【総合職(店長・幹部候補)】安田聡さんのインタビュー記事
2010年入社
安田聡 (39歳)
総合職(店長・幹部候補)
前職:不動産営業
2018.9.12
誰だって、どこの世界でも。この非日常の空間が、私に教えてくれたこと
この記事のポイント!
- ピンサロって何? ⇒ ……何だここは。おもしろい!
- いきなり全部じゃない。ステップアップしていける
- たまたまここだった。みんな、どこでだってがんばれる
有休消化中の寿司屋。「ここ受けてみたら? 暇でしょ?」
ここで働かせていただいているのは、ほんとうに不思議な縁で……。
「8年もいて何を」という話なんですけど、たぶん、なかなかこういう仕事の選び方はないんじゃないかと思います。
もともと「おもしろいこをとやろう」は、私の性分なんですね。自由に生きたいタイプで。仕事も学生時代から色んなことをしました。卒業後は営業中心。人好きもあって、どこに行ってものびのび働けていたと思います。
ここに来る直前は、不動産会社で営業職をしていて、ちょうど同業他社に移ろうとしていたところだったんです。内定をいただいたので、有休を消化していました。
ところが東日本大震災が起きてしまって……。先方から「ちょっと待っててくれ」と。内定保留になっちゃったんですよ。
そんなこと言われても、何もやることがないわけです(笑)。仕方ないんで、週末行きつけの寿司屋で飲んでたんですね。震災で開催されるかどうかもわからないのに、『東スポ』買って、競馬の予想をしていました。
その時にフッと、ほんとうにフッと、寿司屋で知り合った友だちが、私の前で東スポ指さして言ったんですよ。
「ここ受けてみたら? どうせ暇でしょ?」
見たら、ここの『男性スタッフ募集』の三行広告でした。
「ダメだったら2か月で辞めちゃえばいいじゃん」
彼はここのお客様だったらしいんですけど、「いいじゃん」て言われてもね(笑)。「何でまた?」って思いましたけど、でも私ね、こういう“イレギュラーなこと”が大好きな人間なんですよ。この“ありえない選択”もおもしろそうだなって……。
結局、これも一つの経験だと思って、促されるままに面接に行きました。
ピンサロって何? ⇒ ……何だここは。おもしろい!
実は私、ピンサロに一度も行ったことがないんです。そもそもピンサロというものが何なのかも、よく分かっていなかったですね。
そんな中、即日です。面接に行ったその日から「人手が足りないから手伝って」と店長に言われて、「じゃあやります」という形で、1日裏仕事をやってみました。
そうしたら、意外とおもしろかったんですよ。まったく知らない世界だったんで、「何だこれは」と。
店内は大音量で曲が流れるし、たくさんの女の子が行き交うし、ワイワイガヤガヤ一般の風俗店とはぜんぜん違う。飲食店とも違う。見たことのない光景が広がっていました。
「おもしろいな。この世界もうちょっと知りたいな」と思ったんですね。どんな風に仕事をすれば良くて、どれくらい売り上げるんだろう? 私の好奇心に、火が点いちゃったんです。
「合わなかったら2か月で辞めよう」と思っていたのが、3か月、4か月と過ぎていって、半年くらい経った時ですかね。「ずっとここで続けていこう」と思いました。
私は「これができたから、次はこれ」っていう感じで、どんどん吸収しようという性格なんですね。じゃなきゃ飽きちゃうから。上の方でも、こういう私の性格をよく把握していたんでしょう。1年も過ぎると、多くの仕事を任せていただけるようになりました。役職も付けていただいて。
今、8年目ですかね。店長は4年目かな? ただ実は私、店長になる前に一度、ここを辞めてるんです。2か月ほど、ヘルスに移籍していたことがありました。
一度辞めて、2か月他店へ。「戻って来てくれ」に揺れた
前の店長と、ちょっと上手くいかなくなっちゃったんですよ。私はナンバー2みたいな立場だったんですが、店長をきちんとサポートできなくて。
ここは単店経営者の参考になればと思うんですけど、ここみたいに1店舗しかなくて上の立場になると、“絶対的立場”からエラそうになってしまう場合があるんです。
有能なナンバー2がサポートする。そして店長も、ナンバー2ほかスタッフの意見にきちんと耳を傾けるみたいな関係性が築けていないと、“裸の王様が支配する国”みたいになっちゃうんですね。
私にはこの時、店長をサポートして、共に歩めるほどの器がなかった。店の売り上げも下がっていくし、私自身、意見と助言は続けて、打つ手は尽くして、どうしていいか分からないような状態になりました。それで「私がここを離れよう」って。もう戻らないつもりで、他社に転職したんです。
この時、一般の業界に戻るという選択肢はなかったですね。ここで培った実力を、風俗の他業態で活かしてみたいと思ったんですよ。力を試したかった。
ところが、残った店長の方でも行き詰まりを感じたんでしょう。まもなく店長が辞めたと聞いて、ここのオーナーから私のところに、何度も連絡があったんです。
「店を建て直したい。戻ってきてくれないか? 店長やってくれないか?」
とても迷いましたよ。どちらに進むべきか。ヘルスの方でも、私を幹部候補として迎え入れてくれましたし、2か月とはいえ、もうここでずっと働くつもりで、お世話にもなっていたわけですから。どちらに対しても、私には義理があったんです。
考えに考えた末に、私はここに戻りました。なぜかって?
この店の売り上げを、戻したかったんです。来た頃に感じた活気、おもしろさ、温かさ、それも消えかかっていたから、元に戻したかった。私に良くしてくれた方々もたくさんいたから、お店への恩返しの気持ちもありました。
いきなり全部じゃない。ステップアップしていける
これからこの仕事をはじめる方に言いたいのは、3か月、4か月ぐらいはまず、続けてみてほしいというところですね。
最初に入ったら、接客係から始まります。
ホール全体の動きがわかるようになったら、お客様への女性のご案内(付け回し)をするようになって。
それができるようになったら、自然に女性とのコミュニケーションが増えてきますから、管理とかフォローワークを始めます。困っていたり悩んでいたら、お話を聞いてあげる感じですね。
そう、ここまでで4か月ぐらい。いきなり全部っていうことはないです(笑)。それに私の場合、4か月目ぐらい~1年目までは、繰り返しこれをやって身に付けていた感じです。
それでこの辺りになった時に、思ったんですね。「あ、業務内容的にはサラリーマンと一緒かも」って。ここが理解できて次に行くと、給与計算だったり事務的なことだったり、数字の上でお店の中を知ることができますから。
次の段階が、ナンバー2とか副店長みたいな感じですね。「ここ手が回ってないから自分が入ろう」とか、「ちょっと女性のサポートしきれてないみたいだから、声を掛けてみよう」とか。
そしてこの先が店長。むずかしくないでしょう?(笑) 何ていうか、誠実に仕事に向き合っていれば自然とって、私はそんな風に考えています。
私はまだ、完全にこのお店を立て直せたとは言い切れないんです。できればこの状態よりもう一段上にあげて、それを維持していきたい。もう少し新規のお客様を増やす、女性を支えてくれる男性スタッフを1人でも良いから増やすというのが、今の私の目標ですね。
たまたまここだった。みんな、どこでだってがんばれる
私のこの先ですか? そうですね。違う仕事をすることもあるかもしれません。「この子なら大丈夫」という後継者ができたら、離れることもあるかも……。
さっき「ここでの仕事もサラリーマンと同じ」って言いましたけど、逆に言うと、それを教えてくれたのがここなのかなという気もします。きちんと仕事に向き合う意識さえあれば、誰だってどこの世界でも通用する気がするんです。
私には、たまたま場所と職種がここだった。どの業種についても同じスタンスで仕事をしていただろうし、成功の秘訣って、案外そういうところにあるのかなと。
ここはがんばった分だけ、給料はぐんぐん上がりますから。それで発奮して仕事をしてくれるスタッフさんが1人でも多くなれば、多くなった分だけ女性も集まります。それは活気につながり、店の売り上げもさら上がります。自分にも還元されて、すごいスパイラルが生まれるんです。
大丈夫。やれますよ。こんなこと言ってる私だって、はじめは何も分からなくて、ミラーボールをずうっと眺めていたんですから(笑)。
(インタビュー:松坂治良)
取材後記
プロフィール
安田聡
総合職(店長・幹部候補)
(前職:不動産営業)