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人は現在の姿だけを見る。自分だって、失敗はたくさん

そんなに若くて、どうして成功できたのか？（笑） 確かに現在の僕の“代表”という立場だけを見ると、そんな風に感じられるのかもしれません。でも僕は10代から貧乏もしましたし、何回も転職しましたし、起業にだって失敗しているんですよ。

僕からすれば「こんな自分でも」という感じなんです。見方を変えれば、さまざまな紆余曲折や挫折があっても、気持ちさえあれば誰でも再チャレンジができるし、成功の可能性も大きい……。

これこそがこの業界の、良さだと思うんです。

受験にも起業にも失敗。ときにはNHK受信料の集金のバイトも

18、9歳の時には僕も、人並みにというか、大学に進学したい思いもあったんです。ただ受験に失敗しちゃったんですね。浪人生として過ごしている内に、家にもいづらくなってしまって……。

それで、じゃあ働くかという感じで、営業の仕事を始めたんです。

色んな職場を見ましたよ。もうほんとに、飲食からルート営業から、イベント企画の仕事まで、語り尽くせないぐらいの業種と職種を経験しました。

23歳の時に、時代の流れも受けて、携帯電話関連の事業を立ち上げたんですが、見事に失敗。職を失って、NHK受信料の集金のアルバイトをしたりもしました。

たいへんだったか？（笑） まあラクではなかったですけど、営業経験もありましたし、1度起業すれば話もうまくなります。それなりに成績も良くて、正規職員にならないかとお誘いを受けるほどでした。

そのまま正規職員になっても良かったんですが、その頃27歳でしょう？　ここでその安定に逃げていいのかなと思っていたところに、九州の祖父母から、「こっちで一緒に暮らしてくれないか」と連絡を受けたんですね。高齢でしたし、家というほど大きなものでもないんですが、誰かに跡を継いでもらいたい思いもあったんでしょう。

心機一転のつもりで、九州行きを決めたんです。

九州で心機一転。やがてでも、迷いが生じて……

そこで37歳まで、また色んな営業やコンサルタントのような仕事をしました。

通信機器関連のラウンダーの仕事が、いちばん長かったですかね。家電量販店なんかを回って、販売の工夫をしたり、イベントを企画して、自分でも店頭に立つんです。それまでの経験でプレゼンテーション能力やセールストークは身に付いていましたから、最後の頃は営業所を1つ任されたような形でした。

ところが九州で10年目。祖父が亡くなって、祖母も介護施設に入ってとなった時に、やっぱり思っちゃったんですよ。

「このままでいいのかな」

父が自営業だったんで、もともとサラリーマン気質ではなかったんでしょう。それに当時、格別給料が良かったわけでもありません。良い収入を得たい、起業したいとなった時に、東京に戻ってくる決意をして……。

そして自分の37歳という年齢を考えた時に、独立や一獲千金の夢をかなえるには、この業界しかないと思ったんです。

“覚えるか覚えないか”。デリヘルの仕事はそれだけ

「まず、ノウハウを身に付けよう」

資金もないところでいきなり起業なんてできないのはわかってますから、最初に大きなグループ店で働くことにしたんです。そちらの社長にも正直に「いつか独立したいんです」という思いを伝えました。

資金は幾ら必要か、自分の月の生活費はどれくらいのつもりか、何年後に店を持ちたいのかと、社長もくわしく話を聞いてくださって。

彼自信がまったく未経験のところからグループをつくった方だったので、笑われたりなんていうことは全然なかったですね。むしろ事業計画の大切さや、システムの重要性を説いてくださって……。

それからは早くノウハウを吸収して一人前になりたくて、電話応対、Webサイトの更新、配車、送迎、キャストさんの管理と、矢継ぎ早に懸命に業務を覚えていきました。

もちろん初めは失敗もたくさんあったんですが、実は店舗の運営自体にむずかしさを感じたことは、1度もなかったんです。

なぜかと言うと、デリヘルの仕事というのは、“覚えるか覚えないか”しかないんですね。もちろんスピードの速い遅いはあるんですけど、内容自体に“理解できないこと”というのはないんです。慣れてもいきますから。

接客や営業の経験は電話応対やキャストさんのマネジメントに活かせますし、イベント企画で培った発想力は、業界が変わったって使えます。エクセルだってこの業界で初めて触ったという方は多いですから、事務職経験の長い方は、すごく重宝されると思いますよ。

運転免許だって、デリバリーヘルスには立派な、必要不可欠と言ってもいい資格なんです。「自分の何かが活かせる場所」だというのは、強く感じました。

大衆店 ⇒ 高級店。起業に向けての加速

自分が「独立したい！」という思いを公言していたからでしょうね。同僚や先輩を通して、さまざまな形で横の繋がりなんかもできていって……。

「高級店の方が、利益出るよ」

ある時知人からそう声を掛けられたんですね。スタッフ経験者が欲しいから、新規オープンを手伝ってくれないかと、お誘いを受けました。

正直グループでまだ8か月という時だったんで、迷いはあったんです。でも起業を目指していた自分が冷静に「やり残したことは？」と考えると、もうなかったんですよね（笑）。

むしろ大衆店にいましたから、「高級店を勉強したい」という思いの方が強くて、転職を決めました。

高級店の何がむずかしいか。そもそもむずかしいのか

「この料金設定でお客様が来るの？」

高級店ということで、120分10万円とか、なかには15万円というコースだってありましたから、最初は半信半疑ですよ。

確かにキャストさんの洗練には僕も目を見張るほどでしたけど、ネットって見えないじゃないですか（笑）。ほんとに伝わるのかなとか、そもそもそのお金を“デリヘルで使おう”と思う方がいるのかなとか……。

結論から言うと、いました（笑）。新規オープン後、2人、5人、10人と電話が増え、会員数も増していく中で、実感できましたね。

「高級店だから何かむずかしかったか？」と聞かれると、僕は「うーん」と困ってしまうんですよ。もちろんキャストさんには言います。「ここは高級店ですから、マナーやおもてなしの気持ちはすごく大切です」って。

でもね、そんなことキャストさんはわかっているんですよ。へらへら笑っていて、高い収入を得られるほど甘い世界ではないのはわかっているから、プロ意識が高い。だからこそ僕も、大衆店にいた時以上に、サイトの文章1つとっても集客を考えましたし、より“Webマーケティング”ということを意識するようにもなりました。

ただ基本は一緒なんです。さっきも言いましたけど、デリヘルってむずかしい仕事は1つもないんですよ。未経験でいいし、これまでの人生が活かせる。それはどの現場でも一緒なんです。

失敗だってここでもたくさんありました。人手が足りない時に送迎ドライバーをしたら、道に迷ってキャストさんにもお客様にもご迷惑を掛けたり。

でも失敗しない人っていないでしょう？　迷惑を掛けたら、あやまればいいんですよ。キャストさんにもお客様にもお店にも、「ごめんなさい」しかないじゃないですか。

誠意を持ってあやまり、そして同じあやまちを繰り返さない。普通のことをすればいいというのは、失敗した場面でだって、一緒なんです。

成功に“特別”はいらない。ただ“当たり前”があればいい

2016年に、僕は独立しました。今、直営3店にフランチャイズが2店。いずれも高級店です。

だからと言って僕は、やはり自分が特別だったとは思いません。業界に入るまで、僕は何回転職したか、幾度失敗したか……。

初めに戻りますけど、そんな僕でもこんな風に成功を手にできるのが、この業界の良さだと思うんです。一獲千金、独立、再チャレンジ、良いじゃないですか。そういう方にはぜひ『ベリーグループ』に応募してほしい。

僕にもこの業界でたくさんの出会いがありました。色んな人に助けられました。直接恩返しできない方も多いからこそ、次に続く方達を、サポートできればと思うんです。

そしてこれは大切なことなんですけど、ウチのグループにいるのは、何も店長になりたいとか起業したいという方たちばかりじゃないんです。

なかには“上の立場は荷が重い”という方もいますし、“楽しく働ければいい”“職場の人間関係がいちばん大事”という方もいます。こういう方の思いもわかるし、強制するのは違いますよね。色んな方たちを受け入れられる“懐の深さ”も、業界の良さなのかなって。

その中で僕が、代表として“必ず”と、肝に銘じていることが1つだけあります。

それは、がんばった人にはありがとうの気持ちと一緒に、給与で報いること。デリヘルの仕事というのは“覚えるか覚えないか”しかない、“理解できないことはない”と言いましたよね。当たり前にやれば、どんな方でも活躍できる場所だって。

だからこそ僕は、がんばった人に、“当たり前”に収入で報いたい。ここはそういう場所であってほしいと思うんです。

取材後記

執筆者

松坂 治良

僕の伺いたいことは「なぜこの方は成功できたのか」ということだったのですが、佐藤代表にとっては、これこそがいちばん答えにくい問いのようでした。「特別何も」「たくさん失敗しましたしね（笑）」……柔和な笑顔と共に、何度もそう話されていたのが印象的です。常識的に、当たり前に。そうすれば自然にというのは、正直な“実感”なのでしょう。

オフィスで撮影中、スタッフの皆さんがクスクス笑い、代表が照れ臭そうにしていたのも、ステキな光景でした。

「ここのみんなを応援したい」

代表はお認めにならないでしょうが、この人柄こそが、グループの成功の、答えなのかもしれません。