【総合職(店長・幹部候補)】石垣和雄さんのインタビュー記事
2020年入社
石垣和雄 (43歳)
総合職(店長・幹部候補)
前職:期間工
2021.4.15
いきなりの経営者。“風俗だから良い”を排した時、成功が見え、人が助けてくれた
この記事のポイント!
- パートナーは“なんとなく”の仕事。これではダメだと思った時
- 「ここの制服ダサい!」。大好評の裏にあった、女の子の指摘
- 環境面でも制度の面でも、“一般の事業と同じように”
業界入りは34歳。有り金500万円を、すべてつぎ込んだ
「やるしかないか」
9年前、34歳で経営者として業界入りした時、僕はそんな気持ちでした。
それまではフラフラしていたんですよ(笑)。高校を中退して飲食店員、キャバクラのボーイにトラックドライバー、ニートのような時代もありました。
「そろそろちゃんとしなくちゃ」と思って、トヨタやホンダの自動車工場で期間従業員を始めたのが30歳ぐらいの時。そこで正社員を目指したんですが、4年経ってもなれなくて……。
そんな時に、ピンクサロンで働く知人から「やってみないか?」と声を掛けられたんですね。彼自身の経験もノウハウもあるということで、僕としては「もうこれしかない」ぐらいの気持ちで、誘いに乗ったんです。
ギャンブルと期間従業員のボーナスで貯めたお金が、500万円ぐらいありました。それを全額つぎ込んで、ピンサロを新規オープンしたんです。
パートナーは“なんとなく”の仕事。これではダメだと思った時
ところが、です。世の中そんなにウマい話はありません。「オレに任せろ」ぐらいのことを言っていた知人が、全然使えなかったんですね(笑)。
要はスタッフを長年していたというだけに過ぎなくて、予算の組み方や売上の管理なんて全然知らなかった。それならせめて、とキャストさん対応やスタッフ教育をお願いしても、「そんなのなんとなくで良いんだよ」というノリなんです。良いワケない(笑)。
結局自分でイチから勉強です。スタッフ経験さえないわけで、まあたいへんでしたよ。でも自分の持ち金全て入れちゃってるんだから、逃げようもないじゃないですか。
「自分の良いと思うことをしよう」
もう開き直りですよね。やったことないし、教えてくれる人もいないんだから。
でも今思うと、結果的にはこれが良かったんですね。何と言うか、“風俗だからこれで良い”みたいな古い感覚に縛られずに、一般の事業と変わらない形で店舗運営ができたんです。
キャストさんのバックを6:4に。“人を大切に”で掴んだ成功
一番わかりやすいところで言うと、キャストさんへのバックですね。僕にはどうも、ピンサロという業種のバック額は“低すぎる”ように感じました。それはもともとの料金単価が安いにしてもです。
当時キャストさんとお店の配分は、5:5どころか4:6なんてところも多かったんですよ。ちょっと扱いヒドイなと。なので僕、それを6:4にしたんです。
「どうかな?」
ベテランのキャストさんにも相談したら、すごく喜んでくれて。その後知り合いのキャストさんをどんどんお店に連れて来てくれたんです。そして更に口コミが広がっていって。
この時点で、実はもう良い結果は見えたようなものなんです。まずキャスト数を確保できた。みんな他よりバックが良いから辞めないで残ってくれるし、接客だって頑張ってくれます。接客が良いから、ユーザーはリピーターになってくださる。やがて評判になって……。
「キャストさんはモノじゃないんだ」
僕は何か特別なことをしたつもりは全然ないんですが「スタッフ経験もないのに、何でうまくいったの?」と聞かれれば、答えは「人を大切に」。ここに尽きる気がします。
越谷駅徒歩2分。「空いたら最高なのにな」。願いが何と現実に
で、実はピンサロは4年で人に譲ってしまったんです。何か別の事業もやりたい欲が出てきちゃったんですね。その後デリヘルを出して失敗したり、暢気に構えてますけど、僕も色々あったんですよ(笑)。
昨年『れいわ女学院』をオープンさせたのは、本当にたまたまですね。ラッキーとしか言いようがない。
「あの場所、最高なんだよな」
越谷駅徒歩2分。周囲にライバルなし。「こんなところにお店を構えられたら、ゼッタイ繁盛店にできるのに」って、以前から車や電車で前を通る度に思っていました(笑)。
そしたら偶然居抜きで借り手を募集することになって、喜んで手を挙げたんです。正直、目を光らせていて良かったなと(笑)。
「ここの制服ダサい!」。大好評の裏にあった、女の子の指摘
成功に確信を持てたのは、立地だけではなくて、やはりピンサロをイチから軌道に乗せられた経験が大きいと思います。ヘルスの方が単価が高いわけですし、回転のペースも遅くて良い。ラクと言うと言いすぎですけど、相対的に見てこちらの方がやりやすいのは確かかなと。
後たぶん、僕って“店舗型”は得意なんですよね。場所があって人がいて、そこに人が来るという業態に、ピンサロ経営を通じて自信が持てました。さっきも言った“人を大切に”は、ここでも心掛けているつもりです。するとやっぱり、人がお店を助けてくれるんですね。
「店長。ここの制服ダサい!」
学園系というコンセプトは、僕自身がやりたかったものなんです。好きなんですよね、単純に。キラキラして華やかで、自分の地元にそういうものができたらって、僕自身がワクワクしちゃうようなところがあって。
ところが、こんなこと自分で言うのは悔しいですけど、もうオジサンじゃないですか(笑)。「これだ!」と思って選んだ制服だったんですが、働く彼女達からしたら「ないよ」と。
「それなら」ということで、キャストさん達自身に制服を選んでもらったんです。まあキャイキャイ言いながら喜んで助けてくれました。「自分が着たいものを着る」というのが大きいんじゃないですかね。彼女達自身が楽しめる。おかげさまでお客様にも好評で……。
こう話してみると、僕はいつもキャストさんに恵まれていますね。ピンサロの時もヘルスの今も一緒です。僕1人の力では、どうにもならなかったですよ。
環境面でも制度の面でも、“一般の事業と同じように”
最初に少し触れましたけど、“一般の事業と同じように”という感覚は、社の環境面でも大事にしています。
例えば僕自身業界に入る時に、「え。社会保険ないんだ」と思ったんですよね。なのでそこは当たり前に制度として入れて、労働時間も基本は実働9時間+休憩1時間です。
もうほんとにダラダラお店にいるスタッフを見る方がイライラしちゃって、「上がって遊びに行きなさい!」という感じですよ(笑)。
給与もね、“上がる上がるサギ”とか嫌なんで、昇給・昇格の仕組みは明確にしています。スタッフが28万円、サブマネージャーが30万円、マネージャーが35万円、店長が50万円という形です。
期間?……うーんと、僕自身がいっぱしの店長になれたかなと思えたのが、2年ぐらいなんですよね。なのでそれぐらいは見ておいてくれた方が良いとは思いますけど、接客経験が長いとか、経営者の経験があって数字を見れるという方は、もっと早く出世できるかもしれません。
“~年で次の役職”ということはないし、昇給昇格月が決まっているということもなくて、ちゃんと働きぶりと結果を見ますから。
「1年で店長になってるやる!」
こんな気概は大歓迎ですよ。僕ももう別に新たに始めたい事業があるので、ぶっちゃけた話、早く育ってくれたらありがたいです(笑)。
取材後記
その秘密を僕自身が知りたくて、1時間を越える取材となりました。答えはご自身仰るように“人”なのと同時に、そう語れる謙虚さなのかなと感じます。また慣例のようなものにとらわれることなく誰の意見でも聞き、制度設計も一般企業に近づけてきたのが、働くスタッフの安心に繋がっているのでしょう。お話をぜんぶ盛り込めないのが、本当に残念な取材です。
プロフィール
石垣和雄
総合職(店長・幹部候補)
(前職:期間工)