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スポーツトレーナーの学校を卒業。やがて自分の整体院を構えた

上京してスポーツトレーナーの専門学校を卒業後、初めは整骨院にお世話になりました。

高校時代に野球部でピッチャーをしていたんですが、2年目に肩を痛め、大事な3年生の時期を棒に振っちゃったんですね。「このケガさえなければ」と、体の仕組みに興味を持ったのがきっかけです。やがて地元福島に帰り、自分の整体院を構えたりもして……。

ところが職業柄どうしても時間が不規則で、妻に「普通のサラリーマンのような働き方をしてほしい」と、ずっとお願いされていたんですね。そこで介護施設に転職。36歳までの4年間を、そちらで過ごしました。

お正月の三が日から転職先探し。面接できる業界と言ったら……

その後なぜこの業界に、というのは、実は離婚が理由なんです。別れた原因の1つは、妻の希望をかなえたのが、ちょっと遅すぎました。彼女としては、もっと早く2人の時間をつくる努力をしてほしかったんだと思います。

何より僕自身がだらしなかったんですね。整体の店を始める時に借金をつくっていたし、にもかかわらずギャンブルにのめりこんで、その額を増やしてしまって。頼りなさに愛想をつかしたというのが、妻の本音だと思います。

それがちょうど年末でしたか。落ち込んで実家に帰って、でも年が明けたらいたたまれなくなって……。

結局車で福島を飛び出しちゃったんです（笑）。今思えば僕も無茶なんですが、「土地も仕事も心機一転したい」という一心でした。茨城まで来て、スマホで職探しを始めて。

住むところもないですから、“寮付き”が大前提でした。とは言え正月の2日3日なので、そもそも面接してくれる会社さえない（笑）。その時にふと「風俗店なら営業してるんじゃ？」と思ったんです。

続けられる安心＋「ここまで親身に」の感動。すぐ寮に入った

中でもウチだった決め手は、広告と面接でした。最初は別のグループを受けたんですが、そちらは何と言うかアバウトで、「大丈夫かな？」という印象を拭えなかったんです。

わかりやすいところで言うと、社会保険が“ない”んですよ。しかも「みんな入ってないよ。ないのがフツーだよ」と言われると、ますます不安になってしまって。30代も後半、「長く続けたい」という思いもあったので、なおさらでした。

一方で『ハピネスグループ』には広告から社会保険“完備”と明記されていました。もちろん寮もあるし、驚いたのはその後の面接なんです。

話を聞いてくれた面接官は、バカにするわけでもなく、「そんなんじゃダメだよ」と説教するわけでもなく、「そうか。やり直せるよ。ここでやり直そうよ」と言ってくれました。更に僕の窮状を心配して、借金の額や利子をメモに書きだし、アドバイスまでくれたんです。

「ここの初任給がこれぐらいで、生活費がこうで……。無理しすぎずに、これぐらいずつ返していきましょう。大丈夫。賞与も出るし、充分返せます」

初対面で、かつ身一つで福島から来たわけのわかんないヤツに（笑）、ここまで親身になってくれるんだなって。

もう感動と言っても良いぐらいで、採用が本当に嬉しかったのを覚えています。すぐに寮に入り、『ドリーム水戸』に配属されたんです。

やりがいにプラスして“責任感”。キャストさんも応えてくれる

もともと接客は苦手ながらも好きだし、20代から常にやりがいを感じて働いてきたんですね。整体ではお相手の体を少しでも良くすること、介護では命を預かる自覚を大事に、サポートとケアに力を注いできました。どの職場でも「ありがとう」の言葉に励まされて。

その意味では業界が変わっても同じなんですが、『ハピネス』ではやりがいはもっと大きくなったし、責任感みたいなものも強くなった気がします。それはやはりキャストさんの存在が大きいかなと。

皆さん個々に稼がなきゃいけない理由があって、このお店を選んでくれている。将来のためにも1本のご指名が大切で、「いつまでに」という卒業の目標がある方はなおさらですよね。それを思えば1つの電話、今目の前にいるお客様、集客のためのブログの一文に至るまで、おろそかにできるものはないんです。

またキャストさんは、こうしたスタッフの様子をよく見てくれていますよ。アピールの仕方を一緒に考え、相談があれば時間を惜しまず、一番はいつも目配り気配りを心掛けていると、必ずと言っていいほど同じように、いや、それ以上に頑張ってくれるようになって……。

助けられることも多いんです。例えばグループが新店を出す時に、「ちょっとお手伝いにいってくれませんか？」とお願いしますよね。

「奈良さんの頼みじゃ断れません（笑）。いつからですか？」

ほとんどのキャストさんがこんな風に返してくれるほどです。ありがたいですよね。一日の疲れなんて、一気に吹き飛んじゃいますよ（笑）。

立場は自分から望むものではなく、人から望まれて得られるもの

そして見てくれているのはキャストさんばかりじゃありません。昇給・昇格の査定は最大で年3回あって、成果を出せば給与も上がるし、立場も付いてきます。事実僕も半年前からは主任。仕事はきちんと評価してもらえる職場です。

なので僕には「いつか店長に」とか「青天井で高収入を」という気持ちはありません。何と言えば良いですかね、僕にはそれは、“自分が望むものではない”という感覚があるんです。

整体院を開いた時にも、僕は当時のオーナーに「やりたい」と言ったわけではありません。長年の自分の働きを見て「ぜひやってみないか？」と声を掛けていただいたんです。『ハピネス』でだって同じ。「自分こそが」と思う内は、決して本物の実力は身に付いていない気がして……。

もちろん「奈良君にこそ店長を任せたい」と請われれば、拒む理由はありません。僕にはグループに「拾ってもらった」という思いもありますから、望まれれば全力を尽くします。

「ここできっとやり直せる」 面接の言葉が、今でも働く原動力

逆に言うと、先ほど触れたキャストさんもそうですし、査定での上司の言葉でもそうですが、「誰かが見てくれている」という安心が、ここにはある。だから僕は、収入も立場も気にすることなく、「それは後から勝手に付いてくる」と信じ、目の前の業務に向き合えるんです。

余談みたいになりますが、最近になって別れた妻とよくドライブに行ったり、話をしたりということが多くなりました。結婚していた頃よりも、良い関係になれているぐらい（笑）。

これもたぶん僕が望んだからと言って、かなえられたものではないと思うんですね。今現在の僕の仕事ぶりや顔つきから、彼女が「変わった」「成長した」と感じてくれたからこそ築けた関係じゃないかなと。

その意味でも、あの時「やり直せるよ。ここでやり直そうよ」と言ってくれた面接官には感謝しかないし、その言葉が2年経った今でも、自分の働く原動力になっています。

（インタビュー：松坂治良）

取材後記

執筆者

藤野 りさ

皆さんでつくった『TikTok』がたいへん好評で、それを見てご来店されるお客様も少なくないとのこと。キャストさんまでご出演されているそうで、記事にあるように、職場の仲の良さが伺えますね。
「誰かが見てくれている」
確かにこんな環境なら、そう信じて働けそうです。