月の総労働時間時間さえ守れば出勤自由? 女性スタッフであれば自由出勤もOK? 関西『GROWUPグループ』が導入した新しい働き方

2019年10月04日

by徳山 央樹徳山 央樹編集者

Fenixzine編集長・新海が取材で訪れた、関西の大手風俗グループ『GROWUPグループ』。お話を伺うと、とても革新的な働き方を推進していることが判明致しました!

「月の総労働時間さえ守れば自由出勤でOK」

「女性であれば、当日なんとなく来てキャストさんと話すだけでもOK」

「女性スタッフだけのお店のオープンも検討中」

女性スタッフも増えつつある風俗業界ですが、その勢いをさらに加速させるような『GROWUPグループ』の取り組みを今回は紹介したいと思います!

登場人物紹介

フユミ

29歳。GROWUPグループの元キャストで、スタッフ歴は1年8ヶ月。

アキコ

28歳。同じくGROWUPグループの元キャスト。スタッフ歴は約半年。元アパレル店員。

店長

GROWUPグループの谷九店で働く店長。

営業アシスタントの役職は主にキャストと話すだけ

――フユミさんとアキコさんは、もともとこちらのキャストさんということですが、どの様な経緯でスタッフになられたのでしょうか?

アキコ:どっちも店長からの推薦だった思います。店長、なんで私達を誘ったんですか(笑)?
店長:君らを誘った理由? キャストさんの気持ちは経験者じゃないと分からないって思っていたので、優しい元キャストさんをスタッフに入れたかったんですよ。あとは……、2人ともキャストとしてすごい問題児やったから(笑)。
アキコ:問題児は言い過ぎですよ! ちょっと忘れぽかっただけです(笑)。
フユミ:ホテルに荷物を忘れて取りに行ったら、また更にスマホを忘れて来たりね(笑)。

――そんな理由が(笑)。お二人は職種でいうと何になるんですかね?

店長営業アシスタントというポジションです。キャストさんのお給料を準備したり、開店準備から閉店準備だったりと、電話対応以外はほぼ任せています。なかでも重要視しているのはとにかくキャストさんと話してもらうっていうお仕事ですね。
フユミ:電話対応をするオペレーター時代も含めると、スタッフ歴は1年と8ヶ月くらいです。だから、私は電話対応からレジ締めまでスタッフ業務は全部できるんですよ。
店長:フユミさんに任せて、僕の方が先に帰るってこともあるよね(笑)。
アキコ:私はまだスタッフを始めて半年も経っていないので、基本待機室でキャストさんと話してるだけですね(笑)。

▲キャストさんと話すアキコさん

――アキコさんは話すだけ!?

店長:いやいや、これから営業アシスタントの実務も覚えてもらいますよ(笑)。でも、このポジションは待機室で話すだけでもいいと思ってるんですよ。

――そんなポジションが成り立つんですか? 女性の出勤率を上げるため?

店長:いや、そこは彼女たちに求めていないんです。実験的に導入しているシステムではあるんですけど、結局このお仕事って「待機室の雰囲気が全てだな」って思うんですよ。

だから、明るい女性をスタッフとして雇って、キャストさんと話していただく。キャストの悩み相談なんかも営業アシスタントさんには積極的に聞くようにしてもらっています。

いってみれば待機所内のカウンセラーですね。その存在自体がキャストさんのモチベーション向上に繋がると思うんですよ。

アキコ:キャスト時代にお客様がつかなかった経験があるんで分かるんですけど、男性スタッフから「どんな子でも待機になる時はあるからね」みたいに慰められても、上から言われているみたいでムカッとするんですよ(笑)。
店長:そういう時に声を掛けてくれる人が信頼できる女性だったり、キャスト経験のある子だと、注意ではなく共感だと捉えてもらえる。男性スタッフだけの時代と比べたら、だいぶトラブルは減ったと思います。アシスタントさんを採用してからほんま楽になりました。

――お二人はキャストさんから信頼されてるんですね。

フユミ:といっても、話してるのは近所の美味しい店の話とか、“こんな男はやめておけ”みたいな、雑談が主ですけどね(笑)。
店長:それやからええと思うんやけどね。ビジネス的な話は幹部スタッフ、メンタル的な話や雑談はアシスタントさんって分けていけばいいんじゃないかな?

とはいえ、アシスタントが楽なワケではない

▲店長と話すフユミさん

――アシスタントさんはビジネス的な話をあまりしないと……。珍しいポジションですね。

フユミ:そうですね。ほんまに“共感役”みたいな。ただキャストさんと距離が近い分、お店に対しての文句や愚痴は全部私達に来るんです。
アキコ:うん、特にウチのマネージャーさんはうっかりミスが多いから。その被害がこっちにきますね(笑)。
店長:それはね……、申し訳ないと思ってる。でも、逆に言うとこの二人がおるから細かい文句も言いやすいってことなんです。僕らは二人からそういった不満を聞いて「あ、あの時の対応は間違っていたんだ」って気付ける。本人に文句はいいづらいじゃないですか、すごく勉強になりますね。
アキコ:確かに、ウチってキャストさんの定着率が高いんですよ。ストレスが溜まりにくい環境なんだと思います。キャストさんとスタッフさんとの板挟みでつらい時もありますけどね(笑)。
店長:正直な話、アシスタントさんが出勤する・しないで、待機所の空気が違いますからね。「今日、アシスタントさん誰もいないの? そっか……」って感じで、残念がられますもん(笑)。男性スタッフも努力せんとあかんなとは思いますけど、女性のスタッフは必要やねんなって思います。

――ほう! その営業アシスタントに向いている方というのは、どういう方なんでしょうか?

店長:女性っていうのは絶対で、キャスト経験者であれば尚良いって感じかな。キャスト時代の人気っていうのは特に関係ないかねと思います。アキコさんはどう思う?
アキコ:うーん、キャスト時代にスタッフさんに助けられたかどうかじゃないですか? 私は現役時代、とにかくスタッフさんが気軽に話しかけてくれたので、すごく頑張れたんですよ。スタッフさんに助けられたからこそ、後輩にもそんな環境で働いて欲しいなって思います!

新しい働き方を取り入れているGROWUPグループ

――勤務形態もちょっと変わっているとお伺いしましたが……、。

店長:そうですね、営業アシスタントは役職ごとに設けられた月の総労働時間さえ守っていれば、あとは自由に出勤・退勤時間を決めていいんです。
フユミ:一応シフト提出は月1となってるんですけど、私は随時変更しちゃってます(笑)。短い時は3時間だけ働いて、「今日は帰りまーす」って言って遊びに行くことも可能なんですよ!

――ええ! そんな働き方が出来るんですか?

店長:店舗にもよりますが、グループ全体的にこんな傾向ですね。僕のところでは急遽の変更もOKにしています。お店の混雑具合とかを計算して、「この日は○人いればお店が回せる」っていうのを把握してるから出来ることなんですけどね。

働き方はすごく自由だと思います。なんなら待機所に来たい時に来て、何時間かキャストさんと話す女性アルバイトがいてもいいって思うんですよ。

――すごいシステムですね! 求人に掲載しているんですか?

店長:いや、あんまりないタイプの働き方なんで載せてないんです(笑)。載せたとしても絶対「なにコレ?」ってなるじゃないですか? でも、僕らはそれくらい待機所の雰囲気って大事と考えています!

――融通の利く勤務形態だったり、女性歓迎のアシスタント職だったり、現キャストさんのセカンドキャリアとしても『GROWUPグループ』は働きやすそうですね。

アキコ:そうなんですよ。現在、妊娠中の方もスタッフにおります。女性がすごく働きやすい職場だと思います。
店長グループ全体でこういう働き方を取り入れたいと思っているんですけど、まあまだ、実験段階ではあるので……。でも、今後はドライバーも含めて女性だけの店も検討しているんですよ!

――全員女性!? グループがそこまで女性スタッフを推しているのはなぜなんでしょう?

店長:やっぱり、女性の気持ちを察する力ですね。男性にはないものだと思います。女性によって成り立っているビジネスだからこそ、スタッフも女性でいいんじゃないかと思っているんですよ。なので、他の企業と比べても女性スタッフ採用に関してはすごく力を入れています。

最初は話すだけのアルバイトでも全然いいので、興味を持った方はぜひ来てほしいと思いますね!

――いや、とてもユニークな試みだと思います! 貴重なお時間をありがとうございました!

▲取材後、アシスタントのお二人をパシャリ

取材後記

「待機所で話すだけでも全然OK!」

最初に聞いた時は「そんな仕事があるわけない!」と思ったのですが(笑)、実際に話を伺うと、風俗店の生命線である“在籍数”を伸ばす重要なポジションだということが分かりました。

まだまだ実験的な取り組みのようですが、確実に定着率は上がっているとのこと。

また、シフト制で自由出勤というのは、シングルマザーや学生でも働きやすく、人材を確保しやすいというのも大きなメリットのように感じます。

キャストさんのセカンドキャリアを含め、女性の雇用を促進するこのような“働き方”があるということを、業界の方に知っていただければ幸いです。

今後の『GROWUPグループ』の取り組みにも注目したいと思います!

執筆者プロフィール

徳山 央樹

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FENIX ZINEではライターと編集を担当。インターネット好きが高じて、WEBメディアへの転職を決意。平日も休日もインターネットをしています。

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