風俗業界では正義が勝つとは限らない【実践・対処編】~アキバマサトの『風俗業界一年目の教科書』~

2017年03月29日

byアキバ マサトアキバ マサトFuuTube映像ディレクター

前回は仕事をする上で、他者や組織から信頼を得たいというポジティブな動機よりも他者を酷評して、相対的に自分の評価を上げようとするネガティブな動機は、波及効果がより高いという話を書かせていただきました。

■前回の記事はコチラ 風俗業界一年目の教科書  ~風俗業界では正義が勝つとは限らない【概念編】~

僕はこれを風俗店スタッフが陥りやすい“負のダークサイド”と呼んでいます。

今回は実際に僕が“負のダークサイド”に落ちた店舗スタッフから受けたネガティブキャンペーンと、それらの対策について書かせていただきます。

既存店の大幅なリニューアルが生んだ“歪み”

15年くらい前にあった実体験なのですが、僕がある風俗グループ店の社長だった時の話です。

僕は、ある店の大改革を行いました。グループの中でも立派な設備をもち、立地も良く、街の中で古くからあり、老舗の部類に入る店舗でした。しかし、数年かけて徐々に売り上げが落ちて行き、手の施しようがないような状態となっていたのです。

元々その店は僕の管轄ではなかったのですが、その店舗の責任者が退いたことでお鉢が回ってきたのです。

内情を見てみるとかなり悲惨なものでした。掃除からなっていないし、スタッフの接客もヒドい。コンパニオンさんの教育なんて一切できていないからサービスもバラバラだったり、禁止行為が横行していたりもしました。

お店というのは不思議なもので、繁盛店にはそれなりのオーラがあり店に入っただけでわかります。逆もまたしかりで、悪い店には負のオーラが漂っているのです。非科学的な話で申し訳ないが、本当に感じるものがあるのです。

この店舗は、昨日今日にできた負のオーラではありませんでした。

数年かけてじっくりコトコト煮込まれた特級のネガティブオーラに包まれており、ちょっとやそっとの改革でどうにかなるものではないと判断し、コンパニオンさんも含めた人員の総入れ替えと内外装のリニューアル工事を行い、店名も変更しました。

数か月間、張り付きで手を掛けただけあり、半年足らずで街の中でも有数の人気店へ返り咲き、売上も右肩上がりで伸びていきました。

しかし、急激な変化で歪みも大きかったのかもしれません。某巨大掲示板でひどく叩かれることになりました。

店自体の誹謗中傷のみならず、僕のことを「アキバ系短足ハゲチビデブ」や「横領・中出し本番講習野郎」などとののしる書き込みであふれていました。それはもう笑えないくらいw。

しかし、僕は匿名のネット掲示板の情報に右往左往することなどまずありません。事実として、そこに良い店が存在していれば匿名の誹謗中傷など逆に「いい宣伝」くらいにしか考えません。ただひたすら現実世界の店舗を良くしていこうと最善の努力をするのみだけでした。

“負のダークサイド”に落ちた店舗スタッフ。その時の対応とは

匿名の書き込みで僕個人のことなど、何を言われようと減る物でもないですし、好きなように書いてくれくらいの気持ちだったのです(少しくらいは気にしますw)。

しかし、コンパニオンさんの個人情報や、内部の人間しか知りえないような情報が出始めたことで何かしらの対応を余儀なくされました。

スタッフを疑うようなことはしたくありませんが、一生懸命頑張っているスタッフのためにも徹底的に調べることにしたのです。

申し訳ないとは思いながらも、スタッフ一人ひとりに「自分しか知らない情報」を少しずつ入れていき、その漏れ方でグループ分けし、最終的に数名に絞り込みをしました。

最終的には自供が必要なので、証拠隠滅できない状況にして冷静な話し合いをしました。その数名のスタッフから自供を得られたので、その方々にはグループ全店に自分が行ったことを告白、謝罪してもらい会社を去っていただきました。

それぞれの言い分がありました。中には、僕の仕事のやり方が気に入らない、僕の統治下ではいずれ会社がダメになる、政権交代してより良い店にしなければならない、というある意味義憤に駆られたような部分があり、全面的に悪とするにはちゅうちょする者もいました。

しかし、初めは「良い店にしたい」という同じ方向に向かっていたはずが、自分本来の力を超えた影響を行使したいがためにネガティブパワーを使うようなってしまったのです。

結果、そのスタッフはダークサイドへ落ちてしまったのです。そうなってしまった人間を簡単に元の現場に戻ることはできません。

ここはお互いのためにも、この会社は去っていただき、これを機にリスタートしていただきたいという思いでした。

このように、ネガティブな感情は最終的に悲惨な結果しかないのです。

このとき僕がもし、嘘の情報を払拭できない程度の信用しかもっていなかったとしたら……。会社を不本意に去っていたのは僕のほうで、人生が変わっていたかもしれません。

ブレーキをかけるよりも、少しでも前へ進む力を大切にしたいものです。

風俗業界は「正義が勝つとは限らない」その対処法とは?

残念ですが、「やったもん勝ち」のパターンを数多く見てきました。

ネガティブパワーによって得た他人の不幸の上に成り立つ利益であっても、まったく良心が傷まないような人は少なからず存在します。

むしろ金銭的な面で考えると、ある程度までなら「やったもん勝ち」という負の成功体験を平気で積み重ねることができる人のほうが、比較的早く一定の成果を出せる場合があります。

この恩恵にあずかれる側ならまだしも、おとしめられる側だったら、たまったもんじゃありません。被害者と加害者は表裏一体なのです。

ネガティブキャンペーンの予防と対処法について

このようなネガティブパワーを一方的に浴びせられたとき、どのように対処すれば良いのか?

始めに、そもそもこのような被害に遭わないように予防をしたいのですが、残念ながら防ぎようがありません。

自分はルールに則って歩道を歩いていても暴走車が勝手に突っ込んでくることがありますし、隣の家に引っ越してきた住人が偶然アタマのおかしい方だった、というようなことはどうしても起こるのです。

ここはもう、生きていれば防ぎようのない不幸に見舞われることもある、と思ってあきらめるしかありません。ですから、起きてしまった後の対処が重要なのです。

自身の利益を求めない単純な悪意による誹謗中傷には徹底無視を

対処法のひとつとして、よく言われるのは「何もしない」ということです。
相手はあなたの反応を楽しんでいるのだから、「そこにいちいちリアクションしてはいけない」ということです。

これはネット上など不特定の場所で相手が匿名である、なおかつ自己の利益を目的としているものではなく、愉快犯であるというパターンの場合です。

愉快であるという利益があるとも取れますが、ここでの定義は違います。

それは自己の利益が起点ではなく、単純に「嫌い」や「妬み」「ひがみ」で、その対象を傷つけることが起点という単純な「悪意」であり、ネガティブキャンペーンとは別物です。

身の危険が及ぶような場合は除きますが、単なる誹謗中傷などに対しては無視するに限ります。

自身の利益を求めるネガティブキャンペーンには戦う必要がある

しかし、利益を目的としたネガティブキャンペーンに対して、無視していては状況が悪化してしまうことがあるのです。
ですから、毅然とした対応で誠実に対処するしかありません。抽象的なズルい答えかもしれませんが、まず根も葉もない嘘や噂話よりも信頼される自分になるよう、自分自身を磨かなければなりません。

決して感情的にならず、冷静に、そして誠意をもって、噂されているような人物(または組織)ではない、事実誤認だということを地道に説いていくしかありません。

そのためには日ごろから後ろめたい行動を慎み、信頼される自分になるよう心がけなくては、一方的な悪意に対して成す術なく負けてしまうのです。
そこまでして徹底していても、無条件に「正義は勝つ」なんてことはありません。
誠実に、そして地道に信頼を得ていくには時間がかかるものです。その間に被害が拡大し、リカバーできないところに陥ってしまう可能性もあります。

先に述べたとおり、善行よりも悪行のほうが世に与える影響は大きく、拡散しやすいのです。正義は勝つと信じて、地道に歩んでいる間に負けてしまうことがあることを忘れてはいけません。風俗業界に限ったことではありませんが、「正義が勝つとは限らない」のです。

その場合には戦うしかありません。戦うといっても武力を行使したり、相手と同じ手法でネガティブパワーを使ったりしても、マイナスにマイナスを足しているようなものですから良化はしません。

信頼されるよう誠実な行いをすると同時に、事実とは違うことを吹聴しているという不正な行為を冷静に知らしめる必要があります。
ここで言う「戦う」とはマイナスからマイナスを取り除く作業のことです。数学的に説明すると

(-5)+(-5)=-10 になってしまうから
(-5)-(-5)=0  にしましょうという話です。

世の中には世間一般の常識が通用しない変わった人が存在します。このような人達と正面からまともにやりあってはいけません。ネガティブから出発したものはマイナス方向へしか進まないのです。

前へ進むためには、マイナス要素は必要ない。ポジティブな起点からひとつでも多くの良い結果を

ネガティブな力は人の心の弱みに取りついて、どんどん膨張して闇に変えていきます。
人は清濁を併せもって生きているものですから、「清く正しく生きましょう」とは言いません。
僕にだって胸を張って人には言えないようなこともありますし、あまり知られたくないような過去ももっています。

しかし、何も後ろめたいことはしていませんから、事実であれば事実として認めるし、嘘なのであれば、それは冷静かつ論理的に根拠を示して否定をするか、あるいは無視をします。

前に進まなければいけないので、可能な限りそんなマイナスには付き合っていたくはありません。限られた人生の中でポジティブな起点から、少しでも、ひとつでも多く良い結果を生み出したいものです。

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執筆者プロフィール

アキバ マサト

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1973年、横浜市出身。高校卒業後、ミュージシャンを経て風俗業界入りし、20年以上のキャリアを持つ。体験男優としての顔は一部に過ぎず、実は大手グループの代表経験もある敏腕ビジネスパーソン。仕事観、人間観、人生観の有無を大事にする。尊敬する人は、やはり実業家だった父とX JAPANのYOSHIKI。非常に繊細なO型。

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