「風俗の未来予想図」#2 AI(人工知能)が風俗業界の運営を二極化していく
2018年03月06日
前回のVR(仮想現実)の記事、お陰様でたくさんの反響を頂戴しました。ありがとうございます。今回もテクノロジー関連でAI(人工知能)の話をしたいと思います。
AIは風俗業界の運営面や、プレイ面にも大きな影響を与えます。業務の効率化から、各価格帯のお店の“在り方”まで変わっていく。今回はそんなお話です。
“仕事”は高度化し、“やるべきこと”が増えすぎている
僕はとてもやりたいことが多い人間です。いつも“やりたいこと”と“やらなければならないこと”の狭間で仕事がパンクしてしまうこともしばしば。
それでいて、できる仕事量はごく一般人なので処理能力は普通。たちが悪いですね。いつも仕事でご迷惑をお掛けしている皆様、この場を借りてごめんなさい。
ただひとつだけ言いたいことがあります。現代人は“やるべきこと”が多すぎる。ビジネスも高度化している。資料ひとつ取っても中途半端なものは認められないといった具合です。
でも、その仕事、果たして“仕事”なのでしょうか? 必ず人がやらなければいけないことなのでしょうか? 整理整頓は必要ですが、資料を綺麗に作ることは、何かを前に進めているのでしょうか?
風俗の仕事ひとつとってもそうです。昔はプレイ部屋を掃除する、綺麗に写真を撮る、キャストとコミュニケーションをとる、といったことで繁盛店が作れていたでしょう。
しかし今は、Webサイトを綺麗に作らなければいけない。接客もうまくなければいけない。写真も撮るだけではなく綺麗に加工しなければいけません(夢を壊したらごめんなさい)。
しかも、時間やかけられるマンパワーは有限。既存のお店の体制を回していくだけで、一人のスタッフの限界は軽く超えてしまいます。それでいて、風俗業界がデフレ化しているのですから、“稼げる仕事”としてはもう臨界点を迎えているのかもしれませんね。
AI(人工知能)によって消える“受付業務”
そんな現状に一石を投じるのがAIの登場になると思います。分かりやすいところでは「チャットボット」の受付への応用です。
現在使われているチャットボットとはLINEのようなショートメッセージのやり取りを基に、簡単な“よくある質問”や問い合わせに自動で答えていくサービスです。
あと数年で、このチャットボットを風俗の受付に利用していく流れが一般的になってくるでしょう。現在でも簡単な問い合わせにAIが自動で回答してくれるものが現れています。
デリヘルの営業において一番マンパワーが割かれるのはお客様の「受付」とキャストの「デリバリー」です。今回デリバリーは割愛しますが、AIは「受付」コストを劇的に下げます。そう、受付に人を配置する必要が無くなるのです。
2018年の今現在、風俗の運営形態として最も進んでいるのは「改札劇場」さんに代表される電話オペレートと運営が切り離されたスタイルです。
顧客パラメータも指標管理されて、一人のスタッフへの業務負荷を大幅に軽減しています。
これがさらに進んで受付に電話したり、対面することがなく案内が成立するのがAI受付です。よりプレイコストは下がり、それを快適と考える方もいるでしょう。もしAIを風俗広告に応用して、「今日の気分にぴったりなお店」や「あなたの好みに合致するキャスト」をレコメンドしてくれるとしたらもっと最高です。受付のボタンワンプッシュで様々なお店から、その日に最適な方が派遣されてくるわけです。
こうなってくると恐らく「店員と話すのが好きなんだ」という方や「やっぱり受付に人間味があった方が」という声もちらほら出てくるかと思います。
しかしそれは今の風俗業界の“デフレ化”の流れとは相性が良くありません。ドライな話になるかもしれませんが「安く遊びたい」というニーズに応えるためにはお店はたくさんのお客様を接客しなければいけません。その中で受付の人件費(時間)が取られてしまうと、ニーズに応えるのは難しい話なのです。
AIを使った受付コストの削減によって、割引も人によらず適正化します。結果的にお客様にもプレイを安価にすることが可能になるのです。予約時間の管理も正確になるので人間よりもミスがありません。AIチャットで受付をして自動音声案内でホテルまで誘導……なんていう未来はすぐそこにあります。
▲電話機に囲まれたオフィスの風景も近い将来に激減するかもしれない
AIによって風俗のビジネスモデルは2極化する
では、お店の人間的な運営はどこに残るでしょう。一つは「キャスト管理とトラブル対応」、もう一つは「高級店」です。
キャスト管理とトラブル対応は恐らく人間が担った方がうまくいきます。風俗業界は売春とは違います。プレイ内容でのトラブルも起こりますし、キャンペーンも必要です。コミュニケーションによって「頑張ってみよう」「続けられる」と思ってくれるキャストもたくさんいます。
だから全てに自動化・効率化を求めるわけではありません。受付はAIでも、事務所でコミュニケーションをとって円滑に回せる“マネージャー”がいた方が売上は上がるでしょう。大衆店〜中級店はこのようなオペレーションになると思います。
そしてもう一つは「高級店」。受付から案内まで全てを人が担うお店は高級店になっていくでしょう。そこでの人の役割というのは、“コンシェルジュ”です。
ただの受付ではありません。ゆっくりとお客様の好みをヒアリングし、こちらから提案型の受付を行います。また、食事、ビジネスなどの情報にも強いといった気軽に話せる電話相談役です。
ただ風俗サービスの受付をするだけでなく、状況や希望に応じて適切な情報をくれる存在。お店の付加価値をつくっていくのがこれからのスタッフ像です。そして自動受付ができる世の中ではその労働対価は高騰し、必然的に高級店になっていくのです。
自動受付を利用し、多人数をマネジメントしていく大衆店なのか。きめ細やかで行き届いたサービスを提供する高級店を限られた優秀な人で経営するのか。この先の風俗ビジネスモデルはこの2極化に近づいていきます。
ただ、どんなにAIが導入されたとしても風俗経営から“人”を排除することはできません。AIと共存し、より“人間がやるべき仕事”に集中していく。その構図が風俗業ははっきり出ていくと思います。それは風俗で働くスタッフの労働環境の改善や、給与向上にも繋がるのです。
導入障壁とコスト問題という“世知辛い”事情
今後について一番懸念しているのは、導入コストの問題です。AI導入後がコスト改善やスタッフの給与面の向上につながるイメージはもてます。
しかし、導入コストが高すぎると手が出しにくくなるという問題があります。風俗店は飲食店などと同じように個人商店形式の方も多い。コスト障壁で導入が進まないと、世間に取り残されて労働環境も改善しない悪循環に陥る可能性もあります。
▲マニュアル化された業務はAI化しやすいが導入コストがネックとなる
このように導入までは大きめのコストがかかる。そしてその分を黒字化するだけのプランが未だないのも障壁です。変えていくのはAI技術の低コスト化。そしてベーシックインカムの実施でしょう。
ベーシックインカムについては後日また別の回で書きたいと思います。
その他、今回触れたような既存運営の最適化だけでなく、前回触れたようなVRと連動して新しいサービスを生み出す可能性もあります。風俗広告でも大いに活用されるでしょう。AIが生み出した風俗店や、ソープランドなど店舗店の案内システムがAmazon GOのように全自動化するなんていう未来もあるかもしれません。
とにかく風俗業界にAIが導入されるかはコスト問題。もしくはそこまで未来を見て投資を行ってくれる企業があるかどうか。間違いなく労働環境の改善にはつながるので、業界活性化のためにも、チャレンジする企業が増えて欲しいものです。
次回は日常の延長線上にある、「サービスの未来」を考えてみたいと思います。
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