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希望に燃えていた転職先が3日で倒産。コロナ禍の影響がモロに

茨城の工業高校を卒業後、上京してイベント会社に就職しました。フェスや人気アイドルのコンサートから、地域のお祭りまで、大小関係なく催し物を手掛けていた感じです。働き甲斐はすごくあって。

ただ4年働いている内に、少しずつ不満が溜まっていたんですね。夜勤の翌日に日勤だったり、月に1日休みがあるかないかの労働環境なのに、月給は30万円ぐらい。さすがに「見合っていない」と感じるようになりました。

「仕事は好きなんだけどな」

迷っているところに、先輩スタッフが独立するという話を耳にして、「僕も連れていってください！」と（笑）。希望に燃えていたんですが……。

時期が悪かったですね。開業したのは昨年の4月1日のことでした。コロナ禍で全国のイベントが軒並みキャンセルとなり、新会社はたった3日で潰れてしまったんです。

「働くならここしかない」。面接でそう思えたのはなぜか

その後、半年経って『U&Gグループ』に入ろうと思ったのは、面接です。それが全部と言っても良いぐらい。

もともとこの業界を念頭に転職活動をしていたんですね。高校時代の先輩が働いていて、地元に戻っていた自分のことを心配してくれたんです。「また東京に来る気があるなら、ウチみたいな仕事もあるよ」と。好奇心もあって、幾つかご面接させていただきました。

でもきっと、応募の仕方やたまたま合わないお店に当たっちゃったんでしょうね。「どうもピンと来ない」ということが多くて。特にたいがいのお店で「まだ21歳で、どうしてウチに？」と聞かれたんですが、強く引っ掛かりました。

そんな風に言われると、「なんか応募しちゃいけないのかな？」という気になりますよね（笑）。でもそこも含めて、『U&G』は違ったんです。

まず店長が……もしかしたら2時間半ぐらい話し続けていたんじゃないですかね（笑）。やりがいや、どうしてこの事業をしているのかを語ってくれました。

印象に残っているのは、4年間の僕の仕事内容について、他業界なのにかなりくわしく質問があったんです。「どういう時楽しかった？」とかですね。何と言うか、「自分という人間に興味を持ってくれてるんだな」と感じられました。「働くならここだ」と思えて。

年齢のことは話題にも上りませんでした（笑）。その理由は今になるとよくわかります。ウチには僕みたいな20歳そこそこのスタッフもいれば、先週入った50代の新人さんもいるんです。「年なんて関係ない。すべてはやる気次第」が徹底されているんですね。

“順調な歩み”の要因は、未経験。業務を素直に受け入れられた

ここまで順調に来ているのは、自分が未経験だったからというのが大きいと思います。まっさらな気持ちで始められたので、1つひとつの業務を、まずは言われた通り素直に学んでいけたんですね。

またこんな僕に対して、お店も丁寧に業務を教えてくれたと思います。1か月目はお出迎えのご挨拶をしっかり、2か月目は対面受付を完璧に、3か月目は電話応対を覚えようという感じ。決して“いきなり全て”を、求められるようなことはありませんでした。

キャストさんは“稼ぎたい”。だからマネジメントは難しくない

一通りの業務の流れを把握して、キャストさんのスケジュール管理やマネジメントまで任せられるようになったのが、ちょうど4か月目ぐらいですね。ここも僕は正直、難しいと感じたことはなくて。

と言うのも、ここに来るキャストさんはまず「稼ぎたい」という大前提があるわけですよね。だから当然「出勤したい」というのがある。これがもし「稼がせる。出勤させる」だと、めちゃくちゃキツかったと思いますけど、そうじゃない。

じゃあ僕の仕事は何かと言ったら、一番は「稼ぎたいのに稼げない」となった時に、キャストさんにアドバイスをすることですよね。接客を振り返り、写メ日記の更新頻度を考え、テキストや写真について、一緒に見直してみる。

「人に矢印を向けてみて」

これは面接の時に店長から受けた助言なんです。自分ではなく、“相手が何をしたいのか”にベクトルを向けるということですよね。キャストさんを例に挙げれば、彼女達はご指名が欲しい。なら僕らは、それに寄り添って惜しみなくサポートを行えば良いんだと……。

実際よく覚えているんですが、続けて店長は「そうやって人のために頑張っていれば、勝手に給料も上がっていくから」とも言っていて。入社して1年、まさにこの言葉通りの日々でした（笑）。

月給はわずか1年で45～50万円＋α。更に上げるためには？

具体的に言うと、スタート時の月給が30万円で、ひと月ごとに1万円ずつ上がっていった感じです。やがて副主任になった4月で35～6万円、事務長という立場を頂いた今は45～50万円ぐらい。しかもここに歩合給が付きますからね。

何時間も何日もぶっ続けで働いて、それでも4年間月給30万円だったことを思えば、ウソみたいな現実です（笑）。あの時決めて正解だったなと思うし、良くしていただいた分だけ、今度は自分が後輩達をしっかり助けてあげたいなと……。

その意味で言えば、これから“矢印”を向ける対象は、どんどん増えていくんだと思います。だからこそ「初心を忘れずに」が今の率直な思いですね。きっとそうしていれば、また月給も上がると思うので（笑）。

取材後記

執筆者

松坂 治良

もともと大小のフェスやコンサート、お祭りなどに携り、“人の思い”をカタチにするお仕事をしていた小川さん。規模ではなく相手の“熱意”が伝わるイベントほど、力も入ったそうです。“人のために”は、業界が変わっても同じ。どうやら自分にふさわしい環境に出会えたようですね。