仕事をしていて、それこそマーケティングのような頭脳労働が主でした。

その時、業界の変貌にとても驚きましたね。まさに“ゼロからの学び”でした。

今後もマニュアル化やシステム化は進みますし、人工知能のような技術が発達すれば店舗スタッフの仕事はどんどん減っていくでしょう。

しかし、働く女性というのはどんなに技術が発達したとしても、一人ひとりが唯一無二の存在だということを忘れてはいけません。そして、その魅力を伝えるのは店舗スタッフの務めです。

今後、風俗業界の発展を目指すのならば、低価格や過激なサービスを売りにするのではなく、店舗やスタッフ側から働く女性の価値を高め、お客様に納得していただける適正な価格で、適正なサービスを供給していかなければいけないと思っています。

さらに、満足度を上げて、単価を上げていくことで、業界全体が盛り上がっていくでしょう。

女性の価値を上げることのできない店舗やスタッフは自然と淘汰されていくでしょうし、すでにその流れはきています。

――料金のデフレ化や店舗の供給過多が叫ばれる昨今の風俗業界において、今後店舗に必要とされることは、いかにして“女性の価値を上げるか”だと大崎さんは語る。

続いて、コンサルティングと平行して注力されている業界健全化のための「協会事業」について伺った。

「働きやすく、利用しやすい」業界イメージの向上

風俗業界は偏見を受けやすいからこそ、業界自体のイメージ向上に力を入れています。そのひとつが『風俗営業健全化協会』です。

本協会では、ぼったくりや違法店の情報を警察に提供し、業界と警察関係機関が協力して設立した一般社団法人『ECS』と連携して問題に取り組んでいます。

また、今の風俗業界は一部の違法店のせいで、全体が悪と見られ、安心できない状況にあります。そこで、業界のなかから悪質店をなくすように働きかけたり、世間から風俗に対するイメージを向上させたりする必要があります。

今より安心して利用できる業界になれば、利用するお客様に喜んでいただけるでしょうし、女性も働きやすくなります。今後、こういった活動を展開していきたいと考えています。

さらに、風俗というシゴトを前向きにとらえているキャストさんを積極的に応援していきたいと思っています。著名な方ですと、水嶋かおりんさんや『Fenixzine』で連載されていたあや乃さんですとか。

あや乃さんとは、以前イベントでお話させていただいたことがあります。自身の考えを非常にしっかりもっていらっしゃる方で、女性キャストをサポートする協会を作られているんですよね。

そういった方々となにか連携して取り組むことで、女性の風俗に対するイメージ向上につながればいいなと思っています。

「業界健全化」とは、かかわる人すべてが幸せになること

私の考える健全化は、風俗業界にかかわるすべての人が幸せになることを目的としています。

風俗というのは本来、究極のサービス業だと思います。お客様はサービスに満足され、女性はお金を稼ぐことができ、店舗は利益を上げられる。三方すべてが良しになる素晴らしいビジネスです。

そのためにはやはり、適正な価格で、適正なサービスを供給すること、業界のイメージを向上させていくことが必要です。
ohsakiryuya

コンサルタントという立場を通して、「経営者一人ひとりの考えを少しでも変えていきたい。みんなで儲けて、みんなで幸せになろう」という想いで日々シゴトをしています。

――幾多の出会いと自身の経験から、「業界健全化」という理念を築き上げた大崎さん。

大崎さんの想いが業界をより良い方向へ導く光になることを願っている。最後に読者に向けたメッセージを頂いた。

風俗の仕事は「人へのセンス」が問われるが学びや経験で身につけられる

独立して自分の会社をもつとか、まずは目的をもって仕事をしてほしいですね。もし風俗業界で独立を考えているのであれば、この業界は目まぐるしく変化するので早々に準備をしたほうがいいです。

惰性でこの仕事をしている人や、モチベーションがなかなか上がらないような人は……、とにかくお金を貯めるべきですね! 残念ながらこの業界は履歴書に書けるような経歴が残らないので。

だからこそ、まずは貯金をして次のステップに進むときの備えにしてほしいです。

ohsakiryuya

風俗の仕事は「人へのセンス」が問われる仕事だと思っています。だれにでもできる仕事ではありません。

これまで出会った店舗型ヘルスグループの会長やSMの女王様、そして自ら命を絶った兄貴分の経営者もそうでしたが、「この人のためなら」「この人の言うことなら」と思われる人物にならないといけないと感じています。

けれど、「自分にはそういうセンスがないから無理」とあきらめる必要はないです。学びや経験からセンスやカリスマ性は身につけることができます。

私自身、人見知りなうえに男兄弟で育ったせいか、女性に対する苦手意識があり、業界に入りたてのころは失敗ばかりしていました。だれよりも失敗し、恥をかいてきたからこそ今があると思っています。

風俗のシゴトは、人にはできない経験ができますし、やりがいは非常に大きい。ぜひ、ポジティブに日々チャレンジしてほしいと思います。

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「出会いの連続に導かれた場所! “カネ”と“オンナ”の目まぐるしい毎日」~風俗コンサルタント・大崎柳也さん#1~

大崎柳也

大崎柳也(おおさきりゅうや)

1978年、群馬県出身。大学卒業後、設計事務所勤務を経て、著名大手グループを2グループ経験。2012年より風俗コンサルタントとして活動する。業界と警察関係機関が協力して設立した団体の幹部を務め、セミナー登壇やメディアへの露出も多い。かかわる人すべてが幸せになるための「健全化」を活動理念に掲げ、“適正価格・適正サービス”の推進や、社会貢献を通して業界イメージ向上を目指す。好きな時間の過ごし方は、コーヒーを片手に読書。
「風俗プレナー」:公式サイト

執筆者プロフィール

新海 亨

新海 亨編集長記事一覧

元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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