ライフワークとしての風俗 ~アキバマサトの『風俗業界一年目の教科書』~

2017年05月23日

byアキバ マサトアキバ マサトFuuTube映像ディレクター

風俗という仕事についての考え方は、人それぞれにあると思います。

業界の中にいる人と、外にいる人では考え方が違うでしょうし、この仕事に携わっている期間によっても違いが出てくるかもしれません。

僕は、風俗店スタッフから始まり、23年間アダルト業界に身を置いています。今では「業界愛」が芽生えていますし、自分なりの「使命感」をもって仕事をしています。

他人から求められているかはわかりませんが、僕は風俗という遊びの楽しさや、人にもたらす喜びを世界に伝えることが自分の使命としています。そのため、自分自身が何をすべきか、どう見せるべきか、ということがおのずと後からついてくるのです。

風俗業界で働き始めたころは、恐らく皆さんと一緒で、与えられた仕事をこなしていたことが多かったように思います。しかし、それらの経験と記憶が蓄積され、現在の考えに至ったのだと思います。

今はその考えから生まれた使命に基づき何をすべきかを感じ、やるべきことを決めています。

今回はすこし堅い話になってしまいそうな雰囲気マックスですが、ライフワーク、つまり風俗業界で生きていくという、ジンセイとシゴトについてお話したいと思います。

仕事と生活のバランスを保ち、いかにジンセイを輝かせるか

そもそも仕事というものは生活するためのものであって、仕事をするために生きているわけではありません。

多くの人の場合、仕事をしてお金を得なければ、行動の選択範囲が狭められてしまうので、仕方なく働いているのが現実で、僕も例外ではありません。

僕の場合、少し違うのは、仕事が生活をするためだけではないということです。

僕には、「アダルト業界が社会(ユーザー)に与える、楽しさや喜びをもっと伝えたい」という使命があります。

例えば、集客用の営業サイトでいえばポータル型のサイトのほうがエンドユーザーからすると、情報を得やすいのは事実です。

しかし、風俗の楽しさを伝えるという点においては動画、つまり『FuuTube』のようなサイトの方が適していると思っています。

動画の制作はポータルサイトなどに比べ、リソースがかかる割にリターンが少ないものです。結果的に使命を貫くことによって、ビジネスとして利益を毀損する場合もあります。

それでもこのシゴトを続けている理由は、上記で説明したような使命をもっているからなのです。

さらに、この部分こそが僕を僕たらしめる要素であり、会社の経営者として、組織の方向性や理念を決定付けする重要な要素なのです。

ただ、誤解をしてほしくないのは、あくまでこれは僕の考え方であって、万人に言える絶対的なことではありません。

自分自身の仕事と生活全体のバランスを保ち、いかにしてジンセイを輝かせるか、ということが大切です。

もしかしたら僕は、他人から見ると仕事中毒のように見えるかもしれません。また、仕事中毒の人が定時出勤、定時退社の人を見れば、「仕事にやりがいを感じていないのか?」と思うかもしれません。

しかし、人生におけるシゴトの充実感は人それぞれ多様にあるのが当たり前で、何人もそれを否定したり、強制したりすることは正しくないと、僕は思っています(もちろん就業規則の範囲内でw)。

長い時間働くから偉いとか、稼ぎが少ないから偉くないとかではなく、どこにポイントを置き、何と何を引き換えにするか、バランスを自分なりに見つけ出すことが重要なのです。

自分なりのやり方で社会に貢献できるようなシゴトをする

僕の使命のひとつに「日本の勃起を元気にする」というものがあります。

僕は20年以上アダルト・風俗業界に携わってきて、日本人のセックス離れというものを感じています。

実際に某大手避妊具メーカーが行っている国別セックス回数と満足度調査で、日本はダントツで最下位です。

もともと日本は性に対してオープンではないと思いますが、それにしても回数も満足度もここまで低いというのは問題です。

現在、僕は直接的に風俗店の運営に関わっていませんが、広告や映像制作などで風俗店の運営に関連する仕事を行っています。ですので、風俗業界自体が盛り上がらないと僕の仕事も尻すぼみになってしまいます。

店舗それぞれで、あらゆる集客手段を講じて売上アップを図っていると思いますが、そもそも風俗を利用しない男性へのアプローチや、風俗自体に興味をもってもらうような施策はできていないのではないでしょうか? というか、そんな暇はありませんよね……。

既存顧客や潜在顧客にいかにリーチをしてコンバージョンさせるかが第一義であり、そもそも興味がないコンバージョン率の低い人に興味を抱かせるアプローチというのは、非常に非効率的で費用対効果が悪いものです。

僕はお店の運営とは少し離れたところにいるため、コンバージョンに近い直接的な集客ではなく、この「そもそもをくつがえす!」部分にチャレンジすることが比較的やりやすい環境にいます。

効果が出て性産業全体が盛り上がれば、結果的に自分にもリターンがきますので、「日本の勃起を元気にする」というスローガンをもって事業展開しているのです。

これに従い僕の会社では、いわゆる一般的なアダルトビデオのほかにセックスに関するテクニック指南や悩みを解決するような内容を盛り込んだアダルトビデオレーベル「ボッキマンJapan」を展開しています(ゲスなネーミングのレーベルですいませんw)。

テクニックが向上することで男女共に、セックスがより楽しいものになれば、生きる上での幸福がひとつ多くなるのではないでしょうか。また、セックスに関する過去の失敗を悔い改め、再度チャレンジしてみようという気持ちになれば、もっと性に貪欲になるのではないでしょうか。

すなわち、日本人の勃起回数が増えれば増えるだけ、性産業のみならず日本の景気はどんどん良くなるでしょ!?と思うのです。

「勃起」という単語から「日本の景気」って、すごく大げさで馬鹿げていると思われるかもしれませんが、僕は意外と本気でそう考えています。

逆に言うと、政治や金融や国の行政システムを改善して経済を好転させることは僕にはできませんし、芸能人や歌手のような発信力も影響力もありません。

けれど、これまでアダルト業界に携わってきて、僕にできることで僕なりの使命をそこに見出したのです。この業界人なりのやり方でみんなが幸せになれるように努力する、もちろんきれい事だけじゃなく、結果的には自分たちの収益につがるということを信じて。

経験や記憶から“使命感”は確立される

アダルト・風俗業界に従事していることは、人によって嫌悪感を抱かれることがあるかもしれません。しかし、全員に好かれる必要はないのですから、そんなマイナスなことよりユーザーに幸せを届けているという達成感と使命感を感じながら仕事をしたほうが幸せになるはずです。

仕事というものは基本的に「やらなくてはいけないもの」の場合が多いです。

金はいくらでもあるけど暇だからやる、なんてことはなかなかありません。しかし、そこまでいかなくても、世の中には大金持ちで自分自身が仕事をしなくてもまったく困らないけど、仕事をしているという方はたくさんいます。

この例に当てはまるかどうかは知りませんが、ソフ〇バンクの孫さんとか、何もしなくても人生10回分くらい遊んで暮らせるくらいは持ってるんじゃないですか? 知りませんけど。

当然それぞれの才能や資質などもありますが、ああいった方々は必ず仕事に使命感をもっていると思います。

「やらなくてはいけないもの」であればなおのこと、「やりがい」や「使命感」をもっていたほうが仕事はやりやすいものだと思います。

これらはある日突然降ってくるものでもなければ、急にゼロから1に変わるようなものではなく、日々の経験と記憶を積み重ね、自分の中で分析統合されたものから徐々に発生するものです。だから今、そういった感情がなくても焦る必要はありません。

それに、ここまで書いてきたことを覆すようですが、そもそも仕事は単純にお金を得る手段であって、必ずしもやりがいや使命感をもたなければいけないというわけでもありません。

人それぞれに合ったやり方とバランスがあるでしょうから、それを少しずつ自分なりのライフワークバランスを見つけ出していけば良いのではないでしょうか。

突き詰めると、多くの人にとって「人間が生きる」ということは、この作業の繰り返しなのかもしれませんね。

執筆者プロフィール

アキバ マサト

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1973年、横浜市出身。高校卒業後、ミュージシャンを経て風俗業界入りし、20年以上のキャリアを持つ。体験男優としての顔は一部に過ぎず、実は大手グループの代表経験もある敏腕ビジネスパーソン。仕事観、人間観、人生観の有無を大事にする。尊敬する人は、やはり実業家だった父とX JAPANのYOSHIKI。非常に繊細なO型。

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