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18歳で上京し、歌舞伎町への憧れのままホストに。ところが

出身は山口県です。18歳で上京。デザイン系の専門学校に入ったんですが、本心はただ東京に行きたかったというだけで（笑）。

実際学校には早々に通わなくなりました。歌舞伎町への憧れのまま、ホストクラブで働くようになったんです。

ホストはまあまあ楽しかったですよ。指名ランキングもそこそこ上の方でしたし、転職する気も全然なくて。ただやがて、自分の方でちょっとトラブルを抱えちゃったんですね。

結局2年半で辞めるしかなくなって、その後はニートです。スロットを打ったりしていました。

なぜそんな暮らし？（笑）  なぜだったかな。もう20年近く前のことだし……。急に職場を失って、やる気がなくなっちゃったのかもしれません。

「そろそろ何か」  23歳。タイミング良くホテヘル開業の話が

でもそれも2年が限界ですよね。さすがに飽きたし、年齢だって23歳。「そろそろ何かしなくちゃ」と思っていたところ、タイミング良く知人からホテヘル開業の話を頂きました。

早いもので、それからもう17年になります。最初から関わってというか、『萌えちゃんねる』は僕が立ち上げたんです（笑）。

ひと月半でお店丸投げ。「まあダメになったらなったで」

もともと店を持たせてもらえるというお話ではあったんです。だけど早かったですよね（笑）。経緯はこうでした。

最初にオーナーの経営する他店で3日ほど研修を受けた時に、オペレーション含め「何とかやりながらでも覚えられるな」と感じたんです。

確かにやることは多かったんですが、僕わりと器用なんですよ。ホストの経験があったので、女の子とのコミュニケーションにも、さほど苦労しませんでした。

ただそれだけに、「このままだとこき使われて終わるな」と（笑）。業務習得が早いからこそ、自分の店どころか、ずっと便利な兵隊として扱われる気がしました。で、「これは新店の企画書でもつくるしかない」と思ったんです。

何度も書き直し、20日ぐらいかかったのかな？　今振り返ればアラだらけの企画書でしたけど、上に直談判したら幸い採用されて、それに沿った運営を始めて……。

ところが世の中そううまくはいきませんね。ひと月半もしたら、お店ごと自分に丸投げされちゃいました。他の事業も抱えていたからか、元のオーナーが手を引いてしまったんです。

未経験でいきなり店長になって、すぐにオーナーも兼ねてですから、さすがの僕も多少の不安は感じました。でも一方で、こうも考えたんです。

「まあダメになったらなったで」

言ってもまだ20代前半。幾らでもやり直しはきくなと。借金負っちゃったら負っちゃったで、また歌舞伎町でホストでもやって、少しずつでも返せばいいやって（笑）。

コンセプトの“徹底”。だからこその熱い支持、17年の事業継続

事実なんとかなるもので、それからひと月もすると、お店は損益分岐点を超えました。やがて現在までの間に、グループ展開できるまでになって……。

何が良かったかというのは、広告をたくさん打ったとか、もうがむしゃらにやったとか、そういうことではないんです。そんなお店いっぱいあるし、いっぱい潰れてます（笑）。

成功の要因は、結局初めの企画書なんですね。僕自身のヲタク気質と趣味を余すところなく盛り込んだ“アニメ・ゲーム系のコスプレがウリのイメクラ”というコンセプトが、口コミとなり、支持を集めたのが『萌えちゃんねる』だったんです。

また一時の人気ではなく、事業の継続性まで獲得できたのは、妥協なくこのコンセプトを貫いてきたからなんですね。一例を挙げれば、ウチの女の子達は“お仕事だから”、コスプレをしているんじゃないんです。

もともとアニメ好き、漫画好き、ゲーム好き、同人誌好き、エロゲ好き、コスプレ好きという子が集まっている。だからお客様は“心から”女の子との空間を楽しめるし、彼女達の側でも、妄想や願望を実現できるわけです。

ニッチな分野だからこそ、オンリーワンの人気を不動にできた。それがこれだけ長くやれた理由だと感じています。かわいい子だけのお店、キレイな子だけのお店は、今や東京に五万とある。しかし“徹底して”ヲタク趣味を楽しめるヘルスは、ここしかないんです。

あなたはヲタク？　もしガチでそうなら、月給100万円だって

このためスタッフ求人に当たっても、ヲタクか、ヲタク趣味に理解のある方か、入ってからでも学んで楽しめそうという方が理想ですね。

たぶんそうじゃないと覚えられないし、何よりつまらないと思うんですよ。お客様のご要望を引き出すのもそうですし、衣装だけでも3,000着を越えています（笑）。これを聞いて「おお！」とワクワクしてくれるような方だとありがたいなと。

この入り口さえクリアできている方なら、仕事はすごくしやすいはずなんですね。さっきも触れたように、女の子は望んでウチに来てくれていますし、共通の話題を持つ者同士だから仲も良いんです。

女の子間のいさかいとか一切なくて、こちらがびっくりするぐらい。お金はヲタク趣味に注ぎ込む子が多いので（笑）、ホストクラブにハマっちゃっている子もいませんし。

もちろんこのやりやすさがある上で、成果を出せばリターンが大きい点は他と変わりません。お店をきちんと管理できるようになれば、月給100万円だって充分可能ですよ。女の子が出勤してくれているんだから、お客様は得られる。今後はインバウンドの需要も増していくでしょう。

他にも成長の伸びしろはたくさんあります。例えば店は今23:00には閉めちゃってるんですね。これが朝までになるだけで、女の子にもお店にも更に利益を増やせるかなと。今インバウンドと言いましたが、地方に出店していくのもおもしろいですよね。

ぜひ店長候補に来てほしい。その気さえあれば、自分がしっかり教えますから。

……実は僕、『萌えちゃんねる』以外にもやりたい事業があって、任せてしまいたいのも本音です。その意味で早く出世したい方には、17年で一番の入社時かもしれませんよ（笑）。

（インタビュー：松坂治良）

取材後記

執筆者

藤野 りさ

松坂とのお話を伺って、「好きって強いな」と率直に思いました。光代表からして根っからのヲタク。スタッフも女の子もお客様もそうとなれば、お店が盛り上がり、そして続いていくのも頷けますよね。人を選ぶお店かもしれませんが、選ばれた方はきっと幸福感を得られる。そんな風に感じたインタビューでした。