北村一樹、引退を宣言?! 『アインズグループ』東京での戦い #3
2022年09月22日
――「 ブレンダ関東進出から先の、今後について伺いたい」
インタビュアーの新海がそう思った矢先、アインズグループ代表の北村が口にしたのは、意外にも“引退”の2文字だった。
一般に35歳~59歳が“働き盛り”と言われる現代にあって、42歳の彼が、しかもどの角度から見ても“成功者”としか思えない彼が、なぜそんな言葉を口にするのか。
いよいよ最終回。“らしくない答え”の真意を聞いた。
システムは必須だが、人の成長も大事。なら思い切って
もともと“個人商店から組織に”ということは、ここ十数年のアインズグループのテーマであり、進めてきたことです。
お伝えしてきたように、いざ関東進出となったら、僕の“個人”がまた突出しちゃったみたいなところはあったんですが(笑)、方向性としてはブレてはいないんですね。
マニュアルであったり会議であったり、フランチャイズの店舗もあったり……。僕が新しもの好きなのもあって(笑)、Zoomやなんかもバンバン活用しています。
ただ確かにシステムは必須ですけど、「やはり人の成長も大事だな」というのを今回の東京の件でつくづく感じて。思い切ってブランドごとに代表を置くことにしました。
『ブレンダ』であったら上原、『プリンセスセレクション』は北澤、『BLENDA V.I.P』と『Club MARIA』は山下がそれぞれ社長の座に就くという形ですね。そう(笑)、前回言った「北村50代で引退」の目論見は、着々と進んでいるんですよ。
みんな優秀だし、何より渋谷で僕がわちゃわちゃ動いている背中を見てくれたのもあって、方法論みたいなものをあらためて意識してくれたと思うんです。同時にさっきも言いましたけど、個人商店ではないんだから、まんま僕の真似をする必要はないですよね。
各社長が、受け持つブランドの全国展開を目指す体制に
現に例えば上原には、僕にはないプロデュース力があります。
「指名が少ない。なんでや? めっちゃええ子なのに」と僕が思案している時でも、たたずまいや普段の様子、話し方を見て、「こんな感じで売り出せばいいんじゃないか。写真もこうすべきじゃないか」みたいなことができるんですね。
しばらくオフィスに顔を出さないうちに、その子の雰囲気が「あれ?」と思うほどガラッと変わっている。ランキングもいつのまにか上位にいるなんてことが、一度や二度ではなくありました。
同様に他の社長にも、1人ひとり“得意”があります。今後各自がそこで勝負していってくれたらと思うんです。アインズではなく、受け持つブランドを全国展開するつもりでいてほしい。もう今この瞬間に、僕なんて引退したと思ってくれていいですよ(笑)。
この世界は結果がすべて。付いてくる売上がすべてですからね。これからですよ。「誰が最初に北海道にお店を出すんだ?」「沖縄はどいつだ?」なんて感じで、競争してくれたらなと。……そう(笑)、ディズニーランドのキャストさん達のように、楽しんでね。
「所詮私、激安店だから」。そんな思いでは働けない
僕自身は実は、今『亭主関白』と『バカンス学園』を見ているんです。理由はこれも昔お話したんですが、ご記憶あるかな。
まだまだアインズは、“いちばんはじめの風俗”にはなれていない気もするんですね。玄人受けすると言えば聞こえは良いですけど、初心者には敷居が高く感じられているかもしれない。この辺も、WEBや新たなブランド展開で変えていければと思っています。当然今まで通り、きちんとブレないラインは引いてね。
「終わらない旅。“普通”に挑み続けたグループの舞台は、遂に全国へ」
~アインズグループ代表 北村一樹の冒険#3(2019年1月)
要はまだ若いサラリーマンとか学生さんには、料金の面で高級店『ブレンダ』は厳しいかもしれない。まあお金を貯めて来てくれるのはありがたいですが、借金してまでとなると困ります(笑)。冗談抜きに、それじゃハッピーじゃないですからね。
そのための『バカンス』だったわけですけど、どうもみんながそんな感じじゃないんですよ。スタッフは『ブレンダ』に行くまでのステップアップだと思っていたり、下手したら「期待されていないからここまでの店なんだ」と思っていたり……。
女の子に至っては、露骨にこんな風に言う子さえいました。
「所詮私、激安店だから」
僕にはもうこの言葉が、ほんとにほんとにショックで。
「オレがいるのは2番手3番手のブランドだから」
「私のスペックじゃ激安店だから」
こんな思いで働いて、何が楽しいんですか。やる気が出るわけがない。ちなみに僕、この“スペック”っていう言い方も大嫌いですよ(笑)。誰が言い出したんですかね? お客様の側だって、「安いので悪いものです」と言って差し出されたものを喜ばないでしょう。
しかも僕らが提供しているのは、“人”のサービスですからね。実際先ほど引用した過去の文章でも、僕は“ブレないライン”と言っている。“最高の女の子の最高のおもてなし”というコンセプトは、価格帯が変わったって動きはしないんです。あくまで“はじめの風俗”。
『バカンス学園』の社長は、オレが預かる。宣言の理由
でね、とりあえず「ここはオレが社長を預かるから。みんなどうやるか見といてくれ」と言ったんです。なので心づもりとしては、僕は僕で『バカンス学園』と『亭主関白』の店舗を増やしていきます。いずれこの立場も譲るでしょうけどね。
まず行ったのは“激安店”という言葉の“禁止”です。外に向けてはしょうがないですが、中では決して使うなと。もしかしたら女の子の中には「ほんまは高級店で働きたい」みたいなのがあるのかもしれないですけど、今いるのは“ここ”なわけじゃないですか。
「置かれた場所で咲きなさい」
僕この言葉が大好きですよ。もし悔しかったり納得できない自分がいるのなら、それでもいい。だけどその代わりに、ここで1番になって見せましょうよ。そしたらきっと自分を認められると思うんです。
大切なのはエッセンス。そして、最後の最後に贈る言葉
僕もそうでしたよ。中卒でね。16歳の時は最高のバイク屋になるつもりでした。キャバクラでもあっというまに店長になった。その時々で一番を狙っていたからこそ、トップに立てたんです。頂点に君臨すれば、誰も自分をバカにできない。
いやそもそもがね、誰もバカにする人なんていないんですよ。『アルマーニ』のスーツを着ている人が、『エンポリオ・アルマーニ』をバカにするかと言ったら、そんなことはないでしょう。ただ懐具合、自分の身の丈というだけじゃないですか。現に僕だって両方持っていますよ(笑)。
大切なのは『アルマーニ』というブランドコンセプトの共有、エッセンスなわけですよね。アインズグループ内の各ブランドについてだって、その意味では何も変わりません。『バカンス』の子をコケにする『ブレンダ』の子なんて1人もいませんよ。
だから僕が人に贈る言葉は、ここでもまた昔と一緒です。
「誇りを持たんかい。お前ら安ないねんぞ」
――この後新海と北村代表との間で、「撮影はぜひ渋谷オフィスで」となったらしい。そして代表はスティーブ・ジョブズについて、時間も忘れて話し続けたそうだ。
「なるほど」と頷いた読者も多いだろう。
ジョブズは「予想した将来に向かって、今という点を繋げることはできない」と言った。「点と点は、現在から過去を振り返った時にしか繋がらない。だから将来の何かの点に繋がると“信じて”、今やっていることに精いっぱいで取り組め」と……。
ディズニーランドのおもてなしを鏡とし、シスター渡辺和子の言葉「置かれた場所で咲きなさい」を好む彼が、ジョブズを愛するのは当然に思える。いつも全力投球で、人生を楽しむ男。大丈夫、北村一樹が引退する将来なんて、きっと本当は、彼自身にさえ見えていない。
(インタビュー:新海亨)
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北村一樹、試される。『アインズグループ』東京での戦い #1
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北村 一樹(きたむら かずき)
大阪府堺市出身。風俗業界歴は16年を数える。18歳で水商売の世界に飛び込み、20歳で早くも店長に。2006年に風俗業界に身を転じると、代表として『ブレンダ』を中心に高級店を次々と成功させ、アインズを関西で押しも押されぬ大グループに成長させる。含蓄あるツイートにはファンが多く、フォロワー数は2万人を超える。趣味はピアノで、目覚めには必ず鍵盤に向かう。
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