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子どもの入院費のために始めた副業が、業界との出会い

少し重い話からになっちゃうかもしれないんですけど、いいでしょうか……。

僕には子どもが1人いるんですが、実は、生まれた時から障害があるんですね。

それで、入院費とかがずいぶんと掛かったんです。当時働いていた会社の給料だけだと、とても賄えなくて。

何か副業ができないかと探して、送迎ドライバーを始めたのが、この業界に入ったきっかけでした。

「よく来たね」。話せる雰囲気が、そこにはあった

最初は掛け持ちでドライバーをしていたんですが、その後店長が、正社員で中の仕事もって、熱心に誘って下さったんですね。「山中さんの仕事ぶりなら」ということで、親身にもなっていただいて。

でも僕、正直コワかったんですよ。高卒から代理店の営業を始めて、キャバクラのボーイをして、その後は飲料メーカーで、8年間自動販売機の補充……。

環境を変えたくないというよりも、今34歳でしょう？　新人として入社した時に、内勤ならきっと、丁寧な言葉遣いや接客が要求されるじゃないですか。だけど僕、長い間まともに敬語も使っていなかったんですよ。どうしても腰が重くなってしまって。

思い切ってここにお世話になると決めてからも、どこかに不安がありました。色んな負い目を感じていたというか。

ところが実際千葉営業所に来てみると、それこそ色んな背景を持つ方がいたんです。僕が知らないようなことを経験した方がいっぱいいて、新人のこれまでの人生に紆余曲折があるのは、当たり前という感じだったんですね。34歳が何だと。

皆さんがすごく優しいというか、「よく来たね」というオーラがすごかったんです。

自分の子どもに障害があるという話も、自然に口にすることができました。前の職場では言えなかったんです。何か、バリヤーを張っていたんでしょうね。

最近気づいたんですけど、そんな風に言えないことがあると、のびのび働けないものなんですね。今、ここでは僕“素”です。初めて何もかも本音を出して働けているから、すごく気持ちが楽なんですよ。

黙っていなくなられたら悲しい。だから僕は、一緒に悩む

辞めたいとかツラいってないですね。ほんとにストレスフリーになったから（笑）。

だからこそ逆に、ここで働いているコンパニオンさんにも、ストレスなく働いていただけるように、環境づくりを心がけています。

たとえば、出勤してくれたらリラックスできるように声掛けをしたり、困っていることがあったら相談に乗ったり、メンタル面のフォローをしたり……。

どの仕事にも波ってあると思うんですよ。稼げない日だってありますよね。そんな時だって、話せる相手がいるだけでも違うと思うんです。「話を聞いてほしい」っていうだけでお店に来てくれたら、それだけでも僕には、願ったり叶ったりなんです。

だって、黙っていなくなられたら悲しいじゃないですか。今稼げないという悩みがあるなら、一緒に悩んで、どうすれば良いかを考えたいですよね。

居心地の良い環境づくりができれば、それだけでもコンパニオンさんの出勤人数は増えると思うんです。売上にだって繋がる。

なので僕、けっこうしつこいですよ（笑）。心を開いてくれるまで、めげずに日々話しかけますから。でもなかには「山中君がいるから」と、言ってくれたコンパニオンさんもいて。

敬語？（笑） そう言えばそんな心配してましたね。今はむしろ、人と話すのが好きな、自分のもともとの性格が出ている気がします。やっぱり環境なんでしょうね。

最高のパフォーマンスを発揮して、昇格したい。その理由

今の目標ですか？　常に最高のパフォーマンスを発揮して、昇格していきたいですね。

「現状維持なんていう向上心のなさは、社会人として終わっている」

実はこれ、僕がいちばん初めに勤めた広告代理店で、社長に叩き込まれた言葉なんです。なぜか今になって、それを思い出すんですよね。

それはきっと、ここで上に立つ方たちに、同じような覚悟を感じるからじゃないかな。とにかく視野が広い。売上、業務内容、人の動き、ぜんぶが見えている気がするんです。

自分はまだ、得意な分野をがんばっているだけですね。現状維持以上に行けていないと思うんです。もっと早く、自分も高いところに立ちたい。だから積極的に勉強して人に聞いてという姿勢は、忘れずにいたいですよね。

1+1は3なんだ、4なんだ。ここではそんな気持ちになれる

ここにいると、自然に1+1は2じゃないんだ、3なんだ4なんだという気持ちになれます。何というか、みんながみんなで、不足を補い合って進んでいるようなところがあるんです。まだ僕にはできないことがたくさんあるんですが、それでも日々助けられて、充実して業務をこなせている“実感”があるんです。

年齢だってさまざまですよ。50代で転職という方もいます。50代の経験だって生きるという考え方なんです。僕はいったい、何を悩んでいたんでしょうね（笑）。

今、すごく恵まれているなと感じます。だからこそさっきも言いましたけど、早く上に行きたい。バランサーとして、みんなをしっかりまとめられる店長になるのが夢です。

（インタビュー：徳山央樹）

取材後記

執筆者

藤野 りさ

“水を得た魚のように”という言葉がありますが、現在の山中さんは、まさにそれなのかなと感じます。お子さんについての悩みがあり、誰にも言えなかった過去があるからこそ、コンパニオンさんの言葉をしっかり聞こうと思えるのかもしれませんね。きっと、ご自身のおっしゃる“バランサー”になれるはず。ストレスフリーになった今、業界での快進撃を期待しています。