【一般職(内勤・スタッフ)】相澤なおさんのインタビュー記事

2018年入社
相澤なお (44歳)
一般職(内勤・スタッフ)
前職:風俗キャスト
2023.7.8
二十歳からキャストを19年。それからのオフィスワークでも、充分に活躍できた理由
この記事のポイント!
- 昇給査定は年2回。“成果を見てくれる”から、やりがいを持てる
- “キャストさんそれぞれ”を大切に。“押しつけ”は絶対にダメ
- 助言でご指名が増えれば、やっぱり嬉しい。だからこそ……
10代はのんびり。やがて二十歳でキャストに。きっかけは……
この業界には初め、キャストとして関わりました。
きっかけ、と聞かれると、少し困るところもあって。当時を振り返ると、「若かったから」という言葉が出ちゃいますね(笑)。
母が難病で中学時代から寝たきり、父も高校入学の頃にはガンで思うように働けなくなり……と、もともと家が裕福でなかったところはあります。私は4人兄弟の末っ子でしたし。
とは言え、だから始めたというわけでもないんです。16歳からの精肉店でのアルバイトを、高校卒業後もなんとなく続けていました。贅沢がしたかったわけでもなく、人生はなるようになるだろうと、のんびり構えていたんです。
ところが二十歳の時に、同棲していた彼が、家賃を2か月分滞納しちゃったんですね。私が呑気だったのもいけないのか、知らない間に生活に困窮してしまっていて。
その時の私には「何とか払わなきゃ」という思いしかありませんでした。だけど10万20万なんてお金、持ち合わせがない。慌てて高収入のバイトを探したら、ソープランドの求人が引っ掛かってきたんです。
講習を受けるまで、ソープランドについて何も知らなかった
でも私実は、何も知らなかったんですね。ソープランドが何をするところかもわからない。面接で説明は受けたんですが、その説明も向こうが悪いのか私の理解力の問題なのか(笑)、おぼろげでよく頭に入ってこなくて。
で、翌日講習を受けて、「できません。ムリです!」と(笑)。お断りしたんですが、スタッフさんに泣き付かれてしまったんです。
「いや困ります。もうお客様のご予約が入っちゃってるんですよ。お得意様なので、何とかその方だけでも接客していただけませんか」
そう聞かされると、「あー」って。もうお待ちいただいている方がいる。私が帰れば、その方にもお店にも、このスタッフさんにもご迷惑が掛かる。そう考えると、頷かざるを得ませんでした。
そしてその日、20万円を受け取りました。この時の私の台詞も、今振り返ると笑ってしまいます。
「これ……何日分なんですか?」
“仕事なので当たり前に頑張っていただけ”。だから後悔もない
「これで家賃を返せる」と、まず思いました。またたった1日でそれだけの収入を得られるというのは、大きな驚きであり、若い身には魅力にも映りました。「もう少し続けてみようかな」と。
ところがその“もう少し”は19年、39歳の年まで続いたんです(笑)。続けられた理由? うーん、それもまた困る質問です。言ってしまえば、私はただ“仕事なので当たり前に頑張っていただけ”なんです。
ご指名があればどんな時でも「行かなきゃ」と思いました。当日欠勤というのは、あの頃の私には考えられなかったですね。「あの方か。嫌だな」と感じるお客様でも、体調を崩して食べ物を吐いてでも行ったぐらい(笑)。
お店にはいつも出勤の1時間前には着き、ルームをキレイに清掃してお客様を迎えるようにしてきました。他は“常に笑顔”ぐらいでしょうか。逆に言うと、特別な何かをしていたわけでもないんです。
高度なテクニックがあったわけでも、自分から見て容姿が秀でていたわけではなくても、それだけでコンスタントにご指名は頂けました。対価は大きいので、毎日に充実も感じられていて……。
実際後悔はないんです。私なりに精いっぱい。よくやった方じゃないかなって(笑)。ただ同時に、反省はあるんですね。できてしまっただけに、辞め時を見失って、ずるずる行ってしまったところはありました。
初のオフィス勤務。できた理由は、先輩の存在と“変わらぬ姿勢”
それでも年齢的に限界を感じて、40歳を前に転職。知人のご縁から、ここ『4C』でスタッフとしてお世話になることになったんですが、当初はたいへんでした。
まずパソコンに触ったことがないんですもん。「ローマ字入力???」って、そこからのスタートです(笑)。
幸いだったのは、私が入社した時、ここには既に15年デリヘルの経営を続けてきたノウハウがあり、何より先輩の皆さんが親切だったこと。
データの入力にミスがあれば、「こうすると間違えないよ」と教えてくれて、電話応対後は「今のはこう返した方が良いかも」と、些細な点でも即指摘をもらえました。おかげで“ゼロから”のオフィスワークでも馴染むことができて。
あと、結局は慣れですよ(笑)。事実2か月もすればパソコンだって一通り扱えるようになりました。オフィス勤務は初めてどころか、正社員として働いたこともなかった私だってそうなんです。正直他の方にできない理由はないのかなと……。
こういう言い方はあれですけど、働く意識にキャスト時代と変化はありません。
“仕事なので当たり前に頑張るだけ”
お電話口のお客様には、相手が新人スタッフかどうかなんて関係ないですよね。そうである以上、ごまかさない。わからなければ聞き、覚え、最初は何とかその場を乗り切る。そうしていれば、地力は後から付いてくる気がするんです。
昇給査定は年2回。“成果を見てくれる”から、やりがいを持てる
現にもう……そっか、入社から5年になりますよ。早い!
今でもときどき先輩にからかわれるんです。「相澤さん昔、キーボード人差し指2本で打ってたよね」って(笑)。繰り返しになりますけど、環境に恵まれているし、仕事って慣れるから、そんな私でもこうして続けることができているんです。
“やりがい”に繋がるものも多い会社ですしね。他の業界を見渡したって、女性で、言っちゃえば40歳手前で初のオフィスワークで、こんなに良い初任給を頂けるところって、なかなかないじゃないですか。
その上で、昇給の査定も年2回あります。ウチは“役職が付かないと給与が上がらない”なんてこともないですよ。目標を示してもらえて、それをクリアすればヒラのスタッフでもちゃんと昇給します。「成果を上は見てくれる」という信頼があるから、安心して日々の業務に向き合えるんです。
“キャストさんそれぞれ”を大切に。“押しつけ”は絶対にダメ
自分が経験しただけに、業務の上で「キャストさんの支えになれば」という気持ちは、やはり強くあります。
ただし押しつけはダメですよね。私だってキャスト時代、「このひとにはゼッタイ勝てない」と思う方もいましたよ(笑)。いくらランカーさんでも、じゃあそのひとの真似をすればご指名が付くのかと言えば、決してそうではありません。
向き不向きがひとにはあって、私がその方の真似をしても、苦しくて続けられなくて、潰れてしまっていたと思います。
キャストさんの“できることできないこと”をよく見極めて、お話もよく聞いて、それぞれに合ったアドバイスをしてあげるのが、スタッフの役割なんじゃないかなと……。
タイミングもあるし、“どこに目標を置いているのか”というのもありますよね。そもそも幾ら収入が欲しいのかも、またその思いの切実さも、個々で違いますし。
さっき、「吐いてでも出勤した」と言ったじゃないですか。それはたぶん“私には”必要なことだったんですね。そのお客様をNGにすることよりも、そこまでして頑張ることの方が、私には収入的にも気持ち的にも“ラク”でした。
ですがそれは、私のケースなんです。他のキャストさんがそうかはわからない。もしそうならきちんとその方に向き合って、背中を押すべき時には押す、「お休みしましょうか」と声を掛けるべき時には掛けてあげる。そんなスタッフこそ理想だという気がします。
助言でご指名が増えれば、やっぱり嬉しい。だからこそ……
強いて1つだけ。“おせっかい”を後輩のキャストさん達に焼くとすれば、“辞め時”ですね。お伝えしたように、私は自分の20代30代の歩みに後悔はないけれど、一方でだらだら続けてしまったという反省はあります。
なので年齢なのか、目標額なのか、結婚や出産、進学や就職といった転機なのか。それこそ人それぞれだとは思うんですが、“いつまで”という卒業の時期のことは、頭のどこかに入れておいてほしいなと。
決して押しつけるつもりはないんです。もちろんずっと続けるという選択肢だってあるでしょうし。ただ私自身に反省があるのなら、それが他の方の役に立てばなって……。
自分の助言でキャストさんのご指名が増えれば、やっぱり嬉しいものです。だからこそ、私だから伝えられることは、機会があれば伝えておいてあげたい。うまく言えないし、おこがましいとも感じるんですが、そんな気持ちです。
取材後記
プロフィール

相澤なお
一般職(内勤・スタッフ)
(前職:風俗キャスト)