風俗業界では正義が勝つとは限らない【概念編】~アキバマサトの『風俗業界一年目の教科書』~

2017年03月14日

byアキバ マサトアキバ マサトFuuTube映像ディレクター

今回は思いのほか筆が進んでしまったので、『風俗業界では正義が勝つとは限らない』というタイトルで前・後半に分けての連載となります。

前半に大枠の概念をお話したあと、後半に私の実体験と対策を書かせていただきます。少しボリューミーですが、悪のダークサイドにはまらないよう読んでいただけると幸いです。

仕事をする上で大切なポジティブパワー

突然ですが趣味や仕事など、あらゆる行動をする上でモチベーションの源はどこにあるのでしょうか?

わかりやすいのが趣味についてです。まずは、そのあたりからお話をしていきたいと思います。

私の趣味は登山やスキューバダイビングなどです。しかし、この趣味を共有できない人から、「どこが楽しいの?」とか、「何でわざわざ辛い思いして山に登るの?」などとよく聞かれることがあります。

確かに現代の技術なら山の景色は、飛行機やヘリコプターから見たほうがきれいかも知れないし、VRなどで水中映像をリアルに楽しめるかもしれません……。

けれど、私は明確に自分自身の体を使って「体験」することに重要性を感じるのです。自分の足を使って行かなければ見られない光景に感動したり、達成感を得たり、車を運転しながら談笑し合ったり、帰りに皆で温泉に行ったりすること。

細かく言えばもっとたくさんの要素があるのですが、それは今ここではさほど重要ではないので、もし気になるようでしたら僕の登山ブログでも見てください(冗談です)。

とにかく、僕の場合は、時間やお金や体力を使ってでも身をもって体験することにポジティブな動機があるから突き動かされ、自分自身に良い影響を与えるのです。

仕事に置き換えても似たようなことが言えると思います。

例えば、お店の売り上げをアップして達成感を味わったり、新しいスキルを身に着けて自信がついたり、そして給料が上がって喜んだり、ポジティブな動機があるから行動し、うまくいけば結果として自分に良い影響を与えると思っています。

ネガティブパワーで突き動かされることもある

しかし、非常に残念ですが、時にポジティブな動機よりも人に行動力を与え、結果への影響が大きなものがあります。

それは“負の力”(ネガティブパワー)です。

通常であれば良い結果を出すことで、上司や同僚、お客様などから評価が上がります。信頼を得た結果として自分自身にも良い影響が起こるものですが、本来の力以上の評価を得ようとした時に他者を落とすことで相対的に自分の評価を上げようとする人が存在します。

残念ですが必ずいます。

これは極端な例ですが、オリンピック100メートル走の国内代表選考で派遣標準記録が10秒代前半なのに対し、10秒代後半の記録しか出したことがない、という人がいたとします。

その彼がとる行動として、専門的なことははわかりませんが、一般的にフォームの改善や筋力アップ、食事制限などで0.01秒でも早く走れるように自己鍛錬をするのだと思います。

しかし、全員が同じ考えだと思っていると、ひどい目に遭うかもしれません。

このような状況で、自分より速い者に怪我を負わせようとか、下剤を飲ませようとか、オリンピックに出られないようなスキャンダルを仕込み暴露しよう……、とか。

そのようなことを考える人がいないとは言い切れないのです。ですから、グローバルな現場のトップで活躍する方たちは、自分自身に対する努力と共に、他人からの影響に対してリスクヘッジする必要があると考えています。

風俗店スタッフが陥る“負のダークサイド”

風俗店の話に戻すと、通常であればコンパニオンさんからの信頼を得るには、それ相応の過程を踏まなければなりません。多くのお客様にリピートしていただくためには、コンパニオンさんも店舗スタッフも質の高いサービスを提供し、信頼を勝ち得なければならないのです。

しかし、問題解決能力に問題があり、コンパニオンさんからの信頼が得られず、指示系統を確立できないような店舗スタッフが、上司や組織からその評価を覆すために、ほかのスタッフの悪評などを吹聴しておとしめ、自分の相対的評価を上げようとするケースがあるのです。

これら負の力は非常に強い行動モチベーションになり得ます。同じ労力なら、何かを推し進める力よりも、足を引っ張り失速させる力の方が強く作用してしまいます。

店の前を毎日掃除するより、隣の店の前に毎日ゴミを捨てる方があらゆる意味で大きな影響が出る、といった例だとわかりやすいでしょうか。

強い作用が出るからこそ「負の成功体験」を重ねてしまい、より深みにはまりダークサイドへ落ちてしまうのです。

このネガティブパワーによって得られた「成功」は、その利益と比較して失うものが大きすぎるのは言うまでもありません。

この手の人たちは、その不均衡を判断することができず、それら負の言動によってどのように効果が波及し、どんな結果をもたらすのかを正確に分析できている訳ではなく、ごく自然に感覚的に相対的浮上をもくろんでいることが多いように思います。

正確には、効果があること自体は理解しているが、その効果とは、向上することで得られる利益の絶対値ではなく、自己の犠牲を払ったとしても相手にそれ以上の被害を与えれば相対的に価値があるという思考です。

非論理的かつ理不尽な言動を当たり前のようにとるのです。

このような自己の利益を目的としたネガティブな感覚的悪意は、する方もされた方も痛手が大きくなり、何も産まず、何も残しません。最終的には人自体を排除するかされるか、になってしまうのです。

ネガティブパワーに人を幸せにする力は存在しない

これは倫理的に駄目だという話ではありません。風俗に限らずビジネスで勝ち抜くには法や規則の範囲内で、手段を選ばず最大限の努力が求められます。

人や物や組織に対して、改善を目的とした指摘や検証、反省、改善などは必要で、その作業の中で社員同士が議論の場で弱点や揚げ足を取るような場面は往々にして起こるものです。

ポジティブだからこそ起きる衝突とも言えるかもしれません。しかし、このような場合は通常であれば、案件自体は失敗しても、団結力や問題解決能力の向上、データの集積など次のステップへとつながるものです。

問題なのは一定数いるであろう他人の欠点や失敗を拡大し、吹聴・拡散することを目的とする人の存在です。匿名性が高い風俗業界では他業種よりも、その力が大きく影響してしまうことがあります。

だからこそ、強大なネガティブパワーに取りつかれ、ダークサイドへ落ちてしまう人が存在するのです。

そうなってしまえば絶対的な成功はおろか、次につながるようなこともなく、全体の統制を失ってゆくかもしれません。

倫理的な話ではなく、ネガティブパワーには人を幸せにする力などないのです。風俗業界で働き始めた皆さんには、このような道に進むことなく、ポジティブな力で仕事をしてほしいと願っています。

少し難しい話になってしまいました。次回はもう少し具体的に、私が実際に経験した風俗業界のネガティブパワーと、その対策について書いてみたいと思います。

今回のまとめ
  • ネガティブパワーとは、他者の評価を落とすことで自分の評価を相対的に上げようとする“負の力”である。
  • 匿名性の高い風俗業界ではネガティブパワーに取りつかれる人が必ず存在する。
  • ネガティブパワーは何も産まず、何も残さない。ポジティブな力で仕事に取り組むべし

次の記事>> 風俗業界一年目の教科書  ~風俗業界では正義が勝つとは限らない【実践・対応編】~

執筆者プロフィール

アキバ マサト

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1973年、横浜市出身。高校卒業後、ミュージシャンを経て風俗業界入りし、20年以上のキャリアを持つ。体験男優としての顔は一部に過ぎず、実は大手グループの代表経験もある敏腕ビジネスパーソン。仕事観、人間観、人生観の有無を大事にする。尊敬する人は、やはり実業家だった父とX JAPANのYOSHIKI。非常に繊細なO型。

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