どMな風俗業界1年生が学ぶ法律講座 ~デリヘルの広告宣伝について~

2016年07月06日

by新海 亨新海 亨編集長

風俗店を経営する際、集客や求人を行ううえで、生命線ともいえる広告宣伝。

一般的なビジネスであれば、プロモーションと呼ばれるマーケティング戦略で成果を上げることができますが、風俗の場合はさまざまな法律や条例によって、その多くが規制の対象となっています。

そのため、正しく広告宣伝を行わないと摘発や営業停止の処分を受ける可能性があります。今回は、風俗における営業広告と求人広告についてお送りいたします。

■登場人物

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どS敏腕弁護士 ロウ子 

風俗業界の健全化と女性セックスワーカーの地位向上に熱意を捧げる敏腕弁護士。そのどSっぷりは、法曹界の重鎮たちが一目置くほど。常に尖がったハイヒールを履いていることで有名。とある理由から“チン吉”くんに風俗業界における法律知識を教えることになる

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どM風俗店舗スタッフ チン吉 

大学卒業後、一般企業に就職するも仕事がつまらなすぎるという理由で退社。『Fenixzine』から風俗業界に興味をもち、満を持して飛び込んだ生粋のどM。最近の悩みは髪型が亀頭みたいなこと。とある理由から“ロウ子”さんに法律知識を学ぶことになるが、そんなことより、本当はムチで叩いてもらいたい

デリヘル店の広告宣伝で気をつけること

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「デリヘルを始めたら、お客さんや働いてもらう女性を集めるため広告を出稿するわよね?」
lowko
「そうですね! 日本中を席巻するような大々的なプロモーションをしたいです!!」
lowko
「残念ながらそれは難しいわ。風俗店の広告宣伝には、『風営適正化法』っていう法律で、さまざまな規制があるの」

広告制限区域と広告制限地域

広告制限区域
保護対象施設(学校、病院、図書館など)の周囲200m以内の場所は、全国どこでも一律、風俗に関する広告を出すことが禁止されています

また、この保護対象施設の周囲200m以内の場所は、営業禁止区域となっていて、風俗店の営業ができません

しかし、派遣型のデリヘル店の場合は受付所をもたないため、営業禁止区域でも開業は可能です

広告制限地域
各都道府県の『風営法施行条例』によって定められているエリアで、風俗店の広告を出すことができません

現在、制限がかかっていないエリアでも風俗店を規制したいと都道府県が判断した場合は、広告制限地域を新たに制定することができます

この広告制限地域でも受付所をもたない派遣型のデリヘル店であれば、開業は可能です

lowko
「ちょっと調べたんですけど、全国の繁華街はほとんど“広告制限地域”じゃないですかーww。全然宣伝できないですよ! あんまりだー」
lowko
「風営適正化法の目的は、善良な風俗環境の保持少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止することなの。風俗の看板や広告は、規制の対象となるのよ」
lowko
「風俗店は“社会的に有害な存在”とされているため、その存在自体を世間に公にはできないの。広告宣伝についてもう少し詳しく説明していくわ」

デリヘルでやってはいけない広告宣伝方法

街に風俗店のポスターや看板、チラシなどを貼ったり配ったりすること

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送迎車に店舗ロゴなどのステッカーを貼ること

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事務所の扉に店舗名の表札を出すこと

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事務所の玄関扉に表札を出しただけでも違法行為となります。性的な表現やヌード画像がなくても、“広告宣伝をした”という事実だけで違法になってしまうのです。

ちなみに郵便受けに社名を記載することは、広告宣伝目的にならないため、違法行為には当たらないとされています。しかし、“郵便受け”という非常に細かい部分にまで言及されることを考えれば、それだけ当局はデリヘル店に対し、厳しい態度で規制を敷いていると言えます。

デリヘルでやっていい広告宣伝方法

インターネット上でホームページを作成し宣伝すること

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風俗専門誌や風俗紹介サイトに広告出稿すること

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派遣型のデリヘル店が営業のために使用できる広告宣伝手段は、上記のふたつのみです。

書店やコンビニなどで売られている新聞・雑誌に関しては、広告宣伝に該当しない、という基準があります。デリヘル店が雑誌などの記者から取材を受けて、それが記事になったとしても、それは広告宣伝には当たらないとされているためです。

また、デリヘル店の創業者などが、自身の創業物語を本にして出版することも広告宣伝には当たらない、とされています。

lowko
「どう? わかったかしら。そのほかにもテレビやラジオ、一般雑誌や新聞において風俗は、“社会的に有害な存在”とされるため、宣伝広告をほとんど掲載してくれないわ」
lowko
「厳しい世界ですね……。でもウェブ上で広告宣伝ができるなら、今の時代そんなに問題ないですよね! SNSとかずいぶん発達しているし!」
lowko
「そうね。でもウェブ上ならなんでもOKっていうことじゃないからね。広告を出稿したりSNSを活用するときは、その媒体の利用規約をしっかり読んでから使うようにね」
lowko
「かしこまりましたーー」

デリヘルの求人広告の現状

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「じゃあ、風俗の求人広告についてはどうだと思う? チン吉くん」
lowko
「求人の広告も一般の媒体には出せませんよねー。僕のお店も女の子を集めるために、いろんな風俗求人媒体にたくさん予算をかけてますよー」
lowko
「そうなの。風俗の求人広告も営業広告同様に、一般の媒体では掲載NGね。選択肢が少ないせいで出会い系サイトやSNSなんかを悪用して、求人を集める悪徳な業者が跡を絶たないの」
風俗業界の求人方法で行えること
・自社のHPで求人ページを作成する。
・専門の求人サイトや求人雑誌に求人広告を出稿する。

デリヘルの広告宣伝は制約がとても多い

lowko
「どう? わかったかしら。デリヘル店で営業や求人の広告宣伝を行う場合、いろんな法律や条例がかかわってくるから注意が必要よ」
lowko
「かしこまりました!! とりあえず自叙伝はOKということだったんで、僕の広告宣伝力を書き下ろした『亀頭のデリヘル学』を出版できるよう、クリエイティブな仕事に磨きをかけます!!」
lowko
「……」

みんなで楽しく風俗業界の法律を学びましょう。
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デリヘル検定 (一般社団法人ホワイトハンズ主宰)

「デリヘル検定」とは、デリバリーヘルス(派遣型性サービス)で働く人のための検定です。この検定を受検することで、デリヘルで安全に働くために、最低限必要になる法律や歴史の知識を身につけることができます。これからデリヘルで働こうと思っている人、現在働いている人、これからデリヘルを開業しようと思っている人は、ぜひ、この検定に挑戦してみてください。
詳しくはこちら ⇒ デリヘル検定

監修:一般社団法人ホワイトハンズ代表 坂爪真吾 / 徳田玲亜 弁護士

執筆者プロフィール

新海 亨

新海 亨編集長記事一覧

元大手ハウスメーカー営業マン。お金と引きかえに自由とやりがいを手放す生活から決別するため転職を決意。ある風俗サイトに感銘を受け、デザイナーとして仕事を始めるも、いつのまにか編集員に。最近はハマっている一眼レフカメラの仲間を求め奔走中。座右の銘は“STAY GOLD!!” 東京都出身。

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