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20歳からナイトワーク。気がつけばどの職場でも、常に経営者

メンズエステの前は、ずっと別の業態に関わっていたんです。

ちょうど20歳ぐらいからだから、歴で言うとどれくらいになるかな……。初めはクラブやガールズバーなんかの水商売が8年、その後同様に、風俗業界も8年ぐらいでしょうか。

その間ホテルの経営に携わったていたようなこともあります。ほら、規模が大きいグループになると、多角的に色んな事業をやろうとするでしょう？

「憂木君見てくれないか」と言われれば、常に「はい」という返事でした。たぶん断ったというのは一度もありません（笑）。

むしろどこでも最終的には、店長や統括として経営の側に回っていました。振り返ると、自分の肌にもそれが合っていたのかなと。

若い頃にいちスタッフでやっていくツラさ、しんどさみたいなものをイヤというほど味わってきたので、いつのまにか「今更人に雇われたくない」という思考になっちゃいましたね（笑）。

培われた人脈。「メンズエステの立ち上げ？　おもしろそう」

またこうした形で事業に向き合っていると、“人脈”も自然にできてくるものです。

僕は飲むのが好きで、頻繁にバーや居酒屋さんなんかに顔を出して、常連になることもしばしばあります。自分が責任ある立場にいると、そこで“仕事の話”ができるんですね。

そしてお付き合いが深くなるうちに「おもしろいヤツだな」「何か頼んでみようかな」と思ってもらえるたりするんです。もちろんこれは逆もあって、僕がお声がけする場合もあるんですが……。

メンズエステを立ち上げることになったのも、“ご縁”がきっかけ。「やってみないか」と知人からお誘いを受けたんです。

僕としても「風俗はもういいかな」という思いがありました。どのお店でもやることは決まっているし、他店に学ぼうにも、もう長いですから「教わることは何もない」という気持ちになってしまって。

“非風俗”のメンズエステなら、関わったことがない。また業態として新しく、「流行っているらしい」というのもしばしば噂で耳にしていました。

そのうえ更に、スタートアップでゼロから任せてもらえるわけでしょう（笑）。率直に「おもしろそう」と感じたんです。

“口コミ”を一番大切に。“5人当たったら3人に満足”は充分可能

おかげさまで今9ルームですね。それを6人で回しているし、これからもっと増やしていきたいので、新たな人材が欲しい。それで今回インタビューをお願いすることにしたんです。

成功の理由？（笑） これくらいで成功というのはまだ早い気がしますが、“差別化”を図るために、口コミを一番大切にしてきました。

わかりやすいところで言うと、施術後にアンケートを取ります。そこでもしお客様がイヤな思いをされていたら、すぐにセラピストさんにフィードバック。話し合いをして、改善すべき点は改善します。

同時にこれだけでは足りません。お客様は“その子＝お店全体”のイメージとして受け取ってしまうので、すぐに「この度は申し訳ありませんでした」とご連絡します。「こんなことはもうありませんので」と、誠意を尽くして再来店をお願いするんです。

タイミングや相性もあるので、“どの子にも満足”というのはなかなか難しい。でもこうした姿勢でスタッフ、セラピストさん一丸となってサービス力を向上させていけば、“5人当たったら3人に満足”は充分可能だと考えています。

言葉ではなく結果。「大丈夫か？」という社員が大活躍する例も

事実「『クロニカ』っていいよ」と、良い口コミを広げていただけて。一度来たお客様が、次回友人を連れてくる。その友人がまた……というケースが多々あるんです。

めちゃめちゃ頑張って広告費もかけたんですけどね。蓋を開けてみたら、口コミからのお客様の方がずっと多い（笑）。嬉しい誤算だし、この“改善⇒即結果”というダイレクトな手応えは、水商売や風俗にはなかったおもしろさかもしれません。

別の言い方をすると、「難しい仕事ではないな」というのは感じています。正直未経験からのチャレンジでも全然問題ないですよ。目の前のことにコツコツ向き合って、地道に業務を覚えていってくれればいいのかなと。

逆に下手に経験者で、面接でも「マネージャーをしてました」「有名な〇〇で店長でした」と豪語。「そうか」と思って期待してみたら、まったくセラピストさんが付いてこない。業務も雑なんてことがありました。

当たり前ですけど、大事なのは言葉ではなくて“結果”ですからね。中にはピアス空けまくりでスーツも着ていない。履歴書さえ持ってこないなんて子がスタッフ応募してきた例もあります。「大丈夫か？」と思いますよね。

ところがいざ入社すると、この子は大活躍してくれたんです。「学ぼう」「教わろう」という意識があるので、ものごとの吸収が早かったんですね。僕自身「雇ってみるものだな」と思ったし、「見かけじゃない」とあらためて勉強になりました。

“8時間勤務”も“他業種で独立”も可能。個々の思いに応えたい

雇われていた若い頃の経験もあって、どうしてもスタッフの気持ちには敏感になります。なので僕は面接の際に、“本人の希望”をよく聞くようにしているんです。

みんなそれぞれじゃないですか。「ガッツリ稼ぎたい」という子もいるだろうし、逆に「8時間で上がりたい」とか「休みは週2日がいい」という感じで、プライベートを大切にしたい子もいるでしょう。どちらにも応えてあげたいなと……。

ただ一方で、もし僕みたいに「いつまでも雇われはイヤだな」とか「夢は起業」という子がいたら、それも応援してあげたいんですよね（笑）。“独立支援制度”も用意してあります。

僕ら自体が『CLONICA-クロニカ-』の展開もそうですけど、他の業種業態にも機会があれば参入していく考えです。だから「キャバクラをやりたい」とか「いつか焼鳥屋さんを」とかね。大歓迎ですよ。

数字の見方や集客の方法は教えるし、培った人脈をフルに活かして、人も紹介します。“入社してから意識が変わる”でも構わないので、思い立ったら声をかけてほしいですね。

自分の成功もそうですが、人の成功も嬉しいものじゃないですか。それがここで育ち、巣立ってくれる若い子なら、なおさらです。

（インタビュー：新海亨）

取材後記

執筆者

松坂 治良

業種業態も様々な現場で経営手腕を発揮してきた憂木さん。だからこそ、今自分だけではなく、“人の成功”が嬉しいと言えるのでしょう。
記事にあるように“イマドキ”の働き方を望む方ももちろんですが、上昇志向の方にも、得るものが多い職場だと感じました。