風俗業界で生きていくために必要なこと ~アキバマサトの『風俗業界一年目の教科書』~
2016年12月07日
はじめまして、アキバマサトです
突然ですが皆様、1994年の3月ごろ、なにをしていたか覚えていますか? 約22年前です。
突然20年以上前のことを聞かれても、結婚したとか就職したとか、人生におけるなにかしらのトピックがなければ、すぐに答えられる方は少ないかもしれませんね。
『Fenixzine』の読者層を考えると、もしかしたら「小学校入学の年だ」なんて方もいるかもしれませんね!
僕にとって1994年3月は、今僕が生きているこの世界「アダルト業界」に飛び込んだ年です。
20歳くらいのころ(1993~94年)、当時の僕は、電気工事用資材を販売する会社で配送員として働いていました。
同時に、小学生のころから始めたエレキギターの特技を活かして、あるバンドのギターリストとして活動もしていました。
しかし、それだけでは生活が厳しく、「電材屋」と呼ばれる業種でドライバーをしていたのです。
その会社の忘年会の帰り、上司からの一言で、「僕の人生という名の列車は、暴走エロ機関車に変貌した」と言っても過言ではありません。
「風俗おごってやるよ」
この一言が僕の人生を狂わせましたw。
当時まだ20歳の僕は、バンドなんかをやっていて、それなりに遊んでいましたが、風俗というのは漫画のなかでしか見たことがありませんでした。
上司の「風俗行こう」で、とっさに思い出したのは、なぜか『バレーボーイズ』という漫画。
谷口という登場人物がファッションヘルスに行ったシーンで、壁に「本番禁止!」と張り紙が貼ってあるコマでした。
そのころの僕は、「風俗って言ったら茶髪のパーマのオバさんにチップねだられて、財布の中身が空っぽになっちゃうアレでしょ!?」と完全に間違った(ある意味間違えてない)イメージしかありませんでした。
上司から「そんなことねーよ(爆笑)」ということで、『ファッションヘルスでの遊び方 超基本編Vol.1』を簡潔にレクチャーしてもらい、いざ出陣! これ以上書くと、ただの『僕の初めて風俗体験記』になってしまうので要約しますが、結果的に僕は、この初めての風俗体験で衝撃を受けたのです。
「地上の楽園はニューカレドニア以外にも、こんな近くにあるじゃないか!!」と……。
この後、僕はちょっと引くらい風俗にハマり、給料の手取り15万円の分際で週1でヘルスに通ってました。
そして、完全に勘違いをして本気で女の子を好きになってしまい、ちょっとしたDQN客になり、挙句フラれてしまうのでした。
ここで、僕はただ落ち込むのではなく、風俗というビジネス的面白さに興味がわいてきました。
人間の三大欲求にかかわる巨大市場でありながら、決してオープンとは言えない謎のベールに包まれた大人のアトラクション施設「風俗」。
時間と技術(サービス)と、さらに精神的癒しや感情までもが売り物となっているビジネスは、まさに大人版ネズミの王国だ。
それは、その当時僕がやっていた「電材屋」とは別次元の市場原理が働いているように思えてきて、興味は深くなる一方でした。
ここから3か月、恋する乙女のように風俗のことばかり考えていた(ビジネスとして、と単純に遊びとして)僕は一念発起し、全国展開する風俗グループの横浜曙町にある店の面接を受け、スタッフとして働き始めたのです。
そのグループは当時、日本全国に約60店舗のファッションヘルスやSMクラブだけでなく、アダルトグッズショップやアダルトビデオメーカーを営んでいました。
また、数店舗のビデオショップやストリップ劇場、さらには不動産開発事業まで行う超巨大アダルトビジネスグループだったのです。
無事面接に受かった僕は、そのグループの一店舗、横浜のとあるファッションヘルス店に配属され、一スタッフとして従事することになりました。
そこから約10年の間に、スタッフから主任、副店長、店長になり、入社から2年目には部長、3年目には数店舗を統括する統括部長となりました。
そして、風俗以外のビジネスも管轄するようになり、横浜地域で最高売上記録を叩き出すことができたのです。
そのころになると日本各地を飛び回り、従業員教育や新規出店リサーチ、マーケティング、広告戦略、アダルトビデオビジネスなど多岐に渡る分野を統轄するようになりました。
こうして、横浜地域のみならず全国的にも売り上げを伸ばしていったのです。そして、入社から6年目、横浜地区の代表取締役社長に就任し、グループをさらに拡大することに成功しました。
しかし、話すと長いので割愛しますが、ある転機が訪れ、僕は約十年お世話になったグループのすべての役職から外れ、そのグループを退職したのです。
その後、風俗動画サイト『FuuTube』を立ち上げ、現在はアダルトビデオなども含めた動画制作会社を主に経営しています。
自分で書いているので、多少盛っているところがあるかもしれないがw、だいたいこんな感じである。
風俗業界で生きていくために必要なこと
前置きが非常に長くなりました。
しかし、そもそも僕が何者で、どのような経歴なのかをまず初めに伝えなければ、信憑性や説得力に欠けると考えたため、長々と自己紹介させていただきました。
これから数回に渡って風俗業界で働いている方や、これから風俗業界で働こうと考えている方に向けて、『風俗業界1年目の教科書』という題材でメッセージを伝えていく以上、必要だと思ったのです。
しかし、上述で「前置き」と書きましたが、第1回目の題材『風俗業界で生きていくために必要なこと』については、ただの前置きではないのです。
この前置きのなかにも自分なりに「風俗業界で生きていくために必要なこと」を織り込んだつもりです。
ビジネスとしての風俗は、僕が飛び込んできた20年前と現在とでは大きく変貌を遂げています。
一番大きな違いは、参入障壁が格段に下がっていることです。
20年前には違法営業でしか存在していなかった「デリヘル」というジャンルが合法的に確立されたことによって、法的手続きや資金面で新規参入の壁は、比べ物にならないくらい下がっているのです。
法律がどう変わったのか、資金面で店舗型ファッションヘルスの開業とどう違うのかなどはネットを検索すれば、専門的な法律用語を用いて詳しく説明しているサイトはごまんと出てくるので、僕はその方面での説明はしません。
僕の感覚で参入しやすくなっていると感じるのは、例えば「お仕事はなにをされているんですか?」と聞かれたとき、「風俗店の経営です」と答える気軽さが全然違います。
というのも、相手の素性やシチュエーションによって変わりますが、20年前なら「風俗店の経営」なんて答えたら、「ヤ〇ザかな」「裏の世界の人間だ」などと思われたでしょう。
しかし、現在では、そこまでひどい印象はないと思います(そもそも20年前に風俗店経営者はそんなにゴロゴロいませんが)。
実際に現在では、公開された場で風俗店経営者の勉強会や開業支援が数多く催され、風俗業界健全化の精神や具体的な動きが10年くらい前から飛躍的に進んでいます。
僕が実際に店舗の現場にいたのは12年ほど前までですが、働いている女性の傾向も大きく変わりました。
印象的だったのは、風俗未経験の女性の面接で、働いてみようと思ったきっかけを聞いたところ、「携帯代を払うため」と言われ、金額を聞くと4万円とのことでした。
このとき僕は時代が変わった瞬間だと思ったのです。
それまで風俗で働く女性の多くが、普通の会社勤めでは払うことが困難であろう数百万円以上の借金や、夢を達成するために開業資金数千万円が必要などという方が圧倒的に多かったのです。
「携帯代を払うため」と言う女性はその後も続々と現れ、最初は衝撃を受けたものの、「これが普通の時代になったのだ」と感じたものです。
余談ですが、後に僕はこれを「風俗で働くための理由シンクロ二シティ」と名付けました。
ちなみにシンクロ二シティという言葉は、漫画「刃牙」で覚えました(どうでもいい情報)。
「携帯代を払うために働くことも普通」
「数百万円の借金返済のために働くことも普通」
「夢をいち早く達成させるために働くことも普通」
働いているスタッフ側は、この普通を「多面的」にもつ必要があると考えます。どちらも異常ではないのです。
自分自身が風俗という仕事にプライドをもつこと
「職業に貴賎なし」という言葉があります。
詐欺のような犯罪を仕事としているような人は除きますが、どんな仕事であれ、社会に必要とされていることに変わりはありません。
職業によって、人の価値が決まったりはしないのです。
一昔前に比べればかなり一般的になってきたとはいえ、アダルト業界で働く者に対して偏見はまだ多くありますし、恐らくなくなることはないと思います。
どんなに高い意識をもって長きに渡り努力し、命懸けで取り組んだとしても、政治家というだけで「腐ってる」と言ったり、警察というだけで「癒着してる隠蔽組織」と言ったり、職業自体を揶揄するマスゴミなんて言葉もあります。
また、医者にはロクな奴がいないとか、弁護士なんてみんな金を稼ぐことしか考えてないとか、なんの根拠もなく職業だけで差別する人間は残念ながら常に一定数います。
アダルト業界にいると、このような負の視線で見られることがいまだ多くありますが、このような者たちにいちいち正面からぶつかってはいけません。
憲法でも思想信条の自由は認められているのですから、ほかからどう思われようと言われようと、思う人には思わせておけばいいのです。
他人に「思わせない」ことを考えていたらキリがありません。大切なのは自分自身がプライドをもって目の前の仕事を全うすることです。
「自分の親や子供に仕事の内容を言えるか?」
「プライドをもっていたら言えるはずだ」
という実にくだらないことを言う人がいます。
親や子供は家族ではあっても自分のコピーではないのですから、考え方が合わなくてもプライドをもつ部分が違っても構わないのです。
自分自身の信念として言わなければ気が済まないのであれば言えばいいし、本当のことを伝えることで傷つけると思うなら言わなければいいのです。
そもそも自分自身の仕事にプライドをもつことと、人に言えるかどうかは論理的になんの関係もありません。
自分以外のだれかが、自分のプライドに同意してくれるかどうかではなく、自分自身がプライドをもつことが大事なのです。
アダルト業界で働くということは、アダルト業界以外では経験することのない悩みにぶち当たることがあるかもしれませんが、それはどんな業種にもあることです。
奇異の目で見られることが多い僕たちこそ、「職業に貴賎なし」の精神で、他人の偏見による負のイメージに左右されず、他者にも自分自身にも当てはめて考えることが大切だと思います。
残念ながらアダルト業界での功績は、アダルト業界以外ではあまり評価されませんし、広く伝える機会もないでしょう。
この業界で働くうえで、他人から見て「なにを残せるか」ではなく、人それぞれ自分自身が「なにを残すのか」を悩み考えながら、やり遂げることが大切なのだと思います。
少しマジメな話をしましたが、僕自身、普段は自分の映像作品に出演していたりします。
そのなかで、ビートたけしのモノマネとかを全裸でやってますが、もちろんプライドをもってやっています。
「ダ〇カンバカ野郎!」とか言って、お前がバカだよと思われているかもしれませんが、僕はそんな他人の印象なんて気にしません!
いや、むしろ本当は気にしているから、気にしないように意識しているのかもしれません。
でも、自分自身のプライドをモチベーションに変えて邁進しています。
そんなアキバマサトの『風俗業界1年目の教科書』ですが、今後数回連載させていただくことになりましたので、次回もぜひご拝読いただけますようよろしくお願いいたします。
- 今回のまとめ
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- 現在の風俗はもはや裏社会のアブナイ仕事ではない
- 女性が風俗で働く理由は多面的になっており、どれも異常ではない
- 「職業に貴賎なし」誰になんと言われようが、自分の仕事にプライドをもつことが重要
- 他人に「なにを残すのか」ではなく、自分自身に「なにを残すか」を考えやり遂げる
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