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23歳で事業に失敗。そこでなぜ“フランチャイズ”と思ったか

「オレ全然ダメじゃん」

今でこそ月の収入100万円というところまで来ましたけど、ちょうど2年前の今頃、僕はどん底にいたんです。

もともとは求人広告の代理店で、営業や人材派遣の仕事をしていました。ただ、社の売上の7割が僕の働きによるもの。月35万円の固定給だし、だんだんバカバカしくなってきちゃって……。

「これなら自分で」と、独立してワインの通販サイトを始めたんですが、大甘も良いところでしたね（笑）。全然反響がなくて、すぐに経営は行き詰まり。収入はなくなるし、離婚して娘にも会えなくなるしで、散々な目に遭いました。

結局調子に乗っていたんですね。「オレはできるやつだ」と思い込んでいたんですが、ただの勘違い。

自分が得意なのは「既にあるものを上手に回す」ということでしかなかったんです。ノウハウのないところから、新しく何かを始めるのはムリ。そもそも営業マンがいきなり1人でWebサイトを運営をすること自体、考えが浅過ぎました（笑）。

「自分を活かすなら、きっとフランチャイズオーナーだ」

気づいた時に出会ったのが、『サンキュー』だったんです。

「FCなら何でも」が、「ここしかない！」に変わった理由

ぶっちゃけフランチャイズ（FC）なら、コンビニでも介護事業でもお弁当屋さんでも、何でも良かったんですよ。基準は「自分がやれそうか」ということだけでした。

ならなぜそこで『サンキュー』だったのかというと、ネットで色んなFC事業を検索していた時に、たまたまこの記事を読んだのがきっかけなんです。

「全国展開できたのはフランチャイズの考え方を持ち込んだから」 ~サンキューグループ元会長・平井学の回顧録#2～

すみません。御社の記事だとは知らなかったんですが（笑）、もう「これだ！」と思って、すぐに応募しました。営業や人材派遣で培ったコミュニケーション能力を、いちばん活かせる業種だと感じたんです。

システム化＝見える化。だから日本各地に店舗展開できる

「よくわかった。そのやる気買うよ。3か月で独立目指そう」

FC担当者にそう言っていただけて、日暮里本社で研修を始めたのが、2020年の1月です。結構目まぐるしい日々でしたね。1日目は「先輩の様子を見ていて」で、2日目にはもう電話受付も送迎ドライバーもやらせてもらえましたから。

「コワがることないよ。間違ったらフォローはするから」

一番ダメなのは“聞かないこと”だと言われました。自分から質問して教われば、その業務は忘れないんだから、と。

実際電話にしろ送迎にしろ、難しいことはなかったですね。手際が良いか悪いかということだけで、3か月目には、本当に店長をやれるだけの地力が付いたと思います。何より驚いたのは、色んなことがシステム化されているということでした。

このお店には、今日キャストさんが何人いる。それに対して、お客様の数が何人。
お店の売上は先月これだけ。内キャストさんの分と人件費を考えると、純利益は幾ら。
この求人媒体に掛けた予算に対して、キャストさんの応募はこれだけ。つまり費用対効果は……

こうした形で、グループ全店がパソコン上で“見える化”されているんですよね。比較ができるし、弱点がわかる。地域の特徴だって見えるから、次の出店戦略が立てられる。だから全国にFC展開できるんです。正直、すごいなと。

実はコロナ禍のせいで、出店自体は半年ほど伸びてしまったんです。でも今思うと、逆に良かったと感じます。それこそ予算管理から求人媒体の選定まで、システムについては学べるだけ学んで、独立することができましたから。

「大丈夫？」 思いきって掛けた広告予算。でも“根拠”があった

オープンしてみたらどうだったか。もう1週間で損益分岐点をあっさり超えました（笑）。“絶対イケる”とは思っていたものの、予想外の大成功ではありましたね。

ただここが大事なんですが、“なぜうまくいったのか”という理由はわかっています。大きく考えて、要因は2つ。まず僕、営業も求人も、広告費をケチりませんでした。ちょっと本部の先輩に引かれるぐらい予算を掛けたんです。

「回収できる？　もう少し様子を見たら？」
「いえ、始めが肝心です」

さっきも少し言いましたけど、既存店舗のこれまでの数字が全部わかるので、僕には勝算が見えていたんです。

「こことここで月にこれだけの返りがあったんだから、横浜関内なら、2倍3倍掛ければ更に反響があるはず」

つまり割り出した予算には、“根拠”がありました。だから自信を持って動けたんです。これは本当に、既にフランチャイズ展開をしていて、ブランド力もあったグループの強みだと思います。

後は、最終的にオーナーの裁量に任せてくれるのも、『サンキュー』の良いところですよね（笑）。結果を出せば、「やったな。すごいな」って、先輩後輩の別もなく褒めてくれるぐらいでした。

どこかに原因がある。そして、やれることは全部やる

成功要因の2つ目は、お店がキャストさんに愛されていることだと思います。僕が大切にしているのは、キャストさんの目標額。放置じゃなくきちんと向き合って、ときには厳しいことも言いますよ。

「今のままだと、とても目標額には届かないよ」

更にただ言うだけじゃなくて、届かない原因を一緒に考えるんですね。特に今ウチは、みんなにお客様を付けられている状態。少しの改善さえあれば、必ずリピーター獲得に繋がるはずなんです。

なぜその子が伸び悩んでいるのか調べてみると、ホームページの写真が良くなかったりする。「よし、じゃあ撮りなおそう」ということで、一緒に撮影します。原因は色々なんですよね。ユーザー目線がわかっていなかったり、逆にそちらに寄りすぎて、周りと似たり寄ったりのものになっていたり……。

なので忘れちゃいけないのは、1人ひとり、それぞれに合った対策があるということ。他にも『写メ日記』に挙げる画像を工夫したり、Twitterを頻繁に更新して文章も凝ってみたり。“やれることは全部やる”というのを徹底してきました。

で、徹底してみると、大概結果は伴うものなんです。もうおもしろいですよ。キャストさんはお客様が付きだすと、顔色からして明るくなります（笑）。そして一度成功体験ができると、みんなお店を信用してくれるようになるんですね。

「スタッフが“一緒に”やってくれるんだから、私も頑張ろう」

口には出さなくても、キャストさんはそう思ってくれていて、それがお店の好調に繋がっているんだと感じます。

月100万円なんてまだまだ。ラクをするより、もっともっと上に

これはキャストさんの指名に限らず、全部そうなんですね。もし次のお店を出して、なかなか売上が伸びないという時期が来たら、僕は“何か新しいこと”を始めようとは思いません。

「やれること全部やったか？　何か抜けてるんじゃないか？」

まずそう考えます。この“徹底”で横浜関内店がうまくいった経験が僕にはあるし、もっと言うと、グループ自体がそうしてコツコツと“成功体験”を積み重ね来たからこそ、今があると思うんですね。体験をノウハウにしてFC展開を図ってきたのが、『サンキュー』なんじゃないかなと……。

おかげさまでもう横浜関内店はほぼ僕の手を離れて、スタッフが回してくれています。その上で月収100万円だから、悪くないでしょう？（笑）

もちろん経営者というのはラクなことばかりではないですけど、平のスタッフのままでは、月収もどこかで止まります。それがイヤでFC独立を目指したんだから、まだまだこれからです。もっともっと稼ぎたいですよね。

実は、次の出店場所はもう決まっています。チャンスがあれば、自分のお店は増やせるだけ増やしたいですね。オーナーとして机にふんぞり返っている暇なんて、僕にはありません（笑）。

取材後記

執筆者

松坂 治良

事業の失敗にめげることなく、“自分に向いているフィールドはどこか”を考え、FCオーナーの道を選んだ梅田さん。“入口”が風俗ではなく、フランチャイズだったというのがユニークですね。あらためて、「サラリーマンだけが道じゃないよな」と、感じた取材でした。