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陸上自衛隊に18歳で。その後はナイトワークを転々とした

業界歴ですか？（笑）……そうですね、もう彼これ12、3年になるのかな？

高校中退後、最初は自衛隊にいたんですよ。友達に誘われてなんとなく試験を受けて、陸自に2年間。札幌の部隊に配属されました。

確かにキツいっちゃキツい経験でしたけど（笑）、僕は学校を途中で辞めていて、青春時代がなかったんですよね。苦しい訓練に一緒に耐えたり、不条理な上官への愚痴をみんなで言い合ったりすることが、経験できなかった青春の代わりになりました。振り返れば良い思い出です。

ただこの“なんとなく”のクセは、今思うと頂けないところもあって（笑）。夜の世界にも、友達に誘われて考えなしに入っちゃったんですよね。土地も川崎、名古屋の栄、大阪のミナミ、上野と転々として。

知人に頼られると断れないところもあって、ヒドいお店にも何度か当たりました。「なんで殴られるんだろう？」とか、給与未払いでオーナーが飛んじゃったとかですね（笑）。今だから笑えますけど、気持ちがボロボロなんて時期もありましたよ。

悩んだ末に社員として復帰。“ホワイト”が決め手だった

『キャンパス』は最初バイトだったんです。昨年訪問介護の職に就いていたんですが、給与が安くてとても食べていけなくて、週に数日お手伝いしていました。

で、辞めた後数か月した頃に、萩本店長から電話があったんです。「社員として戻ってくる気ない？」と。

「少し考えさせてください」と答えたものの、もう戻るつもりでいた気がします（笑）。と言うのも、介護では生活が厳しそうだし、それに労働も単純なので「この仕事は今じゃなくても良いのかな？」と感じていたんですね。もう少し歳を重ねた後でも、十分できるなと。

その一方で、じゃあ慣れたこの業界に戻ろうかという時に「また嫌なお店に当たっちゃったら」という思いもあったんですよね。そんな中での萩本からの電話だったので、思いが大きく復職に傾きました。

なぜってここは、本当にホワイトなんですよ。社が決まりとしてパワハラ・セクハラを禁じているので、マジメな方が残るんです。

そしてこれもすごく大きいと思うんですが、例えば店長の萩本も僕も36歳でしょう？

かつて業界が体育会系で、ヒドかった時代をよく知るスタッフが多いんですね。悲しかったりツラかったりしたからこそ、「あんな思いはもう誰にもさせたくない」という気持ちが、みんなにあるんです。冷静に考えると、自分にとってベストな職場に思えて……。

「最後のつもりでお世話になろうか」

悩んだ末に、こちらで社員として再スタートすることを決めたんです。

大丈夫。最初から上手にできる人に、一度も会ったことがない

それに応えてくれて、と言うと生意気でしょうけど（笑）、入社後給与も立場も順調に上げていただいています。

試用期間中は確か、額面で月給33万円、1か月して35万円、3か月目には主任になって、歩合給や大入手当が付いて40万円ぐらいという感じです。そう（笑）、早いですよね。ありがたい。

僕が経験者だからというわけでもないですよ。正直業務内容に“理解できない”“苦手でどうしてもできない”というものはないので、特に“コツコツ派”の方は、出世が早いと思います。

あえて言うと、“付け回し”と言うんですが、女の子をお客様の席に付けるのが、タイミングを含めて最初は少し難しいかもしれません。ただ僕、初めからこれが上手にできる方に、一度も会ったことがないんですよ（笑）。長年この業界にいるのに。

なのでセンスとかじゃなくて、完全に“慣れ”だと思うんですね。焦らず業務に向き合っていれば、自然にうまくできるようになります。僕らみんな、サポートも惜しみませんしね。

稼げる道が多くある世の中で、パワハラは時代遅れ。人に優しく

「人材を育てないと」という思いが社にはあるし、数か月でおこがましい言い方ですけど、それは僕にもあります。だって今、かつての僕みたいな20歳やそこらの身でも、稼げる道がいっぱいあるじゃないですか。

賢い子はYouTuberをやってみたり、SNSを駆使して個人で商売したり、何でもできると思うんですね。その中で僕らの仕事を“選んでもらう”となった時に、昔いた店みたいにパワハラめいたことをしていたら、誰も残らない気がするんです。

自分のためにも相手のためにも、“人に優しく”というのは、すごく大事なんだと感じます。昔の自分を思うと、これからウチのような店に入る方が、ちょっと羨ましいですけどね（笑）。

（インタビュー：松坂治良）

取材後記

執筆者

藤野 りさ

お話を伺って、“置かれた場所で咲く”という言葉を思い出しました。きっとどんな職場でも懸命に頑張って来られたからこそ、良い出会いがあり萩本店長の目にも留まり、今のお立場を得られたのでしょう。
そしてスピード出世中の酒井さん。次にお会いする時はきっと、店長さんですね。楽しみにしています！