ECS(風俗等健全化育成機構)勉強会に行ってみた

2016年12月01日

by新海 亨新海 亨編集長

皆さん、ECS(Environment Compliance Support)なる団体をご存知でしょうか? プロの肖像で登場いただいた「風俗プレナー」大崎柳也さんが代表理事を務め、風俗業界健全化を目的とし、警察関係者などで構成された一般社団法人です。

2016年11月17日(木)東京都麹町で、このECSの勉強会が開催され、Fenixzine編集員の新海が取材してきました。

それでは、ECSの理念のご紹介を含めて、当日の様子を皆さんにお届けします!

「社会に向けたイメージが重要」俳優 堀田眞三さんのお話

堀田眞三

最初にご紹介するのは、東映ニューフェイスとしてデビューし、数々の映画やドラマで活躍する堀田眞三さん。最近では日清の「カップヌードル」やサントリーの「オランジーナ」など、有名企業からCMの出演依頼がひっきりなしにあるそうです。

しかし、若い方のなかには堀田さんをご存知ない方がいるかもしれません。

そんな堀田さんにCMの出演依頼が立て続けにあるのはなぜでしょうか? 堀田さんは、その理由を次のように語ってくれました。

堀田眞三さん(以下:堀田):制作のプロデューサーの方に言われたのですが、「堀田さんはいろいろなところの一日警察署長をやられているからですよ」と。それで、はっとしたんです。

堀田:CMというのは企業が莫大な予算をかけて制作、放送をしています。出演タレントに不祥事が起きた場合、放送ができなくなり、契約によっては多額の賠償金を請求されることもあります。

堀田:ですので、非常にイメージが大事。私は、一日警察署長をやらせてもらったおかげで制作側の人たちから信頼を得られ、その結果CMの仕事につながったのだと思います

堀田さんは、“警察との関係性=社会的信頼”というイメージによって企業から評価され、仕事が舞い込むようになったようです。

同様に、堀田さんは、風俗店がECSの取り組みに参加することで、メリットがあるのではないかと言います。

堀田:風俗店が、ECSのような警察関係者によって構成される社団法人と関係性を築くことは社会的信頼の向上につながると思います。

堀田:芸能界は、皆さんの業界と少し違いますが、水商売と言われます。非常に浮き沈みが激しい。強い者が勝つのではなく、残った者が強い世界です

堀田:そのような世界ではやはり、人とのつながり、世間からの信頼というのが非常に大切です。

特殊な業界だからこそ、人とつながり、社会とつながり、信頼を得ていく必要がある。風俗業界とは異なる芸能界で活躍する堀田さんではありますが、柔和に話すなかに時折見せる鋭い眼光から深いメッセージを頂きました!

「業界のイメージを変えてほしい」警視庁OB 森井隆則さん

森井隆則

続いては、警視庁出身で愛知県豊橋警察署長を勤め、現在は退職しECSの活動に参加している森井隆則さんの講話をご紹介します。

性風俗店では未成年(18歳未満)の雇用は絶対にしてはいけない

森井隆則さん(以下:森井):私が、愛知県警に所属していた時の事例ですが、ある風俗店が17歳10か月の少女を雇用したとして摘発されました。実は、暴力団がこの少女を送り込んでいて、店舗は、「未成年雇用がバラされたくなかったら6000万円払え」と脅迫されたそうです。

森井:その風俗店のスタッフが暴力団からの要求を断ったところ、後日警察に未成年雇用の情報が流され、逮捕に至ったというケースです。

森井:その風俗店は少女の入店の際、もちろん年齢確認を行っていた。しかし、その少女は、年の近い姉の住民票と卒業アルバムを使って年齢を偽っていたそうです。

風俗店としては未成年者を雇用したという認識はなく、だまされたと言えなくもないです。しかし、結果として“※未必の故意”と判断され、逮捕に至ったそうです。

未必の故意……行為者が、罪となる事実の発生を積極的に意図したり、希望したりしたわけではないまま、その行為からその事実が起こるかも知れないと思いながら、そうなっても仕方がないと、あえてその危険をおかして行為する心理状態。

森井:風俗店というのは地域の風紀や青少年に与える影響から、社会的に非常に厳しい目で見られています。ですから、知らなかったでは済まされません。皆さんも十分に注意してください。

風俗店未成年雇用の相関図

風俗店側としては納得がいかない部分がかなり多いと思いますが、実際に愛知県で起こった事例です。女性が年齢を偽っていたとしても、風俗店は、それをもっと厳格に確認する義務があると判断されたということでしょう。

皆さんのお店で同様のトラブルに巻き込まれないよう、18歳以下と思われる女性に対し、細心の注意と何重にも重ねた確認が必要です。

業界のイメージを変えてほしい

風俗店未成年雇用の相関図

森井:警察と風俗店と言えば、もともと対立的な立場です。けれどもECSの活動を通じて社会貢献という形で一緒に活動をすることができれば、同じ道を歩むことは可能だと思っています。

森井:全国のソープランド店が加盟する『全日本特殊浴場協会連合会』は、警察や行政に意見書や陳情書を受け取ってもらえるそうです。地道にリレーションを築き、信頼を積み重ねた結果、すべてとは言いませんが、自分たちの意見を言えるようになっています。

森井:しかし、一般の風俗店では陳情書なんて、とても受け取ってもらえないのが現状だと思います。門前払いされるのが関の山ではないでしょうか。

森井:ですので、私は皆さんと一緒に、一般の風俗店の意見が行政や警察に受け取ってもらえるような団体にしたいと思っております。そのためには法律にのっとって健全な営業を続けて、世間が抱く業界のイメージを変えることが必要なのです。

森井さんは、風俗店のスタッフが夜の繁華街で安全パトロールやゴミ拾いなど、地域社会に貢献する活動が必要であると話していました。

無店舗型のデリヘル店は、風営法の規制でチラシや看板を出すことができません。そのため、一般の人々からすると、お店の所在すらわからないのが現状です。

デリヘル店が、どんなに法にのっとった健全な経営を行っていても、地域で暮らす住民にとっては“見えないものに対する不安”を少なからず感じるのではないでしょうか。

以上のことから、風俗業界が“健全な経営+社会貢献”を行っていくことで、社会的イメージの向上につながり、業界全体の発展に寄与すると思います!

ECSに参加するメリット

風俗店未成年雇用の相関図

いかがでしたでしょうか。このほかにも麹町警察署の職員の方から、年末に向けた防犯対策のお話があったり、代表の大崎さんからECSの事業説明があったり、と盛りだくさんな内容の勉強会でした。

当日は、熱心に講演者の話に耳を傾けている風俗店経営者やスタッフの方々の姿が印象的でした。また、勉強会終了後にはECSのオフィスで懇親会が開かれ、情報交換や交流を深めていました。

警察関係の現役、OBの方々が風俗店の関係者に講演を行うというのは、まれなことだと思います。よって、ECSの勉強会というのは、風俗業界にとってとても貴重で有意義なイベントであると言えるでしょう。

そしてなにより、俳優の堀田さんと元警視庁OBの森井さんが話していたように、風俗業界が警察関係者を通じて社会とつながりをもてるということが、ECSの活動に参加する一番のメリットだと強く思いました。

お客様にとって、自分の利用する風俗店が警察関係者で構成された一般社団法人の会員であるということは、絶大な安心感につながるでしょう。また、悪質な顧客トラブル(本番強要や盗撮)の抑制に役立つのではないでしょうか。

ご興味のある風俗業界関係者の方は、ぜひ参加してみてください!

ECS_風俗健全化育成機構

一般社団法人ECS(風俗健全化育成機構)

平成26年12月に設立された風俗業界の健全化を目的とした団体。悪質店や違法店の根絶と、業界イメージの向上のため各法令の勉強会や事業者同士の交流会などを行っている。また、行政機関と連携し、業界自らが正していけるような基盤作りを目指している 一般社団法人ECS:公式HP

執筆者プロフィール

新海 亨

新海 亨編集長記事一覧

元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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