風俗業界の知られざる上司と部下の関係性 FuuTube・アキバマサト×風俗プレナー・大崎柳也 #1

2017年02月06日

by新海 亨新海 亨編集長

『FuuTube』代表であり、映像ディレクター、さらにAV男優としても活躍するアキバマサトさん。そして、風俗業界のコンサルタントとして活躍する風俗プレナー 大崎柳也さん。

以前『Fenixzine』のインタビューで登場いただいたふたり、実は1990年代後半に大手店舗型ヘルスグループで一緒に働いた上司、部下の関係だった。

数々の成功を収め、十数年ぶりの再会を果たしたふたりが語る、風俗業界の上司、部下の関係性とはどのようなものだったのか。

Fenixzine編集員の新海がオブザーバーとして、おふたりに当時を振り返りながら語っていただいた。

出会いから近い価値観をもっていたふたり

--おふたりの出会いはどういったものだったんですか?

アキバマサトさん(以下:アキバ):俺ね。最初の出会いをはっきり覚えているの。

大崎柳也さん(以下:大崎):えー。すいません。ちょっと覚えてないですね、そこは。

アキバ:北関東エリアに新しく出店するっていう話になっていて、そこの代表を俺がやるっていうのは決まっていたわけよ。それで、連れていける人を上層部に頼んだとき、紹介されたのがほかのエリアで働いていた大崎だったの。

その時、上司から言われたのは……。まあ言葉を選ばずに言うと「(そのエリアの店舗で)ちょっと浮いてる」って。

大崎:(笑)。

アキバ:「浮いてる」って俺はすごいいい意味でとったんだけどね。まあ、言い方悪いけどほかのスタッフのレベルがちょっと低かったからさ。しょうがない部分があったと思うんだよね。

当時(1990年代)は店舗型のお店しかなかったし、黙っていてもお客さんがうじゃうじゃ来る時代だった。1か月後、1年後を考えなくてもやっていけるような状態でさ。

だから、よくわからない輩が大多数で、まじめに仕事をしていた大崎が浮いてたっていう。

大崎:そうですね。自分でも浮いてるなって自覚はありましたね。周りからも「どうして風
俗で働いてるの?」みたいなことはよく言われました。

--当時の風俗業界で働く人々は仕事や家がない、前科がある、といったような人たちが大半だったそうだ。

そんな中、大崎さんから見るアキバさんは、ほかのスタッフや上司にはない異彩を放っていたという。

上司は背中を見せること。部下はその背中を見て共感すること

アキバ:一緒に働いたって言っても、実質3か月くらいだけだったからね。

--新規出店先となった北関東エリアで共に働いたふたりであったが、アキバさんの退職に伴い、一緒に仕事をしたのは3か月程度であったという。

大崎:確かに短い期間でしたけど、アキバさんの下で働かせてもらって、やっぱりほかのスタッフとか上司とは全然違うなって思いましたね。

アキバ:何がよ(笑)。

大崎:今でこそ、キャストの写真やコメントにこだわるって当たり前じゃないですか。でも、当時はポラロイドカメラで本当にたくさん撮って、何となく写りのいいものを選ぶような感じで。

でも、そこを徹底的にこだわって、女性の写真を撮っていて。さらに、今で言うレタッチみたいなことをしてましたよね?

アキバ:そうだね。ぶっちゃけしてたね。すごいレタッチしてた。でも、そこには自分なりのポリシーをもってやってたわけ。お客さんをだますとか、そういう意識はまったくなくて。

「この女性は、このくらい写真でウソをついてもお客さんに納得してもらえるだろう」っていうのを見極めながらやってたんだよ。

「この女性なら、レタッチしてもお客さんは十分満足するだろう」ってときは盛大にやってた。そこは本当にこだわってね。

まあ、完全に自分の主観だけど(笑)。

大崎:当時、そういう今で言ったら“鳴る”写真を撮るという発想自体がスタッフの中になかったんです。本当にお客さんが勝手に来るような時代でしたから。

そんな中で、ひとつひとつのことにこだわって、風俗をちゃんとビジネスとして捉えていたのはアキバさんくらいだったような気がするんですよね。

だれよりも没頭するというか、こだわるというか。そういう姿を見せられました。

そんな上司の姿を見て何も感じない人もいれば、自分もやらなきゃって思う人もいるわけで。

アキバさん自身が意図している、していないはわからないですけど、私は自分もやらなきゃなって思ったんです。

--アキバさんは意図的にそういう姿を部下に見せていたんですか?

アキバ:どうなんだろう? 意識してたのかな。でも、こだわるっていうのは僕の性格的なものですね(笑)。

ただ、会社って政治じゃないんですよ。多数決で物事が決まらないんです。社員全員の公平な清き一票で昇進が決まる会社なんて聞いたことないし。

部下は会社自体とか、評価者、つまり上司の思想に沿って仕事をするしかないんですよね。

単純にその評価者の思想を受け継げる人が、次に抜擢されて、上に上がっていくんじゃないんですかね。

だから、僕がそれを示さないと、部下はどうしたらいいかわからないでしょ。「自分はこういう思想です! こういうスタイルです!」みたいな(笑)。

大崎:そういう意味では本当に影響を受けましたよ。今だって『FuuTube』の代表なのに、男優としてAVに出演してますし、そんなの下の人に任せたっていいのに。

風俗業界では、店長やエリアの代表クラスになると、現場に出てこなくなって遊び回る人が本当に多いですからね。

アキバさんは、当時から今に至るまでずっと第一線で、それこそ体を張って活躍されていて、退職されて別の仕事になってからもネットとかで拝見していました。

あの人があれだけやっているんだから、自分もやらなきゃって思いましたよ。そのモチベーションがなかったら、ここまでやってこられなかったと思います。

--大崎さんも自身のサイトや『Fenixzine』のインタビューなど、顔出しで活躍されてますよね。

大崎:アキバさんがいなかったら、私も顔出ししていなかったと思いますね。別に人に後ろ指をさされるようなことはしていませんけど、この風俗業界でってなると考えてしまいますよね。

今回の対談の実現は本当にうれしかったんですよ。今こうやって風俗業界でやっていけているは、アキバさんのおかげだと思ってますから。

アキバ:何も出ないよ!

一同:(笑)。

風俗業界今昔物語、上司と部下の関係性の変化とは?

--おふたりが上司、部下の関係性だった1990年代に比べて、現在の風俗業界はどんな風に変わったと感じていますか?

アキバ:今は本当に半分ITの仕事になってるもんね。いかにネットを駆使してお客さんや働いてくれる女性を集められてるかが勝負だし。

大崎:そうですね。本当にそう思います。私たちが働いていた頃は本当にブルーカラーの、それこそ肉体労働が主でしたよね。

店舗型の風俗店でしたから、プレイルームの清掃をしたり、タオルを運んだりっていうのが当たり前にあって。

今はほとんどホワイトカラーというか、パソコンに向き合って仕事をするのがほとんどじゃないですか。

アキバ:今だったら、たとえば「コンテンツを作れます!」とか、「SEOが得意!」とか、前職でやってきたことが活かせる部分があるけど、当時の風俗業界って(経歴に残るものが)本当になにもなかったじゃん。

自分が風俗業界に入りたての時にいろいろ教わった上司がいて、「仕事とはなんなのか!」とか、とにかく精神論を教わった、今でも“心の師匠”みたいに思ってるんだけど。

その人に言われて一番覚えていることが

「この業界は、いかにして馬鹿に使われて、いかにしてうまく馬鹿をつかうか」

すごい言葉悪いけど、当時は本当にそんな感じだった気がする。

大崎:すごい分かる気がします。今の風俗業界はビジネスとして突き詰めていかないと生き残っていけませんからね。

昔のような考えの経営者の方もいらっしゃいますけど、今業界で成功されている方のほとんどは戦略的に考えて店舗運営をされていますから。

若いスタッフの人たちは、そういうアキバさんのような優秀な上司のもとで大いに活躍して欲しいですね!

10数年ぶりに再会を果たしたアキバさんと大崎さん。

上司だったアキバさんは仕事をする自分の背中を部下に見せ、それに共感した部下の大崎さんは一層の努力を惜しまなかったという。

結果として、大崎さんはアキバさんが去った北関東エリアで、多くの部下をもつ管理職に就き、代表にまで出世した。

そんなおふたりが考える風俗業界での働き方について、今回を含め3回に渡り、対談形式でご紹介していく。

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アキバマサト

1973年、横浜市出身。高校卒業後、ミュージシャンを経て風俗業界入りし、20年以上のキャリアを持つ。体験男優としての顔は一部に過ぎず、実は大手グループの代表経験もある敏腕ビジネスパーソン。仕事観、人間観、人生観の有無を大事にする。尊敬する人は、やはり実業家だった父とX JAPANのYOSHIKI。非常に繊細なO型。 Fuutube:公式サイト

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大崎柳也(おおさきりゅうや)

1978年、群馬県出身。大学卒業後、設計事務所勤務を経て、著名大手グループを2グループ経験。2012年より風俗コンサルタントとして活動する。業界と警察関係機関が協力して設立した団体の幹部を務め、セミナー登壇やメディアへの露出も多い。かかわる人すべてが幸せになるための「健全化」を活動理念に掲げ、“適正価格・適正サービス”の推進や、社会貢献を通して業界イメージ向上を目指す。好きな時間の過ごし方は、コーヒーを片手に読書。
「風俗プレナー」:公式サイト

次回2月13日(月)アップ予定『風俗業界で出世するために必要なこと』。

執筆者プロフィール

新海 亨

新海 亨編集長記事一覧

元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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