「全ては面接から! いかに“逃げないマインド” を作れるか」~夢見る乙女グループ人材開発担当・山口圭太さん#1~
2018年05月31日
――“真に良質なサービス”の追求を打ち出し、一都三県に30店舗以上を展開する大手デリヘルグループがある―『夢見る乙女グループ』。
夢見る乙女グループは、業界でいち早く「社会保険完備」・「完全週休二日制」を導入するなど、優秀なスタッフ獲得に力を入れてきたことで知られる。
そのスタッフの採用・育成を一手に担うのが、今回の主人公・山口圭太さん(38)だ。
山口さんは、年間1,000件以上の面接をこなし、更なるグループの成長をリードする“店長になれる人材”の発掘に注力している。
また入社後の研修やフォローアップの制度を導入し、2018年には前年比40%以上の離職率の抑制も実現した。
山口さんがプロデュースする人材開発とはどのようなものなのか。また山口さんが人材開発に取り組む想いとは――。
連載第一回の今回は、面接と入社時研修の取り組みからお話を伺う。
私が敢えて他グループの面接を勧める理由
面接のポイントですね! まず採用面接には時間をかけます。
採用の可能性のある方だと、1時間から1時間半はかけているんですよ。ひとによっては「VOICE」に出演している瀬木さんみたいに、続きはLINEで話しましょうみたいなこともあるんですけど(笑)
採用で見ているのは、やっぱり素直なところですね。これに尽きるような気はします。ゼロからのスタートなわけじゃないですか。あとはやっぱり覚悟が決まってると。本当に風俗でやっていくかどうかっていうところですよね。
そこから私、採用を決めた方には敢えて、他のグループさんの面接にも行ってみてくださいって話をするんです。
どういうことかというと、うちのグループの環境っていうのは、実はこの業界の中ではナンバーワンクラスなんだっていうことを実感してもらうことが目的です。
うちは福利厚生だと、週休二日制であったり、社会保険であったりがきちんとしていますし、一緒に働くスタッフも、本当に私が一緒に働きたいと思って採用をした方たちなので、非常識な人はまずいません(笑)
他店舗から面接に来た経験者の方たちの話を聞くと、業界としてはまだまだ”ブラックな環境”が一般的だったりするんですよね。毎日15、6時間労働で、週1の休みがあるかないかとか、パワハラ、暴力、いじめが当たり前にあったりとか。
そんな風俗業界の中において、うちのグループは、圧倒的に恵まれた環境であるってことを自分自身が納得した上で入社すれば、壁にぶち当たったときにでも踏ん張れると思うんですよね。
ちょっと厳しいかもしれないですが、もし、うちのグループに入社して志半ばで辞めてしまうことがあるならば、「もう風俗業界で働くこと自体、諦めた方がいいですよ」、とお伝えしています。
だって、また別のグループに転職すればいいやっていうふうに逃げちゃうと、その方が置かれる状況はますます悪くなる一方だと、私は本気で思っているので(笑)
だから入社の前段階から、「もうこれ以上はない環境で自分は頑張るんだ!」って、「自分にはここしかないんだ!」って、覚悟を決めてきてほしいって思っているんです。
「ジンセイの折れ線グラフ」で関わりをつくる
入社時研修なんですけど、1日目はグループや業界のことだったり、実際のお仕事の概要だったり、実務的な研修をやります。ここは店長経験者の方にお願いしています。
私が担当するのは2日目なんですけど、最初に「ジンセイの折れ線グラフ」っていうものを書いてもらっているんです。いままでを振り返ってもらうっていうので、生まれたときから、30歳のひとであれば、30歳まで。
そのとき、例えば、恋人と初めて付き合ったとか、両親が離婚したとか、良い会社に就職できたとか、いろんな転機が、いろんな節目があると思うんですよね。その節目ごとに、そのときの自分の充実度っていうのを、ゼロから100%の間でグラフにしていってもらうんです。
これ、本当にいろんな方がいて、生まれたときが100%でずっと右肩下がりですって人もいれば、40%から60%ぐらいの中途半端なところで上がったり下がったりという人もいれば、私みたいにジェットコースターみたいな感じのパターンの人もいます(笑)
でも、これは傾向としてあるんですけど、やっぱり右肩上がりで風俗業界に来ている人っていうのはほぼいないんですよ。私も含めて、風俗に来るっていうのには、何かしらの理由があって、右肩下がりの流れのなかで来る人が多い。
だからここで一度、ここからV字回復をしていくんだ! って気持ちを持ってほしいっていうのがあるんですよ。
それから実はこれが、「ジンセイの折れ線グラフ」をやるイチバンの理由なんですけど、採用・研修を担当した私との関わりをつくっておいて欲しいっていうのがあるんです。
コレ、私も一緒に書くんですよ!
要は、お互いのことを深いレベルで知るっていうことなんですよね。当たり前ですけど、こちらも自己開示しないと、「なんで自分だけ掘り返されて」ってなっちゃうじゃないですか(笑)
でも、私も洗いざらいこれまでのジンセイをさらけ出してお話しすることで、短い時間ではあるんですけども、“人としての関わり”ができるんです。
そうすると、例えば「VOICE」の瀬木さんみたいに、なにか壁にぶつかったってときに、私に相談してもらいやすくなりますし、逃げずに、一緒に前に進んでいってもらえるんじゃないかっていうふうに思っているんですよ!
一緒につくるV字回復計画とそのココロとは
研修の後半ですけど、これからの夢とか、目標の話をするんです。ジンセイこれからV字回復して、どこを目指すのかっていう話ですね!
やっぱり、何を目標にして頑張るのか分からない状態でスタートをするっていうのは、ゴールのないマラソンを走るみたいな感じで大変なので。
ここで一つポイントがあるんですけど、夢とか目標っていうのを、具体的に落とし込んでいくんですよ。
例えば、5年後に年収1,000万円を超えるっていう目標のためには、1年後にはこの役職でこの年収にする、3年後にはこの役職でこの年収にするっていうのを、一緒に決めていくんです。
そうすると、さらにそれを達成するためには、どんな実績をいつまでに上げなきゃいけないとか、こういうスキルをいつまでに身に付けないといけないとか、明確に見えてくるんですね。
私としては、明日から現場に入るっていうときに、こういうことをやっていけばこういうことに繋がるよっていう道筋を示したいというのがあるんですよ。毎日ただ漠然と仕事をするんじゃなくて、自分は今、ここに向かって、ここのステップを頑張っているんだっていう。
これだけ入社時研修をやる理由ですけど、やっぱり現場に行ってからこれをやるっていうのは無理なんですよ。忙しいですし、業務を覚えていかないといけないので、落ち着いて考えられないですし。
それに、多くの人にとって転職って、ジンセイの転機じゃないですか。
やっぱりその転機の部分で、もう一度自分自身が歩んできた道っていうのを振り返って、今、自分は何のために働こうとしているのか整理してもらうっていうのが、これから壁にぶち当たったとき、逃げないで踏ん張れるところに繋がっていくと思うんですよ。
――壁にぶち当たったとき、いかに逃げずに踏ん張れるか。そしてその人のジンセイを、より良いものにしていけるか――。
面接から入社時研修までの取り組みは全て、この一点に向けて考え抜かれている。
しかしなぜ山口さんは、このテーマに向き合い、ここまで人のジンセイに取り組むのか。そこには、あまたの人生ドラマを経てたどり着いた、ある想いとひとつの気付きがあった。
続く連載第二回では、山口さんの前半生について伺いつつ、人に取り組むある想いについて明らかにしていく。
■連載第二回の記事を読む>>
「無為に過ごしたという後悔が、私を人への取り組みに向かわせた」~夢見る乙女グループ人材開発担当・山口圭太さん#2~
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山口圭太
1979年、東京都出身。大学卒業後、キャバクラ店マネージャー、証券会社マーケティング職などの経験を経て、教育系事業で起業。その後、ジンセイの紆余曲折を経て、2015年に夢見る乙女グループ入社。現在は一児のパパとして、わが子の成長と、人を通したグループの成長をライフワークとする。最近ハマっていることはダイエット。座右の銘は「主体変容」。
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