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遊びたい盛りで高校を中退。やがて露天商。家業を継いだが……

社会に出たのは17歳の時です。わりに早いんですよね。

家庭の事情？（笑）  いえいえ。勉強が嫌いで友達と遊んでばかり。高校を中退しちゃったんです。

いつまでもぶらぶらしているわけにもいかないので、それからは飲み屋さんでバイトをしたり、派遣で工場や建設現場で働いたりと、色んな職場を渡り歩きました。父が地元佐賀で露天商をしていたので、最後はそれを継いだ感じですね。

ただ10代はそんな感じで過ごせたんですが、やがて22歳の時に、子供ができちゃったんですね。さすがに「しっかりしないと」と、覚悟のようなものが芽生えて……。

で、「家族で佐賀を出よう。福岡でゼロから始めよう」と。露天商を続ける道もあったんですが、このまま地元にいる限り、自分は変われないと思ったんです。

仲の良い幼友達に誘われれば、僕はきっとまた遊んでしまう（笑）。真剣に生活と仕事に向き合うために、環境から変える必要がありました。

福岡店立ち上げに参加。共にゼロから歩み、やがて責任者に抜擢

それでなぜこの業界に、というのは、わかりやすく“高収入”というところですよね。自分1人ではない。家族も養わなければという時に、まず選択肢として浮かびました。

またその流れで求人を探し、ウチの広告を見ると、社会保険は完備されているし、休みも普通にあって、福利厚生もちゃんとしていたんですね。当時から家族手当まであって、「これは一般企業と変らないな」と。腰を据えるには最適だと思えました。

何より『ハピネス福岡』はちょうど立ち上げという時だったんです。言わばお店も僕も、初めての土地、新たなチャレンジ……。少しおこがましい言い方ですが、共に成長していけたらと考えました。

早いですね。僕が今年で32歳ですから、お店も僕も丸10年。おかげさまで現在は、福岡店の責任者を任せていただいています。

サービスの質が一定。レベルも高いからこそ、未経験でもやれる

とは言え最初はキツかったですねえ（笑）。一番は言葉です。敬語以前に佐賀のなまりが強く、なかなかそれが消えなかったんです。

それにパソコンは触ったことがなかったので、初めはWebサイトの更新どころか、文字入力にも苦労しました。人差し指1本でキーボードを叩いていた感じですね。ローマ字入力もわからないし……。

幸いだったのは、まさに入社したのが『ハピネス』だったことです。どこよりも丁寧な接客で、業務のシステム化も進められている組織だったからこそ、“基本から段階を踏んで”仕事を学ぶことができました。

これがもし人によってサービスの質が異なっていたり、「時間がないからPC入力ぐらい自分で覚えてね」みたいな雰囲気だったら、自分はとっくに潰れていた気がします。

「お客様ファーストで、質の高いおもてなしを」  この社風があるからこそ、先輩達から繰り返しアドバイスを受けました。接客に失礼がないようにと、1人立ちするまでは常に誰かが横に付いてくれたんです。

「何回同じ質問するの？」なんて言われない。大事なのはやる気

パソコンも同様でした。「何回同じ質問するの？」なんて、1度も言われた記憶がありません。ありがたいしかないですよ。

おかげで約1年で一通りの業務はこなせるようになって。2年目には「やれそうだ」と自信も持てました。

逆に言うと、学歴もないどころか方言の矯正からサービス業をスタートした自分でも（笑）、責任者にまでなれるんです。“経験よりやる気”。他の方にできない理由はありません。

収入にも評価にも大満足。でもそれ以上に“仲間”の存在が嬉しい

お客様や同僚はもちろん、ご提供しているのもモノではなく“キャストさんのサービス”。“どこを向いても人”というのが、この事業の大きな特徴だと思います。その分“やりがい”もすごくあるんです。

思うように稼げなかったり、なかなかモチベーションの上がらないキャストさんをサポートして、“ご指名”という結果が出れば、やっぱり自分のことのように嬉しい。「宮下さんがいてくれたから」なんてお礼を言われると、泣いちゃいそうになりますよ（笑）。

立場が上がってくると、スタッフのことも気になるようになります。

「頑張ってるな。主任になったか」
「副店長に?!　良かった。お子さん生まれたばっかりだもんな」

先ほど触れたように、初めは自分の収入面が魅力で業界入りしました。実際ウチは半年に1度業績賞与が出るし、昇給昇格の査定も年に最大で3回もある。“成果を出したら出しただけ”という企業風土なので、充分に満足しています。

でももしその満足“だけ”だったら、10年も在職できたかどうか……。今言ったキャストさんの「ありがとう」の一言であったり、教える後輩の昇格が嬉しかったり、そんな風に“仲間”を意識して働けるからこそ、自分は頑張ってこれたんだと思うんです。

月の売上目標を達成すると、特別ボーナスが出るんですね。これもスタッフ同士の「今月もがんばろー」の掛け声や、キャストさんへの感謝の気持ちに一役買っているのかなと。せっかくチームワークが良いので、責任者としてここは、これからも大事にしていきたいですね。

（インタビュー：松坂治良）

取材後記

執筆者

藤野 りさ

収入に惹かれて入った職場で、“収入以上”を見つけたという宮下さん。わかります。ただお金が良いだけでは、仕事って続けられませんよね。
お店も宮下さんも10周年を迎えるというこの2024年が、幸多いものとなりますように。ここ東京で、私も応援しています。