求人に書ける! 面接で言える! 店舗スタッフが気になる“税”の話~新海 亨、松本税理士に会いに行く~
2017年05月05日
風俗業界で一番有名な税理士がいらっしゃいます。その方のお名前は、松本崇宏先生。
税金に対するリテラシーが高いとは言えない風俗業界で、“納税義務の適正な実現を図る”という理念の下、年間200件以上の相談実績を誇り、業界の健全化に取り組んでいらっしゃいます。
最近は風俗店のオーナーや幹部の方の相談に加えて、キャストさんからの問い合わせも増えているんだとか。なんでもマイナンバーの影響が大きいそうです。
今回は、そんな松本先生に『Fenixzine』新海が突撃取材! 確定申告がひと段落したこのタイミングで、働くキャストさんからよく聞かれてる“税”のポイントについて伺ってきました。
風俗業界で税理士としてイチバン有名になった理由
新海:はじめまして、Fenixzineの新海と申します。
松本:はじめまして! 税理士法人松本の松本です!!
新海:(すごい爽やか!)そもそも、なぜ風俗業界に特化した税理士事務所になったんですか?
松本:2007年に『デリヘルはなぜ儲かるのか?』(小学館)という本を出版したんですよ。たまたまお客様にデリヘルを経営されている方がおりまして、デリヘルの税金に関するノウハウを書籍化したんです。
そうしたらネットの「風俗 税理士」のような検索結果がすべて私の名前になってしまったんですよね(笑)。
風俗業界って相談に乗ってくれる税理士が極端に少ないんです。そこで、「困っている人がいるなら何とかしたい!」と、この業界に特化して業務を行っていくことにしたんです。
この業界に関する税については、10年間のノウハウがありますから、どこの税理士事務所より熟知しています。
業界特有の経理だったり、お金の流れだったり、一般の税理士事務所ではわからないようなことも把握しているので、ご相談いただく件数というのは年々伸びてますね。
昨年から風俗業界で働くキャストさんを対象にした“税”に関するセミナーも行っている松本先生。
今回はそんな松本先生に、Fenixzineの特別企画として、風俗店舗スタッフがキャストさんからの“税”の質問でしどろもどろしないよう、その対応方法をお伺いしました。
キャストさんからよく聞かれる“税”の質問と対応方法
その1「私たちってバイトでしょ? マジで」
新海:自分の雇用形態を理解していないキャストさんが多いと、店舗の方からよく聞くのですが。
松本:そうですね。風俗で働くキャストさんたちが、自分たちのことをアルバイトだと思ってしまっているケースもありますね。ここを理解していないとなぜ税金を納めないといけないのかがわからないんですよ。
新海:普通のアルバイトと風俗の仕事は何が違うのでしょうか?
松本:ずばり雇用形態ですね。風俗で働くキャストさんはお店から委託を受けた
個人事業主として働いているケースが多いと思います。アルバイトというのは会社から雇用されている従業員ですね。
風俗の場合、基本的に接客をした分だけお給料がもらえますよね。アルバイトのように出勤した時間だけ時給が発生するわけではないはずです。店舗から仕事をもらい、その対価として報酬(お給料)をもらう個人事業主なんです。
アルバイトや正社員の場合は、雇用している企業が社員の給料から源泉徴収してくれます。昼職をされている方は年末調整を経験されたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、個人事業主の場合、個人で税金を納めなくてはなりません。いわゆる、確定申告ってやつです。
自分をバイトだと思っているキャストさんには、風俗の仕事は「自分で税金を納めないといけない個人事業主」ということをしっかり伝える必要があります。
松本:雑費の説明がわかりやすいんですよね。
新海:よくキャストさんから「何で雑費が引かれるのか、意味わかんない! マジで」みたいな話は聞きますね。
松本:個人事業主(フリーランス)の人は仕事道具を自分で用意します。フリーのデザイナーさんは仕事で使うPCを自分で買いますよね? 仕事を依頼される会社から用意してもらえないですよね?
風俗で働くキャストさんも個人事業主に当たるので、仕事道具(ローションやコスチューム)にかかる費用はキャストさんに負担してもらわないといけないんです。だから雑費がかかるんですね。
そんな説明をしてあげると、個人事業主としての理解や「雑費が取られるのイヤ!」というキャストさんにも理解してもらえるのではないでしょうか。
その2「確定申告ってやったほうがいいの? マジで」
松本:風俗業界の中には何千万円って稼いでいるキャストさんがいらっしゃいますからね。確定申告は大切なんですよ。新海さんは年収3,000万円くらいですか?
新海:いや……。だいぶ少ないっす。それより全然。
松本:金額の問題というわけではないのですが、確定申告をしていないと税務調査が入る可能性があるんです。その人がきちんと収入を申告して、正しく税金を払っているのかどうか、確認のための調査ですね。
風俗で働いていて確定申告をしていないキャストさんは、税務署からすると仕事をしていないのかな?と思われます。
仕事をしていないのに、どうやって生活しているのだろう? 収入がないのに銀行口座に何百万ってお金が入っていたら、そのお金どこから来たの?ってなりますよね。
毎月、クレジットカードでお買い物をして多額の決済がされていたら、「なぜっ?」ってなると思うんです。
税務署はそういうところを見ています。だから毎年これくらい稼ぎましたよ。と申告をして、それに伴う税金を納める必要があるんです。
確定申告には“白色申告”と“青色申告”があります。
青色申告は最大65万円分の特別控除枠があるので、上記で説明した雑費などの仕事でかかった経費はもちろん、明らかに仕事用の下着なども経費となります。
松本:キャストさんに伝えてほしいことは、税務調査が入ると過去5年間さかのぼって未納分の税金が徴収されます。恐らく結構な額になるはずです。
今は、キャストさんとして働いていたとしても5年後、何をしているかはわかりません。ひょっとしたら、結婚や出産をして、幸せの絶頂の中かもしれませんよね。
そんな時に、いきなり「過去に無申告分があります」って、税務調査が来たら困りますよね。旦那様には知られたくないこともあると思うんです。
だからこそ、自分を守るために適正に税金の申告をして納税をしていくことが重要なんです。
ちなみに余談なのですが、キャストさんには税務調査は入らないという都市伝説を信じている人って結構いるんですよ。
これ、ウソですからね。キャストさんであろうと、店舗であろうと税務調査は入ります。
私の事務所にはキャストさんに税務調査が入っているから相談にのってほしいという問合せ、結構ありますよ。
ネットのあいまいな知識とか、まわりのキャストさんの「申告しなくても大丈夫」って言う言葉はあまり信じないほうがいいと思います。
なぜなら、本当に税務調査に入った時、誰も責任は取ってくれないですからね。
店舗スタッフさんが詳細まで説明するのはなかなか難しいと思います。そんな時は私たちのような税理士を活用してもらえれば、お手伝いさせていただきます。
もちろん、「Fenixzineを読んだ!」と、問合せをいただければスペシャル対応させていただきますので。
その3「マイナンバーで身バレしないの? マジで」
新海:マイナンバーに関する問い合わせも多いんじゃないですか?
松本:そうですね。マイナンバー法が施行されてから、確定申告の時期だと問い合わせは10倍くらい増えましたね。
大きなポイントとしては、支払調書というものにマイナンバーが記載されるようになりました。
松本:新海さんはキャバクラとかよく行きますか?
新海:実はあまり行かないんですよ。話を盛り上げられなくて……
松本:そうなんですか!? 会ったことがありそうだなと思って(笑)。
新海:……(冷笑)。
松本:実はキャバクラで働く場合、確定申告の際にこの支払調書が必要になります。
しかし、デリヘルなどの風俗店の場合、この支払調書の提出義務がないので、確定申告時に自分のマイナンバーとひも付くことがないんです(2017年5月現在)。
ですので、マイナンバーから昼職の会社に身バレする可能性というのは低いですね。
通常通り年末調整をすれば、昼職の税金関係に関する手続きは完了します。
働いている会社にバレないようポイントに注意しながら、風俗で働いている分を確定申告し、正しく申告すればいいんです。これで税金関係で心配することはなくなりますよ。
さらに頼られ、モテる店舗スタッフになるために……
松本:税金って難しくてわかりづらいと思うんですよね。特に風俗で働くキャストさんは不安に感じている部分が大きいと思います。
そんなとき、さっとアドバイスしてくれる店舗スタッフさんがいたら、すごく頼りになるしモテると思うんですよね!
新海:まさにそのとおりですよね!
松本:今回説明したのは本当に一部分だけです。意欲の高いスタッフさんは、この『風俗業限定 最強の「節税」』をぜひ読んでみてください。さらに理解が深まり、キャストさんから頼られる存在になるはずですよ!
新海:宣伝……、ですね。
驚くほど気さくにインタビューに応じていただいた松本先生。税理士というと堅いイメージですが、ステキな笑顔と軽快なトークで、どんなことでも相談できる先生!という印象を受けました。
キャストさんだけではなく、男性店舗スタッフさんからのご相談も受付中とのこと。税金関係でお困りの方、これから独立して店舗を開業しようとしている方。ぜひ相談してみてください。
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松本 崇宏
1978年生まれ、東京都出身。 2006年、松本税理士事務所を設立。2007年に出版した『デリヘルはなぜ儲かるのか』(小学館)が話題となり、風俗業界に特化した税理士という地位を確立。座右の銘は「有言実行」。平成29年5月末日、新刊『風俗業限定 最強の「節税」』(幻冬舎)が発売予定。
公式サイト:税理士法人松本
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