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“立て直し屋さん”として35年。“努力次第”の世界が肌に合った

大学を卒業後、最初は九州で家業を手伝っていました。観葉植物の販売。でも、父が早くに亡くなってしまって……。

接客は好きだったので、その後は自動車ディーラーでセールスマンをしたんです。実際営業成績は良かったものの、3、4年でバカバカしくなっちゃって（笑）。

月に15～6台は売っていたのに、手取りで38万円ぐらいしかもらえません。観葉植物ではもっと稼げていたので、ギャップにショックを受けたんです。

その意味で、“努力次第”のこの世界は、すごく肌に合いました。友人に誘われて、岐阜の外国人パブを手伝ったのが31歳。キッチンで月の手取り20万円から始めて、1か月後には店長を任されていたんです。

英語を話せたのが大きいかもしれませんね。やがてお店の売上は月1,700万円に。僕の月給も150万円を超えて。

そこからの35年は、振り返ると“立て直し屋さん”ですね。いわゆる普通のキャバクラや高級クラブのほか、派遣にも携わったりしました。土地も神戸、愛知、東京、千葉と色々。振り返ればみんな良い思い出です。

労働時間が短く、体育会系の理不尽もゼロ。驚くほど働きやすい

だから『Tsエンターテイメント』にご縁を頂いた頃には、もうガツガツした気持ちはなかったんですよ。初め2年前でしたか。クリーンな方針に魅力を感じて、ウェイターとして入社したぐらいですから。

ところがなまじ経験があるので、どうしてもゆっくりさせてもらえません（笑）。それにスタッフさんも女の子も、子供どころか孫ぐらいの年代じゃないですか。共に日常を過ごせば愛着も湧くし、「稼がせてやりたいな」「一人前にしてあげたいな」という気持ちになって……。

気がつけば3、4か月でまた店長になっていました。社長から茅ヶ崎の『TIANOS（ティアノス）』の立て直しを依頼され、僕も「業界への恩返し」ぐらいのつもりで引き受けたんです。

環境が良いので、「ここなら」と思えたのも大きいですね。わかりやすいところでは、スタッフの労働時間。昔の大手は昼14:00に出勤して、帰りは翌日の5:00なんてざらでしたけど、ここは夕方17:00に来ればいい。

帰りも早ければ1:00には上がれるし、忙しい日でも2:00か3:00には帰れます。体の負担が全然違いますよね。

体育会系の理不尽もゼロですよ。「自分の業務だけしっかりね」という感じ。こんなにストレスなく働ける職場もめずらしいなと。

女の子に罰金もないから、お店との間で無用なトラブルも起きません。昔を思えば天国ですよ（笑）。

リスクを避け正攻法で。“アフター”より“ゴルフ”をすすめる理由

とは言え、“お店の売上を伸ばす。女の子を稼がせる”という僕の“使命”に変わりはありません。僕が常日頃から女の子にアドバイスしているのは、「是は是、非は非。区別を付けなさい」ということです。

例えば出勤前のお客様との“同伴”は構いません。そのままお店にご一緒できるから。ご指名になるし、お店の売上になる。

一方で、閉店後の“アフター”は原則ダメ。あれは“タダ働き”と同じだし、経験上ご指名に繋がることも少ないんです。お酒が入った後だから、最悪お客様のハメが外れていることだってありますしね。

「でも断ってお店に来てくれなくなったら？」
「いいんだよそれで。しゃあないやん」

アフター推奨のところもあるみたいで驚かれますけど（笑）、そういうお店は僕からしたら、“女の子を守る”意識がありません。

それになんというのかな……。もっと“正攻法”でお客様に自分をアピールする方法があるはずなんです。

中でもおすすめはゴルフ。若い子が富裕なお客様や年配の方と会話するのに、これほど打ってつけの武器はありません。茅ヶ崎店でも僕自ら7人の子に教えています。

お客様との共通の話題になるし、社長様や役員さんのコンペにご一緒できれば、それが立派な営業になる。流れでときにはお店に同伴もできるでしょう。“リスクを負わずにやれること”って、たくさんあるんです。

出世したいなら、“責任感”が大事。周りを見、先輩に聞こう

スタッフに求めるもの？……うーん、どうですかね。コツコツ仕事してくれればそれでいいですよ。のんびりした社風だし、マジメにやっていれば、楽しく働けるのかなと。

ただもしステップアップしたい。それこそ1、2か月でマネージャーに、半年とか3か月で店長に昇格したいと思うなら、大事なのは“責任感”だと思います。

スタッフのうちは、ホールをきちんと回すのが責任。マネージャーになったら女の子のシフトをちゃんと管理して、稼げるアドバイスをするのが責任。店長はとにかく売上を作るのが責任ですよね。

そこから逃げずに「どうすればいいか」を常に考える。周りを見る。早いのは先輩に聞けばいいんですよ。僕にだって35年の経験があるし、この年です（笑）。ノウハウを出し惜しみする理由はありません。

次代が育てば、僕も引退でしょう。……手始めに一緒にゴルフに行きましょうか。大丈夫。レッスン料は頂きません。こんなにいいお話は、なかなかないですよ（笑）。

（インタビュー：松坂治良）

取材後記

執筆者

藤野 りさ

「アフターに行くよりゴルフ」の言葉に、女の子を稼がせる“本気”を感じました。同時にこの本気に応えるには、女の子の側にもスタッフさんの側にも“やる気”が必要ですよね。
“気持ち”があれば道は開かれる。大ベテランのお話だけに、大いに参考になりました。