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接客は大好きだけど、商品に飽きちゃう。職を転々としていた

決していい加減だったつもりはないんですが、僕は18歳から職を転々としているんです。

飲食や各種の販売、リサイクルショップという感じですね。何か不満があって転職するというよりは、飽きちゃうことが多くて（笑）。「この商品はもういいな。何か別のものを売りたいな」となっちゃってたんです。

接客業自体はずっと好きで、正直自分に向いているとも思います。風俗業界入りの直前も、古着屋で店長をしていました。あの世界はあの世界で楽しいですよ。値段はあってないようなもの。自分の“目”だけではなく、売り方も試されます。

ところが僕、ここで結構な大病を患ってしまったんです。1年近く入院。会社も辞めざるを得ず、病院のベッドの上で、さすがに今後を考えました。

「このままフラフラしていたらな」

もう34歳。そろそろ40代や老後も見据えて、きちんと落ち着こうと。そして年齢や経験、最初から高収入を頂けるところと考えた時に、この業界が頭に浮かんだんです。

大手のデリヘルに勤務。ところがコロナ禍で人員整理に遭い……

そこは5年ですね。関東の大手のデリヘルです。労働時間は12、3時間でしたけど、お休みは週に2日ありましたし、給与も悪くありません。色んなことがシステム化されていて、その上でエリアごとに切磋琢磨してというグループでした。

でも、なんですよね。ご想像が付く方もいらっしゃるでしょうけど、コロナ禍で人員整理があって。店長から下は軒並み退職という形になってしまったんです。「参ったな」と。

そんな時です。『CLASSY.四日市』の店長に、声を掛けていただいて。

「こっちに来ないか。ウチはむしろ、人が足りないぐらいだし」

で、「すごく良いグループだよ」と（笑）。昔一緒に働いたことがあって、実は何度か誘われてもいたんですね。「義理を欠くわけにはいかない。恩もある」と、ずっと断り続けていました。

なのにまだ心配してくださるのが嬉しくて。それに確かに、これも何かのご縁かなと。クヨクヨしているより、思い切って新天地に飛び出そうと決意したんです。

新天地で再就職⇒1年半で店長に。収入以上に驚いた“仲の良さ”

率直に言って、結果は大正解でした。一昨年の5月に四日市に配属された後、わずか1年半で『CLASSY.名古屋店』の店長に抜擢されて。給与もスタート月給は30万円でしたが、店長となった今では、良い時には手取りで50万円頂いています。

お店の売上次第で達成給が付く感じなので、燃えますよね（笑）。店長になった以上、やはり頑張ったスタッフにはきっちり還元してあげたい思いもあります。

またここは、そういう風に思わせてくれるグループなんですね。以前いたデリヘルでは、1人ひとりが競っている雰囲気があって。それはそれで悪くないと思いますし、僕もそこに馴染んではいたんですが、ここは極端に言うと“真逆”だったんですね。

店舗間、ブランドの相違を越えて、みんなすごく仲がいいんですよ。例えばある店が売上に困って、企画を立てたとしますよね？　そしたらもうグループ総出で協力という感じです。

「ああ、良いね！　ウチもやるよ。盛り上げよう」
「ここさ、もうちょっとこうしない？」
「こっちでPopつくるよ。得意なスタッフいるから」

“自店の売上だけ良ければいい”じゃないんですね。「みんなで稼ごう。みんなででっかくなろう」という社風なんです。これだけ居心地良い職場もめずらしいと思いますよ（笑）。未経験の方も飛び込みやすいはずです。

「ときどき来て、そこそこ稼げれば」。そんな子がいたって良い

僕自身、この2年で先輩から学ぶことがたくさんありました。特にキャストさんとの関係の部分ですね。なかなか前のデリヘルのようにうまくいかないという時に、「アプローチを変えてみたら？」と。

「ちょっと仕事に慣れすぎちゃってるのかも。型通りに人と接しすぎてない？」

思い当たるフシもありました。キャストさんと壁ができた時に、「あれ？　おかしいな。これで良いはずなのに」とイライラしてしまうことが多くて。違うんですよね。相手の話をまずしっかり受け止めて、その上で個々にアプローチするべきなのに。

それから少しずつ考えを変えていったんです。「色んな子がいていいよな」と。わかりやすい例で言うと、働き方ですよね。もちろん「稼ぎたい！　向上心の塊！」みたいなキャストさんはありがたいんですが、「ときどき来て、そこそこ稼げれば」みたいな子だって、いて良いんだよなと。

実際こんなことがありました。

「私辞める！　もう嫌だ！　辞める！」
「良いよ、辞めても。でも次のとこもすぐ辞めちゃうんじゃない？」
「……」

これは決してイジワルで言っているわけじゃないんです。「いつもどこでもそう言っちゃってない？」ということ。もしそうなら「ウチで細々とでも良いから続けてみたら？」ということなんですね。お店を変えてしまったら、スタッフとの関係性だってまたイチからやり直しなんだし。

「僕もスタッフも、直すところがあれば直しますから」

そして現にこの子は続けてくれています。最初はブスっとしてましたけど（笑）、徐々に心を開いてくれるようになって……。

「得意を伸ばし、できるところから」。未経験者が多いからこそ

考えてみると僕、昔はキャストさんにこんなこと言えなかったんですよね。言おうとも思わなかった。何か負けているみたいじゃないですか（笑）。

でも先輩達に言葉と背中で教えられて、自分なりに考えてもみて、「いや、負けとかじゃないよな」と。相手重視、思いやりということなんですよね。

おかげさまで今店長という立場を頂いて、キャストさんだけではなくスタッフにも同じように接したいと思っています。この業界にはほとんどの方が未経験で入ってくるんだから、得意不得意、できるできないあるじゃないですか。

その時に、型通りにオールマイティに「全部こなせ」と言うのは酷ですよね。ゼッタイ間違っている。

「得意を伸ばし、できるところから」

……僕もこんなことまで語れるようになったんですね（笑）。その意味でほんとに、『CLASSY.』には感謝しかないです。

（インタビュー：松坂治良）

取材後記

執筆者

藤野 りさ

確かに職場や先輩達の影響もあるでしょうが、“自分のやり方を変える”というのは、実はなかなか難しいこと。私も耳が痛いです。
40代でそれができた濱田さん。こんな店長さんの言葉なら、素直に耳も傾けられそうですよね。お店のますますのご発展を、東京からお祈り申し上げます。