「裏側に行ってしまった風俗を再び表側にするのが俺の使命!」~『FuuTube』代表・アキバマサトの想い#1~

2016年05月30日

by吉岡 優一郎吉岡 優一郎作家

『Fenixzine』をご覧のみなさま、はじめまして。ノンフィクション作家の吉岡優一郎です。ボクは、これまで風俗嬢を対象としたインタビュー本を刊行してきました。そのほか風俗業界の内情を書籍として記したり、多くの男性風俗関係者に接触していますが、残念ながら風俗業界で働く男性を描いた作品はありません。

そんなボクは、縁あって、『Fenixzine』の立ち上げとともに、ライター陣の一員として参加させていただくことになりました。このなかで男性風俗関係者のみなさんに、これまで以上に精力的にインタビューを行い、『Fenixzine』の誌面にてご紹介していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、2014年5月、ボクは、横浜にいた。風俗サイト『FuuTube』の代表でありながら、同ウェブサイトの体験男優として、風俗嬢相手に数々の対戦をこなすアキバマサトさんに以前から興味をもち、ぜひ会ってみたいと横浜曙町までやってきたわけである。

ボクらは、そそくさとあいさつを交わして、さっそくお話を伺った。

スマホがない時代に始めた『FuuTube』

‐FuuTubeは、開設されてどれくらいになるのですか?

7年ぐらい(インタビュー時期:2014年)ですかね。

当時は、本家YouTubeが……、おっと、ウチが名前をパクッたわけじゃないですからね(笑)。YouTubeが、まだGoogleの傘下に入る前で、今のような大規模になってないころです。設立して2年くらいだと思うのですが、個人的に動画が好きで、これからはインターネットにも動画が広がっていくだろうと考えたわけです。風俗の世界もいずれは、写真から動画へ移行するであろうと。

でも当時のインターネットのインフラは、ISDNなど低速な回線がまだ残っているような時代で、動画をダウンロードするのに、とても時間がかかった。そんななかでPCならまだしも、モバイルで動画を見ようなんて人はいない。でも近い将来、モバイルでサクサク動画が見られるようになる!と、先行投資してFuuTubeを始めました。

‐ものすごく先見の明があったわけですね

ありすぎて、みなさんから「こんなもん流行らねぇ!」と言われました (苦笑) 。

‐設立当初のFuuTubeは、今のようにFuuTube側で撮影・編集した動画をアップロードするのではなくて、加盟風俗店側の撮影した動画をアップロードするほうが主だった印象があります

いえ、Fuutubeの本来の趣旨は、私たちが制作した動画を皆さんに観ていただくというもので、それは設立当初から今に至るまで一貫して変わっていません。

でも動画コンテンツの制作は、撮影と編集にコストがかかるので、そんなに頻繁に更新できない。作ろうと思えば作れるけど、一定のクオリティを維持しようとすると時間がかかる。

じゃあ、YouTubeみたいにユーザー(風俗店)が動画を撮って、アップロードしてもらうというサイトにすれば、更新性が高まって毎日新しい動画を観てもらえるサイトが出来上がる!そう思って投稿動画という機能をくっつけたわけです。

“風俗の楽しさ”を伝えるのがFuuTubeの使命

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うちの動画を観てもらえればわかるのですが、作風が独特で、一言で言えば頭がおかしい(笑)!

ほかの風俗サイトでは、体験男優がカメラマンも兼ねていて、出演する女の子と1対1で撮影するか、男優、カメラマン、女の子と2対1で撮影するところがほとんどです。でもウチは、多ければ5人とか、AV撮影のクルーのような人数で撮影するんです。

FuuTubeの一番大きな企画だと、各店の風俗嬢のみなさんに集まってもらって、“水泳大会”を実施しています。そこでは、十数名のスタッフが、7台のカメラを回して、総収録時間54時間とか……。

‐そんなに収録しちゃって、どないして編集すんねん(苦笑)

そうなんですよ。非常に編集も時間がかかります。

以前ナイタイさんが開催していた、『ミスシンデレラコンテスト』ってありましたよね。“日本一のフードルを決める”という触れ込みで、毎年開催されていましたけど。あれがなくなってから、風俗嬢をシンデレラにするっていう企画がなくなってしまった。それと今の風俗ってデリヘルが圧倒的に多くて、風俗のお店の実態が表からわからなくなってしまった。

今は、そういう方向へどんどん進んでいってしまうし、私が好きだったテレビ朝日の『トゥナイト2』で、山本晋也監督がやっていた風俗レポートのような番組がなくなってしまった。

あのころの風俗って“表側にいた”じゃないですか。

ミスシン(ミスシンデレラコンテスト)やるからって、大勢の風俗嬢が参加してた。今もフードルって言葉は残っているけど、あまり使わない言葉になっちゃった。風俗が徐々に裏側へ行ってしまって、世間から見えづらくなっているというのは良くないなと思ったんです。

だから、「風俗は、もっとたのしいものだよ!」というのを広めたいという気持ちで、「トゥナイト2やミスシンに代わることをやりたい!」って思ったんです。水泳大会は、1回やるごとに莫大な赤字を生んでますが(苦笑)、FuuTubeにしかできない使命だと思ってやってます。

ただ、毎回の赤字で、そろそろ嫌になっていますけどね(苦笑)。

FuuTube流!これはすごいと思わせる企画の作り方

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‐FuuTubeには、水泳大会にかぎらず、多くの風俗店の女の子を集めて作っているコンテンツが数多くあります。しかし、店舗としては、自店と他店の女の子が同席することを極端に嫌うケースが多いでしょう。それを実現させてコンテンツを作っているのは、すごいことだなと

そこは、本当に苦労した部分ですね。私は、風俗店に勤務していたことがあります。そのころは、取材依頼が来ても他店と一緒という企画であれば、「そんなもんは断れ!」って指示していました。自分でそんなふうに言ってたわけですよ! そこを乗り越えたのは私ではなくて、優秀なスタッフが、地道にお店を説得してくれたおかげです。スタッフの力がなければ実現しませんでした。

‐今後、FuuTubeにはどんな展開があって、どんなコンテンツで楽しませてくれるのでしょうか?

基本的にうちのチームは、“これをやったら、もうかるだろう”よりも、“これ誰もやってないな”とか、“これおもしろいな”という着眼点から始まるんです。

ひとつだけ例を挙げると、(風俗の)お客さんが、自分で動画を作ってアップしてもらう……とか。それをうちでフィルタリングして、安全なかたちでやりたいな……とか。

たとえばウチの守備範囲にない、岡山のお店を動画取材したいと思ったときに、ウチが岡山に住んでいる風俗ユーザーの方とお店をつないで、動画を撮ってきてもらおうと。そんなことができれば、全国のお店を紹介できるなと思うわけです。

‐そういえばFuuTubeは、全国各地にエリアが広がりましたね。以前は関東のウェブサイトというイメージが強かったのに

神奈川版から始めて、東京、名古屋、千葉、埼玉、大阪、福岡、群馬という感じで広がっていってます。

‐大阪の体験動画にアキバさんが登場しているのを見て、すごいコストをかけてるなと思ったんです。今後も全国を駆けまわりながら撮影されるのですか?

そうしたいとは思っていますが、私は、ひとりしかいないんで、できることも限られますし、仕事の種類によって選別しながら動いています。

次回「風俗店向け講習ビデオで日本の風俗のレベルを世界水準に!」~『FuuTube』代表・アキバマサトの想い#2~ へ続く

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アキバマサト

1973年、横浜市出身。高校卒業後、ミュージシャンを経て風俗業界入りし、20年以上のキャリアを持つ。体験男優としての顔は一部に過ぎず、実は大手グループの代表経験もある敏腕ビジネスパーソン。仕事観、人間観、人生観の有無を大事にする。尊敬する人は、やはり実業家だった父とX JAPANのYOSHIKI。非常に繊細なO型。 Fuutube:公式サイト

執筆者プロフィール

吉岡 優一郎

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1964年2月23日、大阪府布施市(現東大阪市)生まれ。現在は、岡山県井原市在住。ノンフィクション作家・ライターのほか、ウェブコーディネーターの顔をもつ。著書に『風俗嬢のホンネ』『もっと風俗嬢のホンネ』『風俗嬢たちのリアル』『ベテラン風俗ライターが明かすフーゾク情報のぶっちゃけ話』『ワケありな風俗嬢たち』(いずれも彩図社)がある。また、風俗関係者のインタビューを精力的に行い、その模様をインターネットラジオ番組『フーゾクリンクラジオ』で配信している。

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